誰にも言えなかったことをどうか聞いてくださいって話

誰にも言えなかったこと。があります。
最近ツイッターでは、よく安全ピンという言葉が流れていますね。
最初の頃のツイッターはこんなに過激では無かった。そんな気がします。
今ではどこでも誰もがいろんな意見を言い、そして誰かに否定されています。
だからか、それとも過去の自分の恥を晒したくなかったからか言えなかったことがあります。少し長くなるのですがどうか読んでもらえませんか?


それは、遠い昔の記憶。
私が小学一年生の頃。
季節は覚えていない。ただ薄着だった。だけど、お腹が弱い私はキャミソールを中に着ていた。
一般的には平均より大きい私もあの頃は、そう姉よりも小さくて、何も知らないうぶな子供だった。
大きなランドセルを背負ってその日も学校から帰っていた。幼馴染と後何人か。男の子も女の子もみんなでランドセルを跳ねさせてかけていた。
通学路にある地下トンネルを通る前。私は気づいていた。背の高い黒いスプリングコートのようなものを着たおじさんがついてきているのに。
たしかにその人は私たちの後ろを常についていた。
でも、周りには大人も沢山いた。おばあさんが自転車で駆け抜けていっていた。隣には友達がいた。気にしなかった。
トンネルを抜け、駅前を抜け、川沿いをまた笑いながらみんなで走った。学校が終わってお家にランドセルを置いたらまた駆け出すんだ。そして、公園でまた遊ぶ。16時になったらみんなでまた帰る。きっとその日もそんな約束をしていたんだと思う。

川沿いを行き、途中でバイバイと手を振った。住んでいるアパートの表口は川沿いにあって、左に道をそれて進むとアパートの裏口になる駐車場につながっていた。その左の道をまっすぐ進んだ先に友達は住んでいた。
私は駐車場の手前で友達とまたバイバイと手を振った。お母さんに会うのが楽しみだった。

そんな私は肩を叩かれた。振り向いた。知らないおじさんが笑っていた。ズボンの中に手を入れられた。最初は訳がわからなかった。ウブで純粋で何も知らない私は、はみ出したキャミソールをズボンに入れられるのかと思った。違った。その手は下着の中にあった。


押した。
あまり覚えていないけど、私はもつれる足で逃げた。家のある三階に走った。二階あたりで、上から声がした。近隣の人が廊下で話していたんだ。振り向いた私は、おばけのように見えたおじさんが階段を上がるのをやめて逃げていくのを見た。
声が出なかった。私の中には、私は恥ずかしいことをした。という感情があったんだ。
三階についたら、廊下で井戸端会議をしていたおばさんに、あらおかえりなさい。と言われた。
顔が見れなかった。ただ小さな声で、ただいまって言った気がする。

家についても私はひた隠しにしようとしていたのを覚えている。でも出来るわけもなく、おかしな私に気づいた母に小さな声で全てを話し泣いた。
その後警察が来た。あぁ頭が真っ白になるってのを始めて経験した。その人がどこから付いてきたのかなんて何も思い出せなかった。

子供って、すごくてその後担任が来たころには、私は笑ってケロッとした顔でその犯罪者が持っていたカバンがどんなものだったかなんてのを話した。
今でも覚えている。紫のパイピングがされた外付けのポケットが側面に二つあり、赤と黄色と後何色かで英語が書いてあった。確かそれはショルダーバッグだった。社会人が着ていそうな黒に近いロングの軽いコート。短髪で丸顔より中肉中背。私はその人の顔も今も薄っすらと覚えている。
ミスタービーンの役者に似ていた。今でも、ミスタービーンはちょっと苦手。ごめんね。
私はこのことを誰にも話したことがなかったし、話せなかった。これは恥だ。恥以外の何者でもない。と思う。

あれから、私は無意識に後ろがきになるようになった。事あるごとに振り返るようになった。男に負けるのが嫌になった。強気でいるようにした。電車でも夜道でも疑い深くなった。
そのおかげなのか。あれ以来被害にはあっていない。電車でも殺気ではないけど、人を寄せ付けたくないという顔をしている。
まぁあれもあると思いますが。身長が一般男性と変わらない。というのもあるかもしれませんが。
私は人一倍警戒心を強くして生きています。


そして、自分の身を自分で守れるほど人は強くないとわかっています。安全ピンに頼ってもいいと思う。シャーペンとかボールペンとかに頼ってもいいと思う。電車を止めてもいいと思う。
頭は真っ白になってしまうから。理解なんて追いつかないから、何かできることをしてもいいと思う。
そうして、どうか自分の心を守ってほしい。どうか周りの人は勇気を出して守ってほしい。別に声をかけなくてもいい。わざと小突いて気づいていることを犯罪者に知らしめるだけでもいい。それだけでもいい。何かしてほしい。

この恥がどうか減るように。
私も、どうかあなたも誰かを助けてください。

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