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東京ラブストーリ

今更だがドラマ「東京ラブストーリー」にハマっている。

 当時、私は中学生だったが、9歳上の姉の独断で月曜日の9時は強制的に「東京ラブストーリー」を観ることになっていた。

 姉も顔は違えども、赤名リカ気取りで紺ブレにスカーフを巻き、颯爽と丸の内辺りを歩くOLだった。

 そして、中学生にはどう解釈したら分からないシーンも、今見ると興味深い。 だが、改めて観ると色々な珍も発見してしまうのである。

 例えば、主たる登場人物の行動範囲が狭すぎて、逢引している所を必ず誰かに目撃されてしまい、トラブルへと発展してしまったり、 とある日はカンチの家でリカが突然怒りだし、カバンも持たずに家を飛び出してしまうのだが、ここで違和感をおぼえてしまうのは、家までどうやって帰ったのか? そもそも、歩いて帰れるくらいの距離に住んでいるのか? 家のカギは大丈夫か? と、疑問符だらけのシーンが盛沢山なのだ。  

おまけにリカは帰国子女ゆえに、空気が読めないことも多々ある。  

一例をあげると、関口さとみ(高校時代からカンチが片思いしている相手)が盲腸で入院し、カンチとリカでお見舞いに行った際には「さとみちゃん、(陰毛)剃ったかな? ってカンチが言ってたよ」と、下ネタぶっこみ、言ってもないカンチに濡衣を着せ、笑いすらおきずショッパイ空気に… 

さとみもさとみで恥ずかしさのあまり、顔半分を布団で隠すという珍行動。リカ以外は”いたたまれない辱しめを受ける刑”に処されているという図。  

だが、「東京ラブストーリー」は展開が早く、目が離せないドラマであり、リアルタイムで見ていたら、おちおちトイレにも行けないほど視聴者を引き込んでいくのである。  

かの有名なリカの名セリフ「カンチ、セックスしよう」なんて、道端で叫んだら、ただビ〇チだがリカは爽やかに言ってのけるのだ。  

当時のOLは天真爛漫なリカに憧れ(?)、男が放っておけないタイプのさとみに嫉妬した。  

主題歌の「ラブ・ストーリーは突然に」も、ドラマを盛り上げ、 ここしかないだろうというくらいのグッドタイミングで「テケテーン」とエレキギタが流れ、ドラマは最高潮を迎える。 これがたまらなくグッとくるのだ。  

テレビドラマの最高の在り方が「東京ラブストーリー」であり、月9(月曜日の夜9時)ドラマのブームの火付け役になったのは間違いない。

戦後、「女と靴下は強くなった」と言われたが、平成の幕開けとともに女も肉食化してきたのではないかと思う。

それがまさに「カンチ、セックスしよう」というセリフが表しているのではなかろうか?

草食男子に肉食女子、これからも女がグイグイ行く時代は加速しそうである。

文 / イラスト 一筆 一恵

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