見出し画像

ゾンビPC

昨年10月に、パソコンにカフェオレをぶちまけて充電できなくなってしまった。
すぐにアップルさんに持ち込んだところ、キノコのようなヘアスタイルの優しそうなお兄さんから「修理するのと新しいのを買うのと同じくらいの金額になります」と全然優しくない宣告を受け、肩を落として帰宅した。
他の修理屋さんにも聞いてみたが、「診断するだけで有料、直るとしても5、6万かかるしそのまま良い状態が続くとも限らない」とつれないお返事。相対的貧困層の私にとっては悩むところである。
「開いて逆さまに置いておくと、もしかしたら奇跡的に復活するかもしれません」という祈りにも似たお言葉を信じてそのときを待ったが、一向にその兆しは見えなかった。次第に期待より諦めの方が勝って、開いておいても邪魔だしなあ、とそっとパソコンを閉じた。

さて、年も改まり先日ふと気まぐれに、なんとなく、何気なく、ダメもとで、軽い気持ちで、ほったらかしのパソコンに充電ケーブルを挿してみた。そしたらなんと、ポーンと可愛い音が鳴った。
おお!なんと4ヶ月ぶりに聞く充電音。リンゴのマークも現れた。
ようやく内部のカフェオレが乾いたのかしら。
でもここでうかれてはならない。ぬか喜びは禁物だ。心を落ち着かせるべく風呂に入って待つことにした。
風呂上がりの湯気をまとってパソコンを見にいくと、ちゃんと充電が続いている。いざ、立ち上げてみると、見事に生き返っている!
ちゃんとアイコンもそのまま復活し、キーボードも打てる。
お帰りなさい!

ということで、今この文章をパソコンで綴っている。
タブレットではまどろっこしい。職場ではほぼエクセルしか使わないので長文を打つことがない。久々のキーボードの感触は実に快適だ。
でも、一度息絶えているので油断は禁物。いつまた突然お亡くなりになるかわからない。立ち上げるときに、いつもドキドキハラハラが止まらない。

思えばパソコン以外にも、同じようなことはあった。
ガスコンロの二口のうちの片方のバーナーの火力があがらなくなったのだ。サービスに電話したら「寿命ですねえ」と言われた。ここでも新調するか修理するかの瀬戸際で悩まされ、あれこれ考えているうちにある日突然、ボッと火力が上がったのだ。ラッキー!

洗濯機の脱水がかからなくなったこともあった。ブザーはとうの昔に鳴らなくなっていたので、これも寿命かなと思い修理を呼ぶべきか迷った。その前にあちこちいじっていたら、外せるとと思っていなかった部品がパキッと取れて、慌てて部品を戻したらまた脱水ができるようになった。なんかよくわからんけどラッキー!

不思議なことに、家の設備が不具合になるのはなぜかボーナス時期だ。こいつら、それをちゃんとわかってるのか。でも結局復活してくれてるってことは、「うちはお金ないんだから、今あんたらのために大事なボーナス使うわけにいかないんだよ!」という心の声も届いているのかもしれない。ありがとうね。

今うちには、そんなゾンビみたいに生き返った家電設備たちがいっぱいいる。持ち主同様、しぶとくしぶとく、へこたれず生き抜いて欲しいものである。










この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?