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画廊に行くようになって気がついたこと その38

 絵を描くというのは、考えることも含めて、肉体、身体で行うことです。

 芸大に非常勤で教えに行っている彫刻家が、技術を一度は体に通してあげる、という旨のことを話していました。

 とにかく描け、たくさん作れというのは、多くの失敗作の中から一つの成功作を生み出せという意味でもあるのでしょうが、技術を体に染み込ませる、そのような身体性を得るということでもあるのでしょう。

 少しづつ、体が自然に動くようになる、アスリートのように考えずとも動く身体、そういうものを作るのでしょう。

 長いこと歌手をしている人みて思うことは、その人は身体そのものを一つの楽器として練り上げていくんだなと感じることがあります。

 でも、このことは、絵描き、彫刻家に限らず、全ての人の営みにおいて、通じることです。外からの、理不尽な介入によって、行為を行う身体を乱されることは、健全なことではないとも言えます。

 精神と関わる肉体、身体を傷つけないというのが、基本的人権として尊重されているのも、至極真っ当なことなんでしょう。

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