#0020【ホメロス(ギリシャ、BC8世紀頃)】

こんばんは! 1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。

詩人特集の二回目は古代ギリシアからホメロスの登場です。

いきなりで恐縮ですが、このホメロスは実在が疑われています。

ホメロスの実在性や彼の人柄・来歴については専門の学者さんにお願いし、ここでは彼の作品として伝えられている「イリアス」と「オデュッセイア」を取り上げます。

この二つの叙事詩は、紀元前12世紀から紀元前10世紀の間に古代ギリシアとアナトリア半島(現トルコ)にあった都市トロイの間で起きたトロイア戦争を詠ったものです。

トロイア戦争では、ギリシア軍が長年にわたってトロイを包囲しますが、トロイの城壁は堅牢であったため攻め落とすことができませんでした。

ある日、トロイの兵士が城壁の上から確認すると包囲していたギリシア軍がいなくなっており、代わりに巨大な木馬が残されていました。

戦争に勝ったと思ったトロイの住民たちは、勝利の宴を開きます。巨大な木馬は、神々への感謝の捧げ物にするため、城内に運び込まれていました。しかし、木馬の中にはギリシア軍が潜んでいたのです。

夜が更けた頃、木馬の中に隠れていたギリシア軍によって城壁の内側から攻撃されたトロイは遂に陥落し、トロイア戦争はギリシア軍の勝利で終わります。

ホメロスがトロイア戦争を詠った叙事詩の多くは散逸してしまっており、残っているものが「イリアス」と「オデュッセイア」です。トロイア戦争は、ホメロス以外にもギリシア神話を扱った書物や詩文でも伝えられており、このトロイの木馬のシーンは「イリアス」、「オデュッセイア」では触れらていません。

では、「イリアス」と「オデュッセイア」とはどのようなお話なのでしょうか。

「イリアス」はトロイア戦争勃発後10年が経ってから始まり、勇者アキレウス(アキレス腱の由来の人)の活躍を叙述して終わります。

「オデュッセイア」は、トロイア戦争終結後に智将オデュッセウスがギリシアの故郷に帰国するまでの10年間に及ぶ漂白の旅を扱ったものです。

この旅の間、海神ポセイドンの怒りを受けて船が粉砕されたり、怪物セイレーンに悩まされたりしますが、王女ナウシカア姫に助けられて、何とか故郷へと帰り着くことができたという物語です。

ちなみに英語で長旅を意味するOdysseyという単語は、このエピソードから来たものです。

「2001: A space odyssey(=邦題:2001年宇宙の旅)」です。Hondaの自動車オデッセイも同じ由来です。また、ジブリ作品「風の谷のナウシカ」の由来は前述の王女ナウシカアから命名されました。

日本でも馴染み深い名前が多く出てきますので、読むとしたら「オデュッセイア」の方がお勧めです。

このトロイア戦争は神話だと考えられ、実在しない戦争と思われていました。しかし、20世紀初頭にドイツ人シュリーマンの手によってトロイア遺跡が発見され、その発掘成果により実在が証明されました。

このトロイア遺跡の発掘にも触れらているシュリーマン著「古代への情熱」は、まさに彼の情熱に溢れる半生の記録です。シュリーマンは語学の才能があり、「古代への情熱」には語学習得法として、

 ・音読すること

 ・翻訳をしないこと

 ・毎日1時間勉強すること

 ・作文をし、教師の添削を受けること

 ・添削された文章を暗記し、暗誦すること

という方法が紹介されています。彼はこの勉強法で十数カ国語を習得しました。

「今年こそ語学を!」という方は参考にしてみてもいいかもしれません。

「イリアス」、「オデュッセイア」を始めとしたギリシア神話は、ヨーロッパ世界に大きな影響を及ぼしました。ルネッサンス期の絵画のモチーフとして広く採用され、現代においてもなお、ハリウッド映画を始め多くの作品に影響を与え続けています。

実在性を疑われながらも、ホメロスの名は「西洋文学の父」として燦然と文学史の中で輝いています。

以上、本日の歴史小話でした!

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