‪‬

きみ、謳えよ

‪‬

きみ、謳えよ

最近の記事

  • 固定された記事

耽溺

唇から身体全体に、熱が水紋のように拡がっていく。その時感じた温度と感触は、正しく僕の脳味噌に記憶された。 恥じらいと危うさで、僕たちは容易く酔えてしまう。 不思議だ。 叩かれたわけでもないのに、頬がこんなふうに熱を持つなんて。 自分のものでは無い誰かの呼吸が、心音が、命そのものが直ぐ傍にある。それを一度でも意識してしまえば、忽ち五感は敏感になった。そうして、そうする必要はないのに、何故かその時僕はいつも息を止めてしまうのだった。 幾らでも乱暴に振り回すことができてしまうのだ

    • 魚群

      最近ここの更新頻度が低いのは、単純明快な事由。以前ほど言葉を思う儘に綴れなくなったせいだ。 以前は、感情に言葉を着せることがもっと楽にできた。 「人間は、自分の知っている言葉の中でしか思考できないからね。」という言い分が一理あるとすれば、僕の感情に適した言葉は、僕の脳味噌の中に常に存在していたことになるし、そこそこの頻度で言葉をインターネットの海に放流していた当時は、今ほど優柔不断でもなければ、矛盾を孕んだ文章に対する恐怖もいくらか小さかったので、こんなにも言葉選びという想

      • 自分の愛するものたちから抽出した感性だぞ信用しないでどうする

        • モウイヤデス。今日はそういう恐竜になります。

        • 固定された記事

          脳内イメージ

          ふよよと漂っていたい春なので、真っ黒のコートはそろそろ脱ぐ。春の焦げにはなりたくない。相変わらず朝は眠い。夜も眠いけれど、最近眠りにつくのが遅い。不健康の序曲を奏でようとしている。自分はピアノがへただ。仕事を任されることが少しだけふえて、吃ることもちょっとふえた。あと、人と話したあとに酸欠になることも。落ち着いて話せる人間だと思っていたのに失望したよ。報連相と寝言の解像度が同じなんですが。よく誰もキレないなと思う。僕はこんなに自分のことが嫌いになるのに。でもブラインドの外にい

          脳内イメージ

          答辞

          ────── どうすれば死ねるだろう。 どうすれば終わらせられるだろう。 とばかり考えていた頃もあったと言えるくらい、 どうすれば生きていけるだろう。 どうすれば歩きつづけることができるだろう。 とばかり考えている毎日です。 ぜんぶを曖昧にしていたかった。 だって、傷を傷と認識しただけ、 そこには痛みが生まれてしまったから。 鈍感になればいいんだ。そしたら なんにも痛くならないや、って。 それが当時の最適解です。 仕方がない、と目を逸らして、 誰のせいにもしなかったのは

          白くて甘い綿のようなもの

          これは不思議な話なんだけど、 一昨日ぐらいから、送られてくるマシュマロの大半に、'写真も、█さんの言葉もすきです'って書いてあるんです。 noteはとても秘かな場所だし、写真を見たいといってくれる人に申し訳ないから、Xの█のアカウントでは、もうあまり自分事を呟かないようにしているのだけど、マシュマロでその言葉を書いて送ってくれた方々は、一体どこで僕の言葉を拾ってくれているのだろうなぁ 言葉を好きになってもらうほど、言葉を発していないと思うのだけど。そうでもないのかな。誰に

          白くて甘い綿のようなもの

          ────

          二ヶ月ぶりくらいに外で人と会って遊んだのだけど、二ヶ月も間をあけちゃいけないなと少し思った。「外ってどのくらいの声量で喋っていいんだっけ」というのに悩む羽目になった。なんか色々と覚束無かった。近頃は家と職場で生活していたので全然気づかなかったけど、明らかに外出がぎこちなかった。一人で黙々とできる趣味を持ちすぎているとこうなるのかもしれない。 久しぶりにたくさん話したのでとても酸欠。 去年の末に「今の仕事向いてないや」と悩んでいた幼馴染が、「最近仕事で嬉しいことがあって、それ

          前日談

          この紫陽花は少し前、散髪帰りに寄った骨董品店で見惚れた子。 その日はそこで買い物をするつもりは特になかった。 ただこの御店の店主が、時々気紛れに外国から古びた雑貨を輸入する事があったので、少し来ていない間に、品物の景色も変わっているのではないかと気になって、少々立て付けの悪い硝子戸を引いてみただけだったのだけれど、御店の奥に佇む、硝子の小瓶や西洋の陶磁器が等間隔で整列している木棚の上にある、錻の馬穴に、この紫陽花が最初か最後かの一輪だけ残っているのが目に止まって、軽い催眠で

          flower

          昔の写真をもう一度編集してsnsに投稿し直すと、撮影当時の何倍ものいいねがつくことがよくある。もちろんそれは、単に昔と比べてフォロワーさんが増えたから、そして運がよかったからという理由でもあるのだろうけど。 その度にあの頃の、自分の写真は見映えするものではないなという、悩みという程の悩みでもないけれど、喉の奥につっかえた魚の骨みたいな、やや主張の激しいちいさな痛みが、すぅと何処かへ落ちついていくのが分かる。 自分の撮る写真はあの頃からさほど変わっていない。技術だってきっとそ

          心がちぎれた。縫い付けるのも大変なので、いっぱいはちぎらないでほしい世の中

          心がちぎれた。縫い付けるのも大変なので、いっぱいはちぎらないでほしい世の中

          .

          2024年、御前どうしちまったんだ。 と毎日思う。毎日、新しい悲報を耳にする。 本当に言葉通り、自分以外の誰かが悲しんでいることがこんなにも想像しやすい状況、異常。 気持ちを切り替えて2025年を生きたい。

          深夜帯

          1月21日 6連勤を終えた夜なので、うつらうつらしながらお風呂に入ってご飯を食べて、ご自愛チョコレートも少々つまんで、図書館で借りた本を読み進めたら、22時頃にはもう眠りにつくはずだった。 うわ~眠いなぁと思いながらベッドに転がっていたら、なんとなく2着くらい新しい冬服が欲しい気がしてきて、「今日から連休だし、近々お店に見に行ってみようかな……」と思ったところで寝落ちてしまえばよかったのだけど、そういえば友人が「ZOZOが今安くてさ」と言っていたのを思い出して、明日から休

          .

          枯れたら色が変わるわけだから、あたりまえのことではあるけど、花も葉も枯れるほどコントラストが強くなるの、生花とは別物なんだなぁと少しさびしくなる。撮れる写真が全然違うのは面白いけど

          林檎

          シャトレーゼのアップルパイ美味しい パイ生地をあんなに美味しいと思ったの生まれて初めてだった。理想のパイ生地。僕が今までパイだと思って食べていたパイは、パイじゃなかった可能性。歴代パイ達も美味しい。シャトレーゼのアップルパイは美味しすぎた。 でも、眠い時に一回食べただけだし、もしかしたら気のせいかもしれないから、近いうちにまた買おう明日にでも、今日はアップルパイを食べた記憶しかない、口の中にいちばんに入ってきたパイのあまりの美味しさのせいで、その先の林檎がどうだったかは忘れて

          言葉も本も音楽も、別に抱きとめてくれる訳でも、飛び込ませてくれる訳でもないから、冷たいなとは思うけどそれでも、あってよかったとはいつも思う。 冬は人肌が恋しくなるというのが、人間の本能であるだけまだよかった。決して(恐らく)少なくはない割合で、他人も自分と同じような状況におかれていると分かれば、この寒さの中に取り残されている人々のことを、労りたい、やさしくしたいというきもちも不思議と湧いてくる。(傍観) 分厚い毛布でも、無印のふかふかのパジャマでも、柚子の香りがするお風呂でも