クロエ刑事、ソーメンする5

村田「そっちがその気ならいいだろう。多少の法律の知識もあるようだし」

クロエ「イッパイ、アルヨ。イッパイ」

村田「さっきの民法709条だが」

クロエ「モウイチド。コウギ、シマスカ?」

村田「民法は、刑法じゃないんだ。民法で人は逮捕できないよ。私人対私人

 の争いごとに限定される【民法違反】をしただけでは、金銭的な過料を、

 請求されることはあっても、何ぴとも、逮捕されることなどあり得ない。

 法律を少しでもかじったことがあるなら、わかるはずだよ。ましてきみ

 は、法律を学ぶ大学院生だろう? オハイオ州立大学の」

クロエ「ムム」

村田「そら、みろ」

   すかさず、飛行機の窓を指さすクロエ。

クロエ「ムダバナシ。シテイル、ウチニ」

   窓の外は暗い。いつか夜になっていた。

クロエ「ヨルガ、キタ! オヤスミナサイ」

村田「まだ話は終わっていない」

クロエ「オマエハ、ダレダ?」

村田「聞いて驚くな。わたしこそ、警視庁・科学捜査研究所、略して【科捜

 研(かそうけん)】の村田亮。法医学の研究員だ! スペシャリスト」

クロエ「ヘエ」

村田「へえ? それだけか?」

クロエ「ヤクショクハ?」

村田「係長」

クロエ「ダカラ、サッキ、テジョウヲ【ワッパ】と、ケイサツ・ヨーゴデ、

 ヨンダノネ」

村田「そういう、おまえはだれだ?」

クロエ「クロエ・スミス。ナンベン、イッタラ、ワカルンダ! コノタビ、

 ニホンノ、ケイサツデ、インターンシップヲ、スルコトニ、ナリマシタ。

 ドウゾ、ヨロシク」

   日本人のように、深々一礼するクロエ。

村田「インターンシップ? 学生が一定期間、企業などで働き、就業体験を

 するプログラムのことか?」

クロエ「ナツヤスミ、ダケ。ニッポンノ、ケイサツデ、ハタラキマス。

  ワタシ、アナタノ、【ナカマ】デス


(6話につづく)


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