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0090-20180218【ビジネスパーソン必読の主要ニュース解説】

今週の振り返り、時事ポイントは以下のとおりです。

1.高校の新学習指導要領案 2.北朝鮮情勢 3.中東情勢 4.ドイツ政治情勢 5.休刊のお知らせ

1.高校の新学習指導要領案

文部科学省が、2022年度から実施する高校の新学習指導要領案を公表しました。

学習指導要領案のポイント等の文部科学省HPリンク

2月14日~3月15日の期間でこの改訂案に対するパブリックコメント(意見募集)も受け付けられています。

今回は9年ぶりの改訂となりますが、55科目中、新設や見直しが27科目に上る大幅な改訂となります。

新指導要領案では「思考力・判断力・表現力」の育成を重視することが冒頭に掲げられており、従来の知識偏重(暗記重視)の学習からの脱却が狙いとなっています。

筆者もこの方向性に同意です。インターネット・AIの力により必要な情報は自分の頭脳に覚え込ませなくとも検索技術などで代替可能だと考えています。

これからは知識・情報量においては、デジタルの力を借りつつ、以下に各個人がそれを深い思考の世界で取り扱えるかがポイントとなってくると感じています。

そのために全ての科目で「主体的・対話的で深い学び」(アクティブ・ラーニング)による授業改善が求められており、今回の新設科目でも、それを象徴するような「古典探究」や「日本史探究」などが設けられています。

単純に古語や故事、用語、年号を覚えるのではなく「何があったのか」、そして「それらをどう解決したのか」などを学ぶことが重要です。

さらに、2020年度から実施される「大学入学共通テスト」は思考力や表現力を重視する方向を示しています。大学受験改革も同時並行的に行われることによって、高校の授業内容の在り方も変わってくることを期待したいと思っています。

問題は、アクティブ・ラーニングを行うためには、準備も授業も、手間と時間がかかります。

指導要領全体のボリュームは現行要領に比して約6割増しになりました。取り上げる題材や実験例などを細かく書き込んだためです。

円滑に新設授業を進められるようにしたための措置ですが、細かく書けば書くほど、現場の裁量や工夫は狭まってしまい、改訂の根本理念である「主体的・対話的で深い学び」と矛盾するような事態に陥りかねません。

指導要領はあくまで標準のモデルであり、各教育現場における創意工夫こそが生徒の深い学びに繋がる授業となり、それが社会において必要な「思考力・判断力・表現力」を養うことに繋がります。

さらに、発展的な学習では少子高齢化、社会保障と税源、国家財政など「持続可能な社会」の課題に生徒自身がどう主体的に関与するかを統計資料などを基に論述させる授業も取り込まれます。

こうした学習テーマには、意見が対立する事柄がほとんどであり、教育現場においては「政治的中立性をどう保つのか」という戸惑いもあるといいます。

ドイツの事例となりますが、こういった対立軸のある政治テーマについて、国民的議論の末に政治教育に関する「中立3原則」を確立しました。

①教員が生徒に自らの見解を押しつけない
②意見が対立する問題は授業でも議論のあるものとして扱う
③生徒の主体的な態度を育む

意見の対立するテーマを教室から排除することによって中立を保つのではなく、異なる意見の存在を認め、偏見を持たずに学習する「開かれた中立」を志向しています。

こうした海外の事例も参考にしつつ、日本における主権者教育の基本原則を共有していくことが大切だと感じています。

いずれにしろ、超高齢化・少子化・人口減を迎える日本にとって、労働力の質の向上のための根幹施策は「教育改革」に他なりません。

基本理念を見据えて、改革を進めていく必要があります。

2.北朝鮮情勢

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