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#0212【ペテンと復讐の嵐(旧約聖書、ヤコブの娘に起きた悲劇)】

1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。今週は旧約聖書の物語です。

無事に兄エサウとの再会を果たし、兄の元を離れてシケムの地に根付いたヤコブたち家族ですが、その地で悲劇がおきます。

(前回:No.211【疑心暗鬼の和解劇(ヤコブとエサウの再会)】)

ヤコブとレアの間にはディナという娘がいました。

<>内は旧約聖書からの引用を基に記述。

<ディナは、その土地の娘たちに会いに出かけたところ、その土地の首長の息子が彼女を見かけて捕らえ、共に寝て辱しめました。

この首長の息子は、すっかりディナに心を奪われてしまい、彼女と結婚したいと首長である父にお願いをします。

ちょうどそのタイミングで、ヤコブの息子たちは家畜を連れて野に出ていたため、ディナの身の上で起きたことを知らされていませんでした。

しかし、首長がヤコブの元に訪れるタイミングでは全て知られてしまい、互いに嘆き、また激しく憤ったのです。

首長がヤコブや兄弟たちに「息子はあなたがたの娘さんを恋い慕っています。どうか姻戚関係を結び、私たちの土地で一緒に生活しましょう。」と告げました。

息子もヤコブや兄弟たちに「ぜひともお願いします。何でも差し上げます。結納金でも贈り物でもお望みどおりに差し上げますので、どうかあの方を私の妻にください。」と告げます。>

何とも順序が逆というような要望だと思います。

<ヤコブの息子たちは「割礼を受けていない男には嫁にやれん。あなた方の男性全員が割礼を受けて我々の仲間となるのであれば、認めよう。」と答えます。

首長とその息子は、この条件なら呑めると思い、自分たちの町に戻り、みんなを説得しました。

ヤコブの一族と一緒になることで、家畜の群れや財産も一緒になれると夢見ました。

男性全員が割礼を受けたところ、三日目になっても男たちはまだ傷の痛みに苦しんでいました。

そのとき、ヤコブの二人の息子、ディナの兄であるシメオンとレビは各々剣を取って、難なく町に攻め入り、男たちを皆殺しにしました。

そして、ディナを町から連れ出し、町中を略奪し、女子供を捕虜としました。

ヤコブは「何ということをしたのだ。これではこの土地に居られなくなるではないか。こちらは少数派なのだぞ。」と息子たちを叱責します。

シメオンとレビは「わたしたちの妹が娼婦のように扱われても構わないのですか」と言い返しました。>

一族の不名誉を力で挽回した二人の息子と、現実を見据えて苦悩する父。

少数派であるヤコブの一族は、相手方の更なる復習に備えて、その土地から逃げ出すことを決意します。

ヤコブが若いときにエサウから逃げ出したときと同じように神がヤコブを祝福し、神が周囲の町々を恐れさせたので、ヤコブたちを追跡するものはなく、無事に逃げ出すことができました。

神は再びヤコブの元に現れると、ヤコブにあらためてあなたの名は「イスラエル」となると告げ、さらに「あなたに続く子孫にこの土地を与える」と言います。

さて神話の世界から現代の話になりますが、同地をユダヤの民たちは失地しました。
その後数千年の流浪の末に同地へと戻り、1948年にイスラエルが建国されたのです。

以上、本日の歴史小話でした!

(続き:No.213【終わりは新たな始まり(旧約聖書、ラケルの死とイサクの死)】)

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