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aikoが生み出す「余白」について考えた

aikoが3月3日に発売するニューアルバムのタイトルとジャケットが公開された。

『どうしたって伝えられないから』

aikoが大好きで、アルバムは全部持ってるけど、今回はこれまた「余白」がすごい。

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「伝えられないから」、「から」、、、なに?なんなの??


普通は
「あの人、そういう人だから」(しかたない)
「大変そうだから」(やめとこう)
みたいな、何が言いたいかわかる含みを持たせて「から」を語尾に使うことが多いだろう。

でも、ことaikoにおいてはその後の展開がどう転んだって不思議じゃない。

どうしたって伝えられないから、愛してよ
どうしたって伝えられないから、わかってよ
どうしたって伝えられないから、想うだけだよ
どうしたって伝えられないから、もうやめるよ

見事に、全部aikoだ、、、aikoが目に浮かぶ。


今回のアルバムはどの方向だろうか。どんな日常の機微から「伝えられない」という諦めにつながり、「伝えられないから」何を願うのだろうか。


あくまで主観だけど、昔のaikoの傾向が、

・ひたすら相手に求める系  ベタっ
・または、勇気ない系  コソっ

だったのに対し、

最近は

・悟り系  カラっ
・と言いつつ、悟りの中に永遠に切れなそうな執念を持ち合わせてる系  カラっと見せかけてのネチョっ

な傾向がある。


(このカラっと見せかけてのネチョっは2020年に発売されたシングル『青空』で、タイトルの爽やかさからは想像もしなかった「青空」の真意を曲の最後に持ってきたaiko技がよく物語っていると思う)


aikoはいまこの時に、どんな心境で「どうしたって伝えられないから」と名付けたのか。
アルバムを構成する1曲1曲と、それらが束ねられたときにこのタイトルになった所以が、気になって仕方ない。

アルバム全体を静かに正座して聴き終わったとき、このタイトルに込められた想いを感じとることができるだろうか。

この余白ムンムンなタイトルで我が子とも言える作品を世の中に解き放ち、聴き手ひとりひとりの経験と妄想からなる解釈に委ねるaikoは、やっぱり歳を重ねるごとに最高を超えていく。

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