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A200系教室のおもいでと「自由の学園」について

せつめい

北海学園大学の1号館と呼ばれる3階建ての(どちらかといえば低めの)建物の2階と3階にA201教室からA305教室に至るまでの教室群をG-plus!上からほぼ無制限に(目的・借りる時間・借りる教室数)借りられる時代がかつて存在していたことはまだ記憶に新しいだろう。
これらの教室ではコロナ禍の昨年度においても時事問題研究会(通称時事研 Twitter @hgu_newssg)などを中心に「対面時事研」と称して対面活動を行われていた。
本来は人文学部ゼミ室であるこれらの教室内には両面使用可能のホワイトボード、プロジェクター(流石にこれを用いる者はほぼ存在しなかった)、貸し出しノートPC、コンセントと各種設備が設けられており、個人の自習から真面目な勉強会、サークル活動にまで用いられていた。

この自由が突如として奪われてしまったのが忘れもしない2021年4月14日水曜日のことだった。今後も人文学部事務室窓口への申請を通じての教室貸し出しは可能なのだが、今回の規制の目的に「ゼミ室利用の正常化および厳格化」が掲げられている以上、今後はサークル活動のための利用(元々サークル活動への利用は禁止されているのだが、サークルが主催する勉強会などは許可されていた。その判断基準なら時事研なんかは実にまっとうな勉強会をしていることになる)が厳しく規制されるだろう。

この規制の直接的なきっかけとなったのは恐らく利用制限布告の6日前にA203教室等で開催された履修相談会ではないのだろうか。この会の主催者は「北海学園大新入生歓迎(応援)アカウント2021(非公式かつ非公認)」(Twitter @hokkai_hgu)の関係者でもあった。この相談会には他ならぬ私自身も唯一の経済学部生かつ4年生として途中参加したが、そこには賑わいがあった。様々な学年の人間が広くもない空間の中で入り乱れ、助け合い、ついでに上回生の所属するサークルに入ってみたり、それでいてコロナ感染者を(12日後の今日に至るまで)全く出していないのだから、なかなかなものであった。

新入生ガイダンスにおける発言などから学園大当局が当該アカウントの存在を認知しているのは明らかである。今後は(昨年度部室をもともと有さない強みを活かし勢力を拡大した)時事研などの非公式サークルにも検温統制をはじめとする規制の手が及ぶのは間違いない。これから人文学部ゼミ室は「正常化」され、真面目な本学学生の健全な学習スペースとして活用されることだろう。(元からサークル活動目的の利用により個人学習が阻害されていたわけでもないのだろうが)

表面的には「やましいこと」(このコロナ禍において学生部に月1の活動計画書・隔週のコロナ対策シート&活動報告書を提出しないのに加えて毎日の全メンバーの検温も実施しないまま対面活動を実施していることをそう感じる真面目な本学学生も少しはいるのではないだろうか。Twitterには全然いないけど)をしない学生が多い本学ではあるが、果たしてその「正常化」はよいことなのだろうか?

実のところ本学は旧帝大の中では京大と同程度に有名な北大(一般人の知名度だけなら東大の次だろう)に比べると世間から全然注目されていない。だがそれ故に、実に曖昧かつ学部の裁量に任せるところの大きい本学のコロナ対策が世間から批判されることなくやってこれたわけだ。それに対して北大は実に大変だろう。総長のパワハラ案件が連日報じられていたかと思えば事実認定そのものが引っくり返され、それがまた注目され、批判を恐れてか部活等による課外活動を全面禁止したかと思えば道新その他に報じられた挙句7000人の署名で決定を引っくり返されたり、騒がしくなってしまう。

地下鉄東豊線に乗りゃ6分でサツエキにだって行ける地下鉄直結学園大学であるせいか大学近くの学生街を失ってしまった本学新入生が「大学生」としてのアイデンティティを強く保ちつつ日々を過ごし、人間関係を構築するためには大学施設を自由に使うよりほかないのである。

世間からの批判を浴びず、近大のようにわっかりやすく全面対面に舵を切るわけでもなく学生同士の交流を図ることが出来た北海学園大学。「不自由なインテリの官学(北大)」と「自由で元気で人の情の通う私学(北海学園大学)」という建学当初から謡われてきたものの、今や忘れ去られてしまった虚構が突如として実のあるものとして復活したのだ。

これまでは学歴コンプレックスを跳ね返すための方便としか思えなかった「自由の私学」に本学は成ったのだ。有志学生ツイッターへの委託、一部自治会横領事件への抗議、自主履修相談会。「北大はこんなに素晴らしいんだ」と喧伝し、敵を攻撃して止まない北大ヨイショアカウントと北大ブランドの威を借りるツイッタラーの跋扈する北大よりいいところがあるんだと胸を張って言える唯一の時代だったのに、それを学生部が打ち壊してくる。

いつも「無能」だなんだと本学学生の多くから罵られる学生部の横暴に抗し学生全体の要求を目に見える形で(お気持ち表明ではなく)突き付ける方法はちゃんと存在する。それは自治会執行部による団体交渉。団体交渉は労働組合の特権ではなく、私たちもまた高等教育というサービスの受益者である以上、「教育してもらっている」身分では決してないことを自覚し、積極的に学生部などに要求を突き付けてみるのもよいのではないだろうか?

まずはそのために、冬に行われる一部自治会執行委員長選挙(今や対立候補すら出ない)で自治会執行部が出来レースで擁立した候補に不信任票を投じてみるか、対立候補を擁立するのはいかがだろうか?

自治会選挙に投じられる票数は間違いなく100はおろか30にも達しない程度であり、有志学生が文化棟前に足を運び不信任票を投じるだけで結果は変わるのだ。そして「自由の私学」を取り戻そうではないか。


おもいで

ちなみに私がA200系教室を知ったのは政治学サロンの活動がきっかけだ。その後当時は学生部にちゃんと申請してC番台教室(6号館)を借りていた天文サークルに教えたり、地歴郷土研究会でずっと使ったりしていた。俺みたいに予約大嫌い人間でも使えるA200番台教室のこれまでには感謝しかない。

特に去年は世話になりっぱなしだった。活動が終わって、Gbooks前の階段から降りて、地下鉄に入る人とその他にわかれて、そっからどっか行くのがよかった。大学の建物から出るまでに時間かかると集団が散ってぐだりがちだが、この手の教室では決断を早い段階でしなきゃなんないのでぐだらなかったのだ。




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