【韓国語】中国語から韓国語に翻訳するときにやりがちなミス
1.基礎がひと通り終わった後どうする?
言語的に韓国語と近い言語を使う学習者でも、母語を韓国語に翻訳するのは難しいです。
今回は、日本語でなく中国語から韓国語に翻訳するときに起こりやすい間違いに注目した論文を紹介することで、高レベルの学習者が韓国語学習で注意することを考えていこうと思います。
共有する論文:中国人韓国語学習者の翻訳上ミスの実態ならびに改善方案研究
2.熟語の翻訳が最も難しい
この論文は、上級レベルの中国人の韓国語学習者を対象に翻訳ミスを減らすための解決策を模索することを研究目的としています。
そして、その解決策を教育現場に適用させることで、翻訳改善方案に貢献することを目指しています。
論文の筆者は、先行する翻訳教育に関する論文で提案されているのは、語彙や文法を中心とする言語面を焦点にあてた翻訳教育であり、文化面に着目した論文はほとんどないと指摘します。
翻訳は、原文がもつ文化面を翻訳先の言語の文化に転換させる作業が含まれるため、翻訳者には文化能力も求められます。
したがって、論文の筆者はこのような文化面に焦点をあてた翻訳教育の必要性を述べています。
翻訳教育の研究の基本的な理論として、漢語辞典における翻訳の意味をもって、論文とは何かを次の通りに定義しています。
その後、次の学者の理論を参照して、翻訳とはなにかについて論じています。
なぜ、中国語から韓国語への翻訳教育を扱っているかというと、母国語の中国語から外国語の韓国語への翻訳は、韓国語での表現力が問題になるからです。
論文では、実際に中韓翻訳でどのような翻訳ミスが起こるのか分析するために、 中国人学習者15人に4~5編のテクストの翻訳を頼んでいます。
この際、他人の力を足りずに自力で翻訳すること、わからない部分は辞書を使いながらも韓国語として自然な表現になるようにさせました。
また、学習者が翻訳した文章を修正できるように、中国語ができる韓国語教師も2人参加しました。
分析の結果、次の領域で翻訳ミスが見られました。
漢字語
単語の結合
擬声語、擬態語
慣用表現
新造語
例えば、漢字の語彙に関した翻訳ミスは次のようなミスがありました。
修正後の翻訳を日本語訳すると、「○○大学は○○年に設立された中国で最初の国立総合大学だ。」になります。
誤訳でみられる「창건(創建)」は、原文の「创建」を韓国語の同じ漢字の語彙に直したものと考えられます。
しかしながら、韓国語の창건하다は、古代の建造物や建築物を初めて建設するという意味になるため、原文の文脈と合いません。
また、「창건하다」は能動的な動詞になるが、文中に動詞の主体者が無いためこの点においても適当ではありません。
したがって、この部分の受動に変える必要があります。
このような漢字の語彙の翻訳ミスを減らすために、論文の筆者は、韓国語教師が漢字の語彙の語源や成り立ちを詳しく説明することの必要性を強調しています。
このような丁寧な説明が、学習者が紛らわしがる中国語の語彙と韓国語の漢字の語彙を区別させ、韓国語能力の向上に役立ちます。
最後に論文は、今回の研究は調査対象者と分析領域が限られてしまった点に研究の限界があったとしています。
したがって、より効率的な韓国語翻訳教育のためには、研究対象や分析領域を拡張して信頼性のある研究が課題です。
3.語彙と文化を両方教えるには?
今回は中国語から韓国語の翻訳に関した話でしたが、漢字の語彙に注意しないといけないのは日本語と韓国語の翻訳でも同様だと思います。
韓国語と日本語の間も同様の意味を持つ漢字が多数あります。
しかしながら、「八方美人」のように同じ漢字をしているのに意味が異なったり、「物件」のように意味が少しずつ違う言葉も存在します。
そういう部分では、他の言語圏の学習者に比べて、漢字圏の言語ならではの難しさがあることが今回の論文から明らかになりました。
似ているからこそ紛らわしい語彙は、今回の論文の筆者の主張によれば、文化の違いが関係していると考えられます。
したがって、漢字の語彙を教える語彙教育と漢字の語彙がもつ文化背景を教えるための文化教育がどのように連携するべきなのかを考えていかなくてはいけないでしょう。
論文
ニエ・シュアイ「中国人韓国語学習者の翻訳上ミスの実態ならびに改善方案研究」ハンヤン大学校大学院、国語教育学修士論文
녜솨이(2014) 「중국인 한국어 학습자의 번역상 오류 실태 및 방안 연구」, 한양대학교대학원, 국어교육학 석사학위논문
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