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負けない。

私にとって、手は大切な仕事道具だ。

高熱が出ていた。
昨夜は苦しくて眩暈がして天井がぐるぐる回って見えていたし、昼間は昼間で脚の痛みや手の甲の痛み、全身の堪えきれない痛みに意識が朦朧としていた。

久しぶりにnoteを書いているのは自分の体力と気力を信じて解熱剤、総合感冒薬を使わずうがいと安静と抗生物質(これも実は使いたくなかったのだが扁桃腺、耳下腺、首回りのリンパが腫れて耐えられなかった)だけで堪えて必死でデスクからパソコンをベッドサイドに置いてPOCARI SWEAT、他、飲料水とティファールのケトルまで寝室に持ち込みひたすら横になっていた。もちろん書籍数冊と。

そういえばろくにパソコン使っていなかったな、とパソコンの電源をいれてからパスワードの更新からベッドにいながらにしていろいろいじくり倒してからDVDでも観ていようかととりあえず手元にあったエヴァンゲリオンの劇場版Air とまごころを君にを再生。

って、意識混濁していて好きなはずのアニメが全く頭に入らない。おまけにうちのにゃん、愛猫ちゃーちゃんの大好物はパソコンの上だから油断大敵でもある。
スマホとタブレットも駆使してnoteの記事も読む。

これが不思議とnoteなら大丈夫だった。 
手が痛い。脚よりつらい。

うつらうつらしながらガンガンPOCARI SWEATを飲み、御手洗いに行く。具合が悪くても2つある御手洗いの掃除はする。 

何回も何回も水分補給してはトイレの繰り返し。合間にnoteを読み、繰り返しエヴァも再生する。

鏡を見たら目の下にはくまがひどく顔色はくすみ唇はカサカサ。

くっそー!!負けてたまるかよ!内科できちんと抗体も無いしウイルスもないからコロナではないから、ね、と先生から言われたじゃないか!!
せっかくきちんとした仕事が見つかりこれから、って時にー!!負けたくねー・・・。

ふらふらする。大好きな煙草が欲しくない。 なんでだよ、と情けなくベッドにまた戻る。 
ようやく掴んだ仕事は手が命だ。手をかなり使う仕事だからだ。しかも指先も神経も使うセラピストの仕事だからだ。

夕方、R氏が帰宅してからおかえりなさいもろくに言えない。心配してR氏は二階にあがってきて私の形相にびっくりしていた。 

パソコン?大丈夫なの?
    
    ううん、大丈夫じゃないけど大丈夫だから。 

    なにしてんの、貴女。本当に大丈夫なの?寝ていたの?   

    ううん、寝ていたけど起きてる。ごめんなさい、洗濯物、部屋にはいれてあるけど。雨で乾かなくて。とりあえずリビングダイニングに干し直したから。 

   いや、それは見たらわかるんだけどアニメみていたりしていて大丈夫なの? 

   科白聴いていたらなんとなく。
  
あー、うん。あとから晩飯作ってあげるわ、明日も俺、仕事だし。寝てなさい、ね。

  ・・・ありがと。

平熱は低いから39℃近くの高熱では自分の言っていることすら意味が理解できない。

  できたよー!  R氏の声。
ふらふらしながら階下に降りたらあっさりした棒ラーメン、蜂蜜梅のお粥、食べやすいカットした炒めた鶏の手羽先。

ばーばのために買ってきたよ、と苺。(誰がばーばぢゃ。笑)

  麺、固くない?大丈夫?

R氏は    熱、俺どうしたらいい?  とビールを飲みながら訊いてきた。  
上の空でカウンターの花を見たら萎れている。あとから替えなきゃ、と思いながら無理やり笑顔を作る。 

体力消耗するからサクサク全身の清拭してから着替え、食器は私が洗った。   

ベッドに戻る。noteを開く。パソコンを起動してからまたエヴァ。疲れたら本を読みの繰り返し。

いつもより遅くにR氏は寝室に入ってきて、洗濯してきたよ、寝るね。熱は? 花はまたでいいからと言ってからすぐ寝付いた。 
私も寝るねと睡眠導入剤を飲み、目を閉じるが痛みとつらさがひどく眠れない。

負けたくねー、負けてたまるか、自力で熱を下げてやる!!風邪なんかで。うー。ぐやぢい!!   また目を閉じるがやはり喉が渇き全身の関節が痛む。彼を起こさないように御手洗いに行く。noteを読みPOCARI SWEATと麻黄湯、それから甘酒、水を飲む。明け方、また意識混濁する。

熱を測るが下がらない。ついには体が悲鳴をあげた。お腹が痛い。下す。また御手洗い。観念して座薬を使いなんとか37℃に下げたら一気に変な元気が出てきた。  

負けない。負けてないわ。負けたくない。熱なんかで寝込んでいられるか!

まだまだ体力あるもんね、と拳を握りしめ階下に降りたら彼が干した洗濯物がへんちくりんな干し方でひとりで笑った。朝、彼が飲んだカップや二階に持ち込んだマグカップを洗い、あらためて洗濯物を乾きやすいように干し直した。そして花を活け直した。外の松竹梅は気にはなるがもう仕方ない。後回し。

  (バックに写り混んでいる海亀の剥製は父が三体購入していた一つで弟がガレージにほたくりかえしていたのを私が勝手に持って帰ってきた。三体のうちの一番高価な個体で甲羅が均一な飴色をしている。名前はなんと 北条政子である。いわば私の私物となった父のコレクションだ。他にも雉など剥製があった。)

撮影するためにこに置いたがカウンターの花。 
そうだ。そういえば彼は椿の葉が好きだ、椿は切ってあった。ロウバイと切ってあった。

侘助より藪椿が映える。薄桃色よりも。紅の花が映える。

今年はたくさんの花をつけたロウバイ。
花言葉は   慈愛。  松竹梅のついでにR氏が切ってくれた竹の器に活けた。  

 

昨年はそういえばこの花を活けて泣いたな、と思い出しながらぱちんぱちんと枝を切る。この季節の格花でもある。 

もちろん下駄箱の花も写真は撮影していないが猫柳、水仙、ロウバイ他を使い活けかえて南のリビングの花ももちろん活けかえた。   
 
R氏は帰ってきてから下駄箱の花のすがしい匂いに気がついて笑った。

やはり文章を書くのも好きだが、料理も好きだが、花を活けるのはやはり心が落ち着く。そしてなぜかしら元気になれる。  

決めてあることがある。

私が逝ったら。長年大切にしてきた華道鋏を一緒に持たせて欲しい。

10代からの大切な相棒だから。誰かにとかはこの鋏は譲りたくない。活け花もやはり手をかなり使う。

そしてまだまだたくさんやりたいことが多すぎる。 倒れる訳にはいかない。そして手がダメになるのは嫌だ。

負けたくない。
勝たなくていいから。     負けない。

       ゆー。

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