引き算を二回したら悲しくなった話

 つくづく私は人に興味のない人間だと思う。それは身内に対してもそうで、両親の生年月日すらぼんやりとしか分からない。ただそれだと生命保険の手続きなんかに困るので、スマホのメモ帳にメモってある。なんて薄情なのだろうか。
 もしかしたら、反抗期真っ只中の10代終盤に親元を離れ、遠くの地で暮らし始めたのも関係しているのかも知れない。物理的にも精神的にも遠い故郷、両親と特段仲が悪いとかそういうことはないが、思春期特有の親が煩わしいあの感じがずっと続いているような気がするのだ。
 年末年始、一年ぶりに実家に帰った。久々に会うとやはり気になる両親の老化。2022引く両親の生まれた年を計算し、もうこんな年になっていたのかと愕然とする。自分の年齢にばかり気を取られて、それと同じだけ両親も歳を取るのだという当たり前の事実が頭から抜け落ちてしまっていた。
 そして更に、日本人の平均寿命引く両親の年齢を計算し、もうあと何年元気でいてくれるのかと悲しい気持ちになってしまう。
 遠く離れた実家に帰ることができるのはせいぜい年に一度、ほんの4〜5日間であると考えると、この先、両親と顔を合わせるのは実質何日間になるのだろう。もはや人に興味がないとか反抗期が続いている感じとか言っていられず、まだ元気なうちに旅行でもプレゼントしてあげたほうがいいのだろうかなどと考えたりもする。その思いが、忙しなく過ぎていく日々の中に埋もれてしまわないようにしたいが。
 果たして、両親との旅行の模様をここに綴ることができるのであろうか。

つづく

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