世の中が次第に元どおりになっていき、
わたしの生活も変化した部分と元に戻った部分が混ざり合っていて。

その中で、
まだ戻らないなと思うことは、

遠くへ出かけなくなったこと。　

以前は、休日は必ず出かけていた。

買い物でも美術館でもなんでも

どこかへ必ず出かけていた。

今は、出かけるけれど、

近所だけだし、夕方になる頃には帰ってくる。

電車に乗るのに抵抗があるわけでもなくて、

きちんと対策をしていれば問題ないと思っているのだけど、

気持ちがあまり外に向いてない。

わたしは思い出してしまった。

小さい頃、

休日はずっと図書館にこもっていて

家に帰ってからも借りた本をずっと読んでいた。

友達の家に行っても、

自分の家にはない漫画や漫画雑誌を読ませてもらっていた。

わたしはそもそも、

とても内向きな人間だった。

世界が広がるにつれて、

行動範囲が広がるにつれて、

内に籠もってばかりはいられない、

という、少しのプレッシャーが常にあった。

本ばかり読んでいるのは

人生が充実してないんじゃないか。

たくさんの人に会って

色んな体験をするべきじゃないか。

それは、ある側面では正しいのかもしれないけれど、

外と内のバランスが

自分の持っている気質とは違うふうに偏ってしまっていた。

今はそれを取り戻すかのように

ひたすら内に籠もっている。

図書館で本を借りて、

近くの喫茶店で読んだり。

家で英語の勉強をして、本を読んで、

合間におやつを買いに行ったらすぐ家にもどって、

夕方からゆっくりお風呂に浸かったり。

少し内に向きすぎかなと

不安になることもあるけれど、

今はこれでいいと何度も思い直して、

また内に籠る。