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画廊に行くようになって気がついたこと その47

 3Dプリンターが、出現したとき、仏師の知り合いが、画家にとって、写真があらわれたときのようなインパクトが、彫刻の世界にあらわれるのだろうと言ってました。

 木彫りの場合、木材は、疎密があり木目としてあらわれます。木彫の作家は、そこをどのように作品の全体と調和させるかを考えながら作品をつくっています。そのあたりの工夫に、作家の技量や判断の個性がでてくるようです。
 普段、大工をされている方の作品では、木目まで作品の構成に巻き込んでいるのもあって感動したことがあります。
 また、木材は、切り出されても呼吸をしていて、時間経過とともに少しづつ変化して、ひび割れや歪みを生じてきます。作家にとっては、そのあたりもある程度想定はしているし、また、売って終りではなく、そこで修理をするか、むしろ手を入れずに時を置く場合もあるようです。

 木彫り作家は、そういう経験を積み重ねながら、技量を高めていっている部分もあると思います。

    デジタル技術は、予定したものをそのままつくるのであって、製作過程に生ずる気づきや発見は、出力段階ではありません。

 どちらがいいかではなく、僕等は作品を目にして、なにを手にいれようとするのか、何に心を動かされるのか、そういうことかもしれないです。

 昔の彫刻の模型を手にして、そこに価値をみいだしている自分達もいることも忘れないようにしないとですか。

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