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誰にでもありそな「気のせい」の話



「合コンやんだけど来ない?」
なんて話にはそもそも全く興味はなく、
気は進まなけりゃ、
気も乗らないのに、
気を許してる友達の誘いだけに
ただただ仕方なく
気の向かないままに約束の店に向かうと
「もう皆さんお揃いですよ」
と気品のある店員さんの案内で
その席を見つけた途端、
(ん?え?かわいすぎる。あの子)
なんて感じで隅っこに座る子が目に入っちゃったもんだから、
その一瞬を境にして
気の置けない存在になっちゃうわけで
実は
気が多いオレは
すぐに
気が変わるわ、
調子良く
気が弾むわ
スカーっと
気が晴れちゃうわで
んでまた、その子が見た目だけなんかじゃなく
気が回るわ
気が利くわの
気を配れる人なもんだから、
バカなオレは
気の早いことを考えちゃったりで、、

「お前はだれ?だれが良いの??」
なんてトイレに一緒に立った友達にコソっと聞いてみたら、
(げ、おんなじじゃん。。)
ってな返事だったもんで
自分は誰だとは答えずにそそくさと逃げて、
席に戻ってみれぼ
その子の隣がヤツの席だったわけで。
それにさえ
気づかずにいた自分のアホさ加減に、
気落ちしたりはするものの、
ヤツの狙いはヤツの隣のあの彼女だと
知っちゃってからのそれからは、
気を揉む揉む。
もみほぐし。
ヤツのつまんねー話に彼女が笑ってたりしようもんなら、
まったく
気に食わなければ
気に障るわで、
気もそぞろ。
(そぞろ。ってなんだ?)
なんてココロの熱でポカポカなってる脳みそには
そんなのに答えを出す余裕はないほど
気が散っちゃって
ただただ彼女をチラチラみては
グラスを口に持ってくことの繰り返し。
気を失うほどのスピードで酔ってく自分が
ふと、我に帰ったときに
気が付いたのは
(もっとオレは気の大きいやつかと思ってたけど)
(まったく気の小さいやつだ)
なんて
気がしちゃって
気が抜けちゃって、、
気の弱いオレは
もう
気が遠くなるような感覚で
飲み続けたグラスを置いて
目をこすって食事に手を伸ばそうとしていると、
ラ・ラ・ランド!
や、
な・なんと!

「ここ座っちゃって良いですかー!」
って声。
オレの後ろを振り返ると
トイレの帰りだかなんだかで立ってる彼女。
(んにゃー!)
って、
気が動転しちゃっうもんだから、
飲みかけのウーロンハイを一気に飲み干して
気を休めてからの
「あ、いいんじゃない?」
気のない感じを装っちゃったけど、
それは、だって
気がありありだから
気が気じゃなくて。
気がありすぎるのがモロバレなのは気持ち悪い。
なんて思われちゃイヤだから
変な間を作って
気を逸らしたまでで
(オレに気があるのか?)
(気がなけりゃ来ねーだろ。隣に!)
そうやって
気は確かなのかを再確認したりしてから、
横に座った彼女に目を向けてみると、

「合コンってなんなん?」
って
さっきと違う聞き慣れた声。
どうゆーこと?って覗き込むと
その顔は見慣れるすぎてる
妻の顔。

「あれ?なに?なに?」
「なんで?なんで?」
「え?合コン??」
「してない。してないってば。」
「気のせいだよ!気のせい!」
「気のせいだってば。」
「ん??気のせい?」
「気、気、気、気の、、」
「気のせいなんだよ。。」


あれ?

って目が覚めると、
背中に汗がジットリ。
プフーっとひと息。

夢も、
現実も、
だいたいが

気のせいです。


※この物語はフィクションです。今日の朝の出来事だと思うのは、気のせいです(^^)

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