見出し画像

328という呪い

恋愛は、過去のものになればなるほど「呪い」になる気がする。

私が今までの人生の中で1番輝いた恋愛をしていたのは高2年生から卒業する年の夏までの間だ。
彼は私のことが好きだったし、私は彼のことが大好きだった。きっと一生好きなんだと思っていた。現に、一生忘れられずにいる。

振ったのは私の方だ。他に好きな人ができた、ありきたりな理由だったと思う。若い女は年上の男にすぐ惚れる。

でも、ベタベタに愛されてあんなに居心地の良い恋愛をしたのは、もうあれっきりだ。

元彼の名前はミツヤ。
みっちゃん、私はそう呼んでいた。
みっちゃん。

みっちゃんは自分の名前を数字にあて、328と表現することがとても多かった。その当時の全盛期SNS、mixiやモバゲーなんかではだいたい名前が「328」だった。

とても気前のいい男だった。
身長は私より15cmくらい高かった。
彼とは中学生の時に塾で知り合った。まさか同じ学校に通うことになるとは思ってもみなかった。

私たちは同じ音楽を好み、よく一緒にライブに行き、2人でドライブを楽しんだ。
交換日記を長らく続けた。彼も私も交換日記をとても楽しんでいた。

彼との思い出は、楽しかったことの方が多い。
陽気な男だった。

だからこそ、別れたあとがつらかった。
こんなに辛いなら、別れなければよかったと何度思ったかわからない。

きっと未練を大きく抱いているのは私の方。

夜中に目を覚まして見た携帯の時間、すれ違う車のナンバー、コンビニでもらったお釣りの金額、3月28日。
いろんなところでその数字を目にしてはみっちゃんのことを思い出す。

一度だけ。
今の旦那がまだ彼氏だった時、電話をしていたらふと彼のことを思い出して「みっちゃん」と呼び間違えてしまったことがある。一度だけ。

無論、今更彼に会いたいとは思わないし、連絡を取る気もない。何をしているのかも知りたくない。

でもきっと、私はこの先何度でも彼のことを思い出すだろう。ずっとずっと呪いは解けないまま。

この記事が参加している募集

私のコーヒー時間

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?