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2023年5月11日 参議員法務委員会 川合孝典議員質疑

川合孝典議員

国民民主党の川合でございます。今日は一昨日、日本維新の会、梅村委員が問題提起されました養育費の受領率の問題について質問させていただきたいと思います。改めて確認までにご説明申し上げますが、この4月25日の記者会見で、こども家庭庁政策担当の小倉大臣の方から2031年までに、いわゆる養育費の受領率を現在の28.1%から40%に引き上げるという目標が発表されました。これは、政府としての養育費の受領率の数値目標として初めて出されたということで、そのこと自体は目標を決めてしっかり取り組みを進めていくんだという受け止め方をすれば、前向きに受け止める方もいらっしゃるかもしれませんが、実は私自身は、これここに至るまでの間、いわゆる務省法制審議会家族法制部会の中で、この2年半ほどにわたって様々な議論が積み重ねてこられた中で、唐突にこの数字が出てきたことに、実は驚きを感じました。そこでまず大臣にご確認をさせていただきたいんですが、今回こども家庭庁が養育費についての政府目標を発表したことについて、法務省として事前に報告を受け、また協議を行っていたのかということについて大臣からご答弁をお願いします。

齋藤法務大臣

委員ご指摘のですね、養育費の受領率についての政府目標、これあの女性活躍男女共同参画の重点方針2022において、養育費の受領率に関する達成目標を定めるということが明記をされたことを踏まえて、法務省も含めた関係省庁間の協議を経てですね、策定をされたものであります。

川合孝典議員
はい。これ、あえて私がここで問題提起させていただきますのは、実は法制審議会では法務大臣の諮問を受けて、2年数ヶ月間、議論調査や様々な検討を行ってこられているわけでありまして、その間、パブリックコメント等も募集して8000件、およそ8000件のコメントが、国民の皆さんからも集まってきているということであります。そうした一連の流れというものを、あたかも踏まえていないかのように、数値目標だけがこの先走る形で唐突に出てきたということに対して、これまで議論に携わってこられた関係者の方々が不安や疑念を持ちなってしまっているということであります。政府目標が一方的に決められるんだったら、法制審の議論をパブリックコメントも必要ないんじゃないかとこういうことを、ご指摘される方もいらっしゃるわけであります。そのことがあったもんですから、あえて私この場で質問させていただいたということをご理解いただきたいと思います。その上で大臣に確認をさせていただきたいと思うんですが、今回こども家庭庁が発表した養育費の政府目標これは、法務省並びにいわゆる法制審議会家族法制部会の中での位置づけというものは、どういった位置づけになるのかを、大臣、ご答弁をお願いします。

齋藤法務大臣

まず、ご指摘の養育費の受療率についての政府目標というのは、先ほど申し上げたように法務省としてもですね、政府の一員として目標の達成に取り組んでいくということに当然なるわけであります。一方、法制審議会家族法制部会では、ご指摘のように令和3年3月から養育費の履行確保を含めて、父母の離婚後の子の養育のあり方について議論をされておりまして、ここで引き続き充実したですね調査審議を行っていただきたいということでありますので、その二つが並行して動いているということであります。

川合孝典議員

はい、ありがとうございます。今回のこの政府目標というのがですね、いわゆる共同親権に前向きな立場で議論に参画されてる方々も含めて、これまで議論を積み重ねてきた共同親権、それからいわゆる共同監護といった考え方の導入をしないことを前提として数値目標を立てたんじゃないのかといった、そういった受けとめされる方もいらっしゃるぐらい実はこの数字というものがインパクトがあったということを、このことを受け止めていただきたいんですね。なぜなら、例えば共同監護ですとか、共同親権というものが本当に民法改正するということで実現した場合には、当然のことながら養育費の支払いは40%といわずに、限りなく100%に近づけることができることになるわけですから、そうしたことを視野に入れた議論を行っていらっしゃる方々からとってみれば失望させることにも実は繋がっているということを、このことは受け止めていただきたいと思います。その上で今日こども家庭庁さんにもお越しいただいてますんで、家族法制部会でこのこうした議論が進む中で、こども家庭庁がこういった政府目標を発表した経緯について、先ほど大臣からも少しお触れいただきましたけれども、改めて確認をさせていただきたいと思います。

こども家庭庁長官官房野村審議官
はい、お答え申し上げます。先ほど大臣のご答弁とも重なるところではございますけれども、この養育費の履行確保、こちらにつきまして政府としても取り組むべき重要な課題というふうに考えてございます。そうした中で昨年6月に策定をされました、女性活躍男女共同参画の重点方針2022、いわゆる女性版骨太2022、こちらの中で、養育費の受領率に関する達成目標を設定するということが明記をされたところでございます。以来1年近くたつわけでございますけれども、そうしたその後の内閣府の中心となって法務省も交えて、3者で調整をした結果といたしまして、4月25日養育費比率の達成目標を設定したという時系列的な経緯でございます。

川合孝典議員
女性版骨太の方針2022の方針に基づいて、数字を出しただけだというご答弁と受け止めました。その上でこども家庭庁さんに重ねて質問させていただきますが、例えば法制審議会の家族法制部会で、去年の12月に参考人として招聘された北村晴男弁護士が部会に提出されたいわゆる民法改正の試案というものが提出をされております。この試案の当該の条文案では、共同養育計画を、例えば公正証書とすることを義務付けるような提案がこの中では実はなされておりますので、仮に養育費の不払いがあった場合には申し立てによって裁判所による強制執行が可能になるといったような建付けにこれなっております。つまり法律が改正されれば、理論上離婚後100%養育費が支払われることになるという、そういったことを目指した。法律改正の試案ということなんですね。今回そのこども家庭庁さんが数値目標を発表されるにあたって、そういった法改正に向けた議論がなされているということについて、把握していたのかどうか。ということですね。このことについてちょっと確認をさせてください。

野村審議官

ご指摘の法制審議会の家族法制部会でございますけれども、こちらにつきましては厚生労働省の時代から参画をしております、例えばその中で全国1人世帯等調査の結果についてもご報告をさせていただくといったような場面も、あったところでございます。そうした中で、御指摘の法制審議会の議論ということで申し上げれば、例えば昨年11月の中間試案の中では養育費に関する定めのを実効性の向上でございますとか、あるいは法的制度の創設などといった内容が盛り込まれているということは把握をしているところでございます。そうした中で、この養育費の履行確保という事で、この法制審議会家族法制部会においても議論が進めているところと承知をしておりますが、一方でこども家庭庁といたしましては、現状のもとでもできることから取り組んでいくことが重要であると考えておりまして、離婚前後親支援モデル事業などによりまして、養育に履行確保に関する取り組みへの支援を重ねている、とそうした取り組みを進めていきたいということを一貫で取り組んでいるところでございます。

川合孝典議員

はい。野村審議官ともう長いお付き合いなんで、質問通告してませんけどさらっと一見させていただきたいと思います。例えばなんですが、現在ひとり親家庭の子どもたちが、今回2031年目標で40%という数字が出た場合に、要は2歳、今2歳の例えばお子さんが10歳になるまでの間に、養育費がもらえるようになる割合が、4割でいいというメッセージとして受け止められるてるという、そういう側面があるんですよね。要は100%を目指すと、そのために何がやれることをやるんだというのが政府目標なのであれば、皆さん前向きに受け止めていただけるんだろうと思いますけど。実現可能な目標ということで今この数字だから8年後にこの程度の数字だろうみたいなお役所仕事の数字がこれ出てきていること自体に、非常にネガティブな受け止めをされてる方ということ、そういった方が出てきてしまっているんだということは、これ重く受け止めていただきたいんです。こうした考え方には子どもの利益を最優先するという考え方がきちんと反映されていないからこういうことになってしまっているということ、これを受け止めていただきたいんですね。OECDの調査でも、これ釈迦に説法だと思いますが、ひとり親世帯の貧困率は日本はOECD加盟35カ国中34位です。その要因として養育費が十分に支払われていないということがその原因として挙げられているわけでありまして、その背景にあるのが、いわゆる現行民法の単独親権制度だというこういう指摘があるわけであります。そうした事実を踏まえて、野村審議官に質問なんですが、この、子どもの権利というものを最優先に考えて、これまで法制審家族法制部会が議論を積み重ねていってきた内容と今回こども家庭庁が発表した政府目標との間でどういった形で整合性を取ると、とれるのか。取ろうとしているのか、このことについて審議官のお考えをお聞かせください。

野村審議官

はい、お答え申し上げます。このいわゆる女性の女性版骨太2022の中でも、離婚の際に養育費を支払うのは当然のことであると、意識改革改革を強力に進めるということがまず掲げられております。そういう意味では今回の目標値も、この40%止まっていいということを申し上げたいわけではなくて、やはりあくまでも現在の樹立を改善していく、それも過去10年のトレンド入りもさらにハイペース高めていくというのを目標値と掲げさせていただいたところでございます。そういう意味では1人でも多くの方がしっかりと養育費を受領できるよう、取り組んでいくというのはこれ基本方針として持ちつつ、一方で法制審の方は今まさに議論中でございますので、そうした環境下の中で、今ある政策などを組み合わせながら、今までよりもペースアップした形で、もう受領率を高めていきたいとそういう考え方で、今回の目標値を示させていただきました。当然この1人親家庭調査は5年に一度行われておりますので、また次回の調査次は3年後4年後なんですけれども、その結果を踏まえてですね、さらにはそれまでの間のいろいろ政策の動きなども踏まえて、この目標値については、位置づけを考えていきますし、さらにはそういったこの目標値の推移といかんと関わりなくですね、養育費の確保のための施策、これ実は進めていかねばならないということで考えております。

川合孝典議員

積極的にそうした取り組みを前に進めようとされる姿勢自体は否定するものでは当然ないわけでありますけれども、極めてセンシティブなデリケートな問題を含んだ議論が、長年にわたって法務省の中でもされてるわけでありますし、当事者の方々それぞれの立場で、様々なお考えでこれまで議論してこられてるといったことを考えたときに、整合性の問題も含めてということでありますけれども、そういったところについては細心の注意を払って、やはり情報発信、目標設定といったようなことについても、やっぱりご検討いただかなければいけないんだろうと思います。その上で、これはこども家庭庁さんにお伺いしようと思ったんですがその、骨太の方針2022に基づいた、数字へ基づいて発表された数値だということなんで、新ためてこれは内閣府さんの方に確認しますが、今回こども家庭庁が発表した政府目標、この積算根拠というのは一体何なんでしょうか?

内閣府大臣官房畠山審議官

お答え申し上げます。教育費の乗率は取り決めの有無で大きく異なるため、母子世帯の要否、養育費取り決め率、および取り決めのありなし、それぞれの世帯の需要率について先ほど、こども家庭庁からも答弁ありましたけれども、過去10年間の上昇率をもとに今後のトレンドを推計しております。全体の受領率についても、これをもとに推計いたしました。その上で、まずは2031年の目標として養育費の取り決めをしている場合の受療率については、過去10年間の上昇率から推計したトレンドを上回る70%とし、取り組みの有無に関わらない前提の充実についても、同じく過去10年間の上昇率から推計してトレンドを上回る40%としたものでございます。

川合孝典議員

数字遊びですね。子の権利を守るためにどうあるべきなのかということで、そういった考え方に基づいた議論からスタートしていないが故に、過去のトレンドから将来の推計値を出すといったような機械的な話になってしまってるということだと思います。当事者意識が私は残念ながら、担当されてる方に十分あるかということにちょっと疑念を感じてしまいまた。時間がありませんので、最後大臣に一点だけご質問させていただきたいと思いますが、法制審家族法制部会にそもそも法務大臣として親権制度のあり方について諮問を行った理由、これを改めて大臣からお聞かせください。

齋藤法務大臣

諮問を行った理由ですけど、父母の離婚に伴う子の養育への深刻な影響や、子の養育のあり方の多様化等の社会情勢に鑑み、子の利益の確保等の観点から、離婚およびこれに関連する制度に関する規定等を見直す必要があると思われるというのは、諮問理由でございます。

川合孝典議員
ありがとうございました。今の大臣のご答弁、内閣府とこども家庭庁さんには重く受け止めていただきたいと思います。私の質問を終わります。

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