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欧州ポピュリズムショック

※これは以前FBに投稿したシリーズ第5弾です。同じ日にBrexit、大統領選と立て続けに投稿してきましたが、最後に米国大統領選挙によって火がついたポピュリズムと欧州で行われたいくつかの選挙について考察したものをご紹介します。

2017/2/16【次はどこ?(民主主義編)】
英国でのEU離脱賛否の国民投票、米国大統領選挙といずれも国際社会に民主主義を問う投票があり、結果を重く見ている者は近大民主主義の崩壊と1930年代を思い起こすような欧米ポピュリズムの復活と主張しています。私にとって「民主主義」とは時代による人の心が変わりとそれを反映している政策が支持されるに過ぎないと思っていますが、それは民主主義に希望を見出せず、諦めている者が言う言い訳なのかもしれませんね。さて、ここ数週間の話題は韓国と米国に関することでしょうか。韓国と日本の関係は深刻な外交問題にまで発展し収拾のめどが立っているようには思えません。おまけにお隣の北朝鮮はミサイルを撃ち込むなど話題につきません。米大統領は就任後から継続的に大統領令を連発してもう裁判沙汰になっていますね。米国のテロと移民難民政策についてはいずれの投稿で書くこととして今回は少し前に書いた欧州の民主主義について投稿します。2016年12月にあったイタリアでの憲法改正(上院議員定員を今の315人から100人に減らして地方の代表者などで構成させ、議決権をほぼ下院に集中させる)を問う国民投票の結果は「否決」。これにより従来通り、全く同じ権限を持つ伊上下両院により審議の長期化と不安定な短命政権やイタリア独特の「決められない政治」の原因を取り除くことはできませんでした。ドイツでは数ヶ月前の3州で州議会議員選挙がありましたが、そこでは新興右派政党である「ドイツのための選択肢」という党が0議席から一気に合計51席(各州で第2~3位)を獲得したのが話題となっています。この党はギリシャやスペインなど南欧諸国へのドイツによる支援に反対。ユーロからの離脱を主張して注目されていますが、近年は「難民受け入れ反対」「反イスラム」を掲げています。AfD躍進の背景には、難民らに寛容な姿勢を取ってきたメルケル首相(4期目出馬予定)への反発が強まっていることがあるとみられています。ドイツでは7月に5件もの襲撃事件があり、そのうち2件は過激派組織ISISが犯行声明を発表。襲撃犯のうち3人はドイツへの難民でした。この州議会議員選挙は今年行われる連邦議会(下院)総選挙の前哨戦とも言われているため、影響を免れないでしょう。なぜなら連邦首相は連邦大統領の推薦に基づき、ドイツ連邦議会議員の中から過半数の賛成によって選出されるからです。しかも連邦議会選挙で一つの政党が単独で過半数の議席を得ることは極めて難しく、連邦議会の過半数の信任を得て連邦首相が選出されるには、複数の政党で連立政権を組む必要があるため、メルケル首相に追従できる党が少数だとメルケルさんが3期にわたり続けてきた政策に終止符が打たれる可能性があります。フランスでは今年の春に大統領選挙が行われますが、今話題なのが、反EU、移民排斥を掲げている国民戦線(FN)という極右政党です。2005年におきた移民による暴動以来、移民に対する反感が強まっているフランスにおいて急速に支持を伸ばしているのが特徴です。党首のマリーヌ・ル・ペンはフランスの福祉国家モデルを擁護し、新自由主義に反対。国際化の動きをを「ジャングルの法」とし、その法の下で多国籍企業が労働力を安く使われていると主張。この党主が大統領になった場合は、フランス・フランの再導入をする可能性が高い。 共通通貨ユーロを使う限りフランスは独立な金融政策を採ることができないとし、「ゆっくりとした拷問」であるとしている。政党目標は合法的な移民数を下げ、シェンゲン協定(国境解放)の破棄、仏市民権を得るための条件の厳格化、さらには警察官の数を二倍、中小企業へ減税、産業保護関税、フランス人家庭のみ児童手当の給付する等があります。フランスの国家主権を取り戻すため、EUの基本条約の大幅な見直し交渉を行い、ユーロ圏の離脱やフランス独自の農業政策の構築を行い、EUの共通農業政策から離脱するなどがあげられます。外交面においてはマリーヌ・ル・ペン党首は親露派で、NATOによる強い反露主義に警笛を鳴らしており、反露傾向を強めるアメリカ合衆国を新冷戦の最前線にいるとして非難しています。フランス大統領選挙の最有力候補だった中道・右派のフランソワ・フィヨン氏が不正給与疑惑により当選が難しくなったでしょう。このように右傾化が目立つ欧州が今後、どこまで傾くのかをただ見届けるほかありません。最後になりますが、以前政治(民主的な帝政化)に関する教材としてスターウォーズを紹介しましたが、今回は民主主義と専制主義を学べる田中芳樹の『銀河英雄伝説』シリーズ(全15巻)を紹介したいと思います。かなり古典なスペースオペラですが、軍事的な戦術・戦略だけでなく、二大勢力による政略や対立構造に関する考察が凄いですし、帝国主義と民主主義を両視点から利点・欠点を描き、読者に結論を問う作品ですので、是非機会があれば読破してほしいと思います。日本語も多彩で表現や漢字は私には難しかったですが、それでも雰囲気を十分に楽しめたから、自信ない方も大丈夫だと思いますよ笑。

2017/3/18【権力はお金で帰るのか?】
アメリカで「政治権力」を買収できるなら、日本でも買収できるのかな?プリンストン大学の研究によれば米国では中下流階級(90%)の投票で政治的影響力を与えることはほとんどなく、中下流階級の支持があろうがなかろうが3割の法案が国会を通る。参政権ではなく、資本力が政治的影響を及ぼすならば「民主」主義とはいえない。( https://www.facebook.com/watch/?v=1175706399109896 )

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