日銀前

お金を儲けることは悪いことですか

2006年、村上世彰さんが記者会見で叫んだセリフです。いわゆる「村上ファンド事件」の最中のことでした。記者会見では矢継ぎ早に各マスコミから「濡れ手で粟」「ハゲタカ」などとなじられ、連日テレビのニュースやバラエティ番組、新聞、そしてネット等で報道されました。

私も事件の流れやマスコミが出し続けるニュース、というより嫉妬に近い”ネタ”を信じ込み「すごい悪い人がいるなあ」「濡れ手で粟はいけないことだ」「強欲な白人の真似してるんだ」とかしか思っていませんでした。

あれから13年経った2019年。テレ東の「ガイアの夜明け」に村上さんが登場しました。

「安く買って、高く売る、これ以外の商売があったら教えてほしい」

彼の上梓した『生涯投資家』(2019年刊)にも書かれていますが、今でも彼はなぜ逮捕されなければならなかったのか、疑問を呈しています。

ひるがえって、この間、日本経済を取り巻く環境は大きく変化しています。

2015年3月に金融庁と東京証券取引所がコーポレートガバナンス・コードの原案を発表、同年6月施行されました。そこにあるのは「株主の権利・平等性の確保」「適切な情報開示と透明性の確保」「株主との対話」などです。20.315の手元にも2018年6月1日付に東証が発表した「コーポレートガバナンス・コード」改訂版があり、全部読んでみましたが、これって、村上さんがいっていたこととそんなに変わらないのです。

東証

卑近な例をあげたいと思います。

「レオパレス21(8848)」です。

私は株主として同社の「施工不備問題」をこの2年あまり見てきました。見てきたといっても、同社の株価やHPのIRニュース、報道された記事などです。当初、これはただ事ではないとみていましたが、ここまで大事件になるとは思いもしませんでした。

レオパレス21のIRニュースを見ていただくとわかると思いますが、事件が公表された後、「施工不備」の件数が次々に更新され雪だるま式に増加していき、かつ「施工不備」の改修目標が次々に先延ばしされている現実を目の当たりにします。IRニュースの数がハンパないのです。株価はだだ下がりです。

問題の先送り体質、おそらく経営陣の体質がそのまま社内に蔓延してしまっているのかもしれません。普段は穏やかな20.315ですが、さすがに「何やっとんじゃ!レオパレスは」と心中穏やかではありませんでした。2019年初夏、創業者である社長が実質、引責辞任しました。ただ、それでもIRニュースは日々更新され、解決の糸口が一向に示されない状況が続いていました。そんな中、村上さんの関係会社であるレノさんなどが同社株を大量に保有していることを知りました。

そしてついに、2019年末、村上さんが動き出し「臨時株主総会」招集を提起。レオパレス21のコーポレートガバナンスを立て直すべく、経営陣の刷新を求めています。確かに、外から見ていても「この会社は一体、何をもたもたとしているんだろう、問題を洗い出し、分析し、計画を立てるのにどうして1年以上もかかるのだろうか」と疑問に思うのも当然の流れです。なので株主にとっては、嬉しいニュースです。あれだけ低迷していた株価ですが、2019年末から徐々に上昇してきています。

ということで、20.315はレオパレス21の株を売却しました。売却益は13,000円(税引き後)です。400株しか持っていなかったので、これで十分です。

「安く買って、高く売る、これ以外の商売があったら教えてほしい」

村上さんの言動は時に熱く、激しいがためにバッシングを受けることも多かったのは事実です。しかし、コーポレートガバナンスやスチュワードシップ・コードが整備されつつある今、時代はようやく彼に追いついてきているのかもしれない、と20.315は思うのです。

今後も、レノさんや村上さんの状況はウオッチしていきます。

※念のため記しておきますが、20.315はレオパレス21全体を非難しているわけではありません。経営陣によるコーポレートガバナンス(企業統治)がなされていない、と思ったのです。

※冒頭の写真は「日銀」、中段の写真は「東証」です。

※(お決まりですが)投資は自己判断でお願いします。20.315はいかなる責任も負いかねます、です。




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