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#0174【父母兄弟。入り乱れる家族の愛憎(旧約聖書、エサウとヤコブ②)】

1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。
前回【0173:相争う「剛」の兄と「智」の弟(旧約聖書、エサウとヤコブ①)】の続きです。

兄弟仲の悪かった長男エサウと次男ヤコブ。二人の対立は父イサクの死の間際に決定的となります。

<>内は旧約聖書からの引用を基に記述。

<イサクは年をとり、目がかすんで見えなくなってきていました。そこで長男エサウを呼び寄せてこう語りかけます。

「息子よ。わたしはいつ死ぬか分からない。今すぐに獲物を獲ってきて、私の好きな美味しい料理を作ってくれ。死ぬ前にそれを食べて、わたし自身の祝福をお前に与えたい。」

このイサクの言葉を妻リベカは聞いていました。エサウが狩りに出かけると次男ヤコブを呼び寄せて、リベカはこう話します。

「わたしの子よ。家畜の群れのところに行き、子ヤギを二匹取ってきなさい。わたしが、それでお父さんの好きな美味しい料理を作ります。あなたはそれをお父さんのところに持っていき、祝福を受けなさい。」

しかし、ヤコブは自分と兄エサウでは毛深さが違うことから父の目が見えなくても発覚することを懸念します。リベカは発覚した場合の呪いを引き受けると言いました。

そして、美味しい料理を作り、エサウの晴れ着を引っ張り出してヤコブに着せ、さらに子ヤギの毛皮をヤコブの腕に巻きつけます。
その状態で、ヤコブは美味しい料理を父イサクへともっていって食べさせました。

イサクはあまりにも早く、料理が出てきたので驚いて尋ねます。
「神が計らってくれたからです。」とヤコブはしれっと答えます。
なお不審に思い、息子の身体に触って確認したいと求めてヤコブに触れます。
「声はヤコブだが、この腕はエサウの腕だ、そして着物の匂いも神が祝福されたのの香りだ。」
とヤコブをエサウだと思い込んで、食事を全て平らげ、全ての祝福をヤコブへと与えたのでした。

ヤコブがイサクの前から立ち去ってから、エサウは戻ってきて美味しい料理をイサクに持ってきました。

驚いたイサクは、既に全ての祝福をヤコブに与え、ヤコブをエサウを含めた親族全ての主人としたことを伝えます。

憤慨したエサウは「ヤコブとはよく名付けたものだ。生まれたときにはかかとを掴み、その後はわたしから長子の権利と祝福とを二度も欺いて奪うとは、よくもまあわたしの足を引っ張った(アーカブ)ものだ。」と叫びます。

そして、ヤコブを憎み、父が亡くなった後に必ずヤコブを殺してやるとエサウは誓うのでした。

このことを知るとリベカは、いずれエサウの怒りも収まったら呼び戻すことにして、ヤコブを自分の兄ラバン(ヤコブたちの伯父)の元へ逃亡するよう勧めます。>

なぜ、神はずる賢いヤコブに祝福が与えられるようにしたのでしょうか。純朴なエサウではダメだったのでしょうか。

父と母がそれぞれ違う子を愛したことから生じた家庭不和。もちろん、神はそっとこの家庭不和を見つめていました。
この物語は、現代においてもなお多くの示唆を与えてくれています。

逃亡したヤコブは、やがて多くの試練と神の祝福とに出会い、旧約聖書の物語を大きく進めていくことになります。

続きはまたの旧約聖書の物語シリーズでお送りします。
(旧約聖書の物語シリーズは1~2か月に一度のペースです。)

以上、今週の歴史小話でした!

(続き:No.190【流謫の先の再起をかけて(旧約聖書、ヤコブの出発と夢)】)

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発行人:李東潤(りとんゆん)
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https://note.mu/1minute_history/m/m814f305c3ae2
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