Prelude 第10回本公演「AM2:54」① 公演を終えて
活動休止前、最後の舞台はこの作品となりました。
この作品に出演して得たものが多過ぎたので、書き残したいと思います。
仁科ナナとしての、想いです。
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0.出演が決まった時の話
まず、2023年11月に出演した火男の火が最後になるかなと、ふわっと思った時、「出番少ないけどまぁいいか、今年沢山舞台やれて楽しかったしな。」って感じだったんです。本当は。
でもその稽古中にPreludeの西村さんから出演オファーを頂きました。
それを断るという選択肢はありませんでした。
私にとってPreludeは「こういうお芝居がやりたかったんだ」と深く実感した、はじめての劇団だったから。
色んな舞台に出させてもらってきました。色んな作品、色んな団体と関わりました。でもはじめての気持ちだった。
自分がやりたいこと、実は全然明確じゃなかったんだなって、Preludeと出会って、はじめて知った。
ただ活動休止の理由が理由なので(詳細は伏せますが)流石にそれでも大丈夫とはならないだろうと思って、出演は半ば諦めていました。
しかしPreludeは何度も話し合いを重ね、私の出演を決めてくださいました。本当に慎重に決断してくださったと思います。
私は本当に嬉しかった。心の底から感謝しました。
オファーの時点では「劇団のパワハラの話」くらいしか聞いていませんでした。
台本を読んだ時は「私が書いたのでは?」と思うくらい、頂いたミドリという役の性質が理解出来ました。
事情のある私を使うと覚悟を決めてくれたPreludeに、改めて、絶対にこの作品のために貢献しようと思いました。
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1.役作りについて
ミドリは絶対ナナなんだよな、と西村さんに言われて、頂いた役でした。
稽古が始まり、役への理解を深め、身体に落とし込む作業は、結構辛かったです。
自分と感覚が近い役というのは今までも何度かありましたが、役と自分をきちんと切り離さないと出来ないと思ったのは、初めてでした。
結果、ミドリは、全然私じゃなかったです。
私らしさが活きる部分が多くあるだけの、全く別の人でした。
それに気付いてからは、やるべき事が明確になって、一気に深まった気がします。
もしかしたら、傍から見たら読み合わせの時から何も変わってないのかも、と思うことはありましたが……(笑)
なんかでも、いつもそうかもしれないなって。
初めて読んだ時の感覚が、ある意味では作品においてのその役の役割を果たせていて、稽古を重ねるにつれて自分と役とが混ざっていって、あれこれ最初にやってたやつでは?となること、結構多かったかも。
今回の稽古期間は本当に冷静に、確実に、役を組み上げていくことが出来た感覚がありました。
一本通ったのは最終稽古の通しでしたが。
うーん、おっそい。すみませんでした。
公演が全部終わったあとに西村さんと話した時に
「まじでめっちゃミドリだったね」って言ってもらえた。
芝居褒められたことないんよねマジで。嬉しすぎた。
Prelude絶対なくなってほしくないって、思いました。
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2.Bキャストについて
Bキャストは、とっても芝居が好きで、この作品に深い想いを持っている子ばかりでした。
きっとAキャストもそうだったんだろうなと、客席から見ていて思っていました。
こんなに、やる気のない人が一人もいない現場は、正直今まで無かった。
作品のためを考えて話し合える仲間しかいない現場は、人生で初めてだった。
作品のためを考えて話し合える、って凄いんです。
大体の俳優は、自分がやりやすいように相手に変えてもらうために話してくるから。
シーンの共通認識を取り、それぞれがどうすればいいか考えて、擦り合わせて完成まで持っていくという作業が出来たのは、奇跡に近いんじゃないかと思うくらい、レアケースでした。
全員が同じくらいの熱量で向き合ってるからこそぶつかる時もあったけど。
小屋入りした時には、本当の劇団みたいな、本当の劇団よりも何なら強い絆で結ばれてるんじゃないかって思えるような、最強のチームになっていました。
劇団に所属したことはないので想像でしかありませんが…( ˊᵕˋ ;)
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3.集客について
今回、目標を【77枚売る】と言っていました。
ええ。ナナだからです。
本当は777枚が良かったけど。何なら24777枚が良かったけど。
とか、そんな理由で軽く立てた目標でした。
だってそんなに売れたことないんですよ。
大体いつも30~45くらいで、まぁ小劇場ってそんなもんでしょと思ってました。正直なところ。
でも稽古を重ねるうちに、この作品って最早わたしの人生なのではって思うくらい、思い当たるシーンが多くて。
見て欲しいって気持ちを抑えきれず、お知らせしまくりましたところ、なんと
【90枚】
こんなにも、最終的に来てくれました。
普段の倍以上です。
ビックリした。
てかどこにいたのみんな、となった。
こんなにも私の最後を見届けようと時間を作ってくれる人がいたことに、感激しました。
どうしても来れなかった人の中にも、調整してくださった方も何人もいて。
来てくれた人の多くは現役の俳優さんでした。
2016年から活動して来て、今まで沢山の舞台に立ちました。
色んな舞台で一緒になった色んな人が来てくれたのは、本当に嬉しかったです。
ただ、傷付けたいという意図はもちろんないけど、舞台に関わったことがある人にとっては、きっと気持ちのいい内容ではなかったから、内心ごめんなさいと思っていました。
でも、見れてよかったと。
誘ってくれてありがとうと、言ってくれた人が多くて。
見てくれた同業の方に、この作品を今やる意味が伝わったのだと、とても嬉しくなりました。
「みんな遊び半分で集まってさあ… お芝居続けた
くても、続けられないやつもいるんだけどな」
なんて、思ってる人もいることは、ちょっと覚えといてほしいかもなと、ちょっとだけ、思ってます。
もちろん同業じゃない人からの感想も嬉しかった。
何より嬉しかったのは、何年も応援してくれてるファンの方が、この作品が、私そのものだと感じてくれていたこと。
私にとって、この作品は私の俳優人生でした。
もちろんそのまんまではないけれども。
それに気付いてくれる人がいたのが、なんだか、少し救いでした。
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4.集客について②
さっき「大体いつも30~45くらいで、まぁ小劇場ってそんなもんでしょと思ってました」と書きました。
ただでさえチケット代は年々上がっているし。
正直場数を踏むための新人ばかり使ってチケットバックでやってる団体でチケット代4000円は、もう流石に私は出れないし、大事なお客さん呼べないなって思ってて。出るからには宣伝はするけど。出ないけど。
なので、信頼出来る作品作りをきちんとしている団体さんに出ようと思うと、どうしても単価が上がりました。
すると集客数はどんどん減りました。
あー私、価値ないなーって思ってました。
でもね
今回90枚売って、自分、ぬるかったんだなって思いました。
「芝居のクオリティこだわるのは分かるんですけど、そのレベルじゃないっていうか」
「全然お金にならないし」
「自己満の世界ですから」
ミドリの台詞、めちゃくちゃ特大なブーメランでした。
ミドリが馬鹿にしてる小劇場の俳優、めっちゃ自分のことだったんですよ。ビックリビックリ。
西村さんにも言いましたけど、マジで言えねー‼️なんてこと言わせんだ‼️って思ってました、文句ではなく。笑
小劇場の出演ギャラって基本それだけで生活出来る金額じゃなくて。
でも今回、ギリ家賃払えるんですよ、ギャラで。
それで、人生で初めてちゃんと考えました。
5.芸で食っていくということについて
毎回60とか100近く呼んで、芝居のクオリティを絶対落とさず、応援してくれるファンを満たし続けてずっと活動している女優が、身近にいます。
すごいなー、と、思ってました。
自分には出来ないなーって。
真剣に、考えました。
復帰した時、券売目標《77枚》を今後も続けて、芝居のクオリティを更に上げて、見に来てくれる人に見て良かったと言い続けてもらうことなんて、私には出来るのか?
休んでる間も、何もしないなんて訳にはいかないと、思いました。
元々出演が出来ない期間はスタッフ業務に徹しようと思っていました。
少しでも舞台に関わっていたいから、大した額じゃなくても仕事としてオファーをもらえるように動いていこうと思っていました。
でも
それでいいのか、迷いがうまれました。
私は、俳優です。って、堂々と言い続けたくなりました。
私は舞台に立つことが好きです。
演劇が大好きです。
どんなに辛くても、どんなに大変でも、どんなに苦しくても。それでもやっぱり楽しくて、大好きです。
今日も明日も明後日もその先もずっと演劇の事を考えていたいです。
ぬるい自分から卒業して、復帰できるように
強くなって帰ります。
また、舞台上に。
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6.最後に
Preludeへの出演を許してくれた全ての人に。
受け入れてくれた共演者のみんなに。
見届けてくれたご来場者のみなさまに。
遠くから応援してくれてる家族や友人に。
今まで舞台で関わった全てのみなさまに。
心からの
ありがとうございました。
今まで沢山迷惑かけました。ごめんなさい。
これからも、よろしくお願いします。
仁科ナナ
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