#0021【李白・杜甫(中国、8世紀)】

こんばんは! 1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。

詩人特集最後は、中国唐の時代から李白(りはく、701年~762年)と杜甫(とほ、712年~770年)のお二人に登場してもらいます。

この二人は漢詩の世界で最高の評価をされており、李白が「詩仙」と称され、杜甫は「詩聖」と呼ばれています。

まず、漢詩の形式について簡単に紹介します。

日本でも万葉集などの初期の時代は詩の形式が定まっていませんでしたが、徐々に五・七・五・七・七の和歌や五・七・五の俳句といった形式が確立されていきます。

同様に、中国の詩である漢詩も古くは形式が定まっていませんでしたが、唐(618年~907年)の時代には、その形式が固まります。

一行は5文字(五言)or7文字(七言)、行数は4行(絶句)or8行(律詩)となり、この組み合わせで、五言絶句、五言律詩、七言絶句、七言律詩の4パターンが主なものとなりました。

杜甫の有名な漢詩で確認しましょう。

「春望(五言律詩)」

國破山河在 (国破れて山河在り)

城春草木深 (城、春にして草木深し)

感時花濺涙 (時に感じては花にも涙を濺ぎ)

恨別鳥驚心 (別れを恨んで鳥にも心を驚かす)

烽火連三月 (烽火、三月に連なり)

家書抵萬金 (家書(家族からの手紙)、万金に抵(あた)る)

白頭搔更短 (白頭掻(か)けば更に短く)

渾欲不勝簪 (渾(すべ)て簪(びん)に勝(た)えざらんと欲す)

※家書=家族からの手紙

一行目は記憶に残っている方も多いと思います。この漢詩は安史の乱(755年~763年)という戦乱が終わった後の情景を詠んだものです。今日においても戦争後に焼け野原になった光景を「国破れて山河在り」と表現することがあります。

ここでは、読み下し文だけ付けていますが、杜甫は対句や対比の技巧に優れていると評価されています。訳文や解説が気になる方は検索してみてください。

李白からは五言絶句を一つ紹介します。

「静夜思(五言絶句)」

牀前看月光 (牀前(しょうぜん)、月光を看る)

疑是地上霜 (疑うらくは是は地上の霜かと)

擧頭望山月 (頭を挙げて山月を望み)

低頭思故郷 (頭を低(た)れて故郷を思う)

※牀前=寝台

こちらも読み下し文だけですが、夜の静けさがシットリと伝わってくるように感じます。

このような偉大な作品を残した彼らですが、政治の世界や家庭環境に恵まれたわけではありませんでした。もしかしたら、その境遇への不満が詩に昇華されて、最高の作品を生み出していったのかもしれません。

最後に李白が亡くなったときの伝説を「新唐書」という中国の歴史書から紹介して締めくくります。これは有名な伝説で、李白が関係していたとは知らなかった人もいるのではないでしょうか。小説や映画、漫画などでもこういったシーンが描かれているものが多くあります。

「李白は、舟遊びをしながら酒を飲み、気分よく酔っていた。その時水面に映る月がとても綺麗だったため、それを捉えようとしたところ、誤って水に落ちて溺死してしまった。」

お酒の飲み過ぎには、ご注意を。

以上、今週の歴史小話、詩人特集でした!

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