見出し画像

《後編》【セーフティネットの”隙間”を救う。加害者家族支援の世界】”ちがい”を知ろう!ふむふむウェビナー #03

みなさん、こんにちは。
”ちがい”をたのしむ「ふむふむ」です。

今回は2023年4月23日(日)13:00~14:30に開催された『【セーフティネットの”隙間”を救う。加害者家族支援の世界】”ちがい”を知ろう!ふむふむウェビナー#03 』のアーカイブ(文字起こし)の《後編》を掲載します!

《前編》はコチラ ↓↓↓

大学の同級生に誘われて、日本で2番めの『加害者家族支援』団体である【特定非営利活動法人スキマサポートセンター】を立ち上げた笠谷先生。
さまざまな事件の『加害者家族』を支援していく中で感じた”加害者家族を支援する意義”とは?そして、『加害者家族』とそれ以外の家族との間に”ちがい”はあるのでしょうか?

インタビュアーは【げんのすけ】、ゲストは【笠谷先生】です。


『加害者家族支援』の意義と実態

【げんのすけ】
少し視点を変えまして、できる範囲でお話いただければと思うのですが、これまでお伺いしたのは、あくまで被害者の方が他人で自分が加害者を家族に持つ『加害者家族』というケースのお話がメインでしたが、犯罪の起こる場所が家族間ということもあると思うのですが、例えば性犯罪・暴行・虐待、もしかしたら殺人というケースも含めて身内で何かが起きてしまううケースもあるかと思います。そうなってくると、被害者家族だけれども『加害者家族』みたいな立場に追いやられるご家族の方もいらっしゃるということですよね?
 
【笠谷先生】
実は、殺人は家族間で起こることの方が多くて、いきなり見知らぬ人間を刺すということはニュースにはなるので、広く知られて「怖いな」となるのですが、実はそういったケースは少ないんですね。
それよりむしろ、夫婦喧嘩の末に刺してしまったというように、家族間で加害者と被害者がいて、残された家族が支援の対象となるというケースがあります。
もうこうなってくると、一言じゃ到底言い表せないですけれど、本当に辛いなと思いますね。
 
【げんのすけ】
そうなると話す側もそうですが、聞く側としても『加害者家族』というシンプルな立ち位置だけじゃないですよね。
例えばお父さんが子どもを虐待したとか、近親相姦(レイプ)をしてしまったというときは、被害者・被害者家族としての感情もあるし、でも『加害者家族』としての感情もあるし…そういう場合は、例えばどういうふうに相談があって、笠谷先生であれば心理士としてどういう風にお話を聞いてアドバイスをされるのですか?
 
【笠谷先生】
そうですね…。
少しぼかしてお伝えしますけれども、子どもが父を殺したという事件がありまして、そのお母さんからご相談があったんですけれども、夫の墓参りに行ってその後に子どもの刑務所に面会に行くみたいな話を聞いていますと、もうこちらとしてもね「じゃあこうしましょう」なんて言えないですよね。
「こうしたら大丈夫ですよ」なんていう話ではなくて、カウンセリングでもそうですが、何かアドバイスをするというよりは、まずはもう本当にお母さんが感じている気持ちを聞くということですね。
事件が起きてからだいぶ年数が経った時ではありましたが、お母さんが「刑務所からの帰り道に桜が咲いているのを見てちょっと気持ちがほっとしました」という話を聞けただけで、こちらとしてもよかったなというか、なんとなくほっとするような感じでしたね。
本当にその話に寄り添って聴きつつ、事件直後はもうぐちゃぐちゃになっていて「私の子育ての仕方が(悪かったのかもしれない)…」という風に言っていたのですが、ちょっと外に目を向けられるようになって、「桜が綺麗だな」とか、「仕事どうしようかな」とか、そういう話ができるというだけでも少しずつ立ち直られてちょっとほっとするなっていう感じはしました。
 
【げんのすけ】
あまりにも事件の衝撃が大きすぎると、話を聞きはするけれども、時間が解決してくれるというか、ご自身の精神力頼みみたいな話になってくるのですか?
 
【笠谷先生】
その時に自分一人で家の中で悶々と「私の育て方が間違っていたのかな…」と考えるよりは、カウンセラーとか、気のおける親友であるとか、他の『加害者家族』という立場の人とかに、「あんたの子育てが間違ってたよね」なんていう話ではなくて、何か感じたことをちょっと聞いてくれる人がいるというだけで少しは気持ちが軽くなったら良いなと。
その繰り返しなのかなとは思いますよね。
 
【げんのすけ】
やはり家族間の犯罪も少なくはないってことですね。
赤の他人に急に暴行を加えるということは少ないから、僕らが知らないだけで『加害者家族』でもあり、被害者家族でもあるという方は意外といらっしゃるってことですね。
 
【笠谷先生】
そうですね。
だから、そんなに遠い世界の話ではなくて、身内ですごく仲悪い兄弟がいるとか、親子がいるとなっていても、確かにそこからいきなり殺人になるというのは相当レアな話だとは思うのですが、感情的になったその時に包丁が近くにあって、衝動的に手に持って刺してしまったということもあり得ない話ではないと思います。仮に大事には至らなくても、傷害事件ぐらいであったとしてもそのご家族は大変な目にあうことは十分にありうる話なので、遠い世界の話で片付けてしまったら何のプラスにもならないなという風には思っています。
 
【げんのすけ】
そういうことを考えてみても、やはり『加害者家族』を支援するということはまだまだその必要というか、もっともっと広げていかないといけない部分なのかなって…最初の話に戻ってしまいますが、まだまだ浸透はしてないですよね。
 
【笠谷先生】
そうですね。
20年前、30年前はどうしていたんだろう?と思いますね。
昔だったら村八分にされたりとか、そこに住んでいられないからさまよってしまったりというような…。
今の時代だったら本当にどう生活していったらいいんだろう…となりますよね。
それこそSNSとかでずっと晒され続けるとかの話になると、本当にそれはそれでどうしていらっしゃるのかなと思いますね。
 
【げんのすけ】
やはり、日本はまだまだ被害者家族の方への支援も行き届いていないと思うので、被害者や被害者家族の方々に対しての支援はやはり必要だなと思います。
こういう活動をされていて、被害者家族に対してのサポートがまだまだ足りない、被害者に対してのケアもまだまだ足りないという現実もあると思うので、そういったサポートをもっと充実させないといけないという議論もされているとは思うのですが、その中で『加害者家族支援』という活動をされていると、「いや加害者の支援が先じゃないだろ」みたいな、それこそ【スキマサポートセンター】叩きみたいなことはないですか?
 
【笠谷先生】
幸いにして今のところ大きな叩かれ方はないですね。
 
【げんのすけ】
それは安心しました(笑)
 
【笠谷先生】
でも、言葉を一つ間違えると、「加害者側に立っている」みたいに、単純に考えられてしまうのも嫌だなと思うことはあります。
でも、基本的な考え方としてやはり被害者の方がまずきちんとケアされるべきというのも私個人でも、団体としても思っています。何かの加害行為をして、民事(裁判)で訴えられて負けた時にはきちんと謝罪もして、支払うべきだと思っています。それが前提で『加害者家族』支援や、加害者本人の更生・社会復帰を手伝うことで再犯は防げるのかなという風に思っています。
 
【げんのすけ】
例えば虐待を考えた時に、虐待されて育った本人が大人になって自分が家族を持てるというような年齢になって結婚した時に、自分が虐待をされて育った人は自分の子どもに同じことをしてしまうという話も聞くことがあるのですが、だからご自身もそうだと思ってしまって、「自分も親と一緒になってしまうから子どもを持たない方がいいのではないか」と考えてしまうケースも、「負の連鎖」だと思うこともあります。
そういう意味でも被害者のケアはもちろんですが、新たな加害者を生まない、再犯をさせないためにも加害者の家族を支援することが必要というお考えなのですね?
 
【笠谷先生】
そうですね。
それこそ、虐待でいうと、親が「子どもを叩いたらだめ、叩いたらだめ、叩いたらだめ…」と強く思うがあまり、耐え切れなくなって最後に叩いてしまうということもあります。
「叩いたらだめ」というストレスや気持ち、考え方について誰かがフォローしてあげたら本当に叩かなくて済むのに、叩いた後に「叩いたらだめでしょ!」と言ったところで余計叩いてしまうというか…。
もうちょっとうまいやり方や前向きなやり方があるだろうなと思いつつ、どちらかというと叩いた人に対しては「何で叩いてしまったんだ!」となると、止めにくいこともあるよな…と思いますよね。
 
【げんのすけ】
これもお話しいただける範囲で大丈夫ですが、例えば依存症系の犯罪でいうと、昨今覚醒剤のニュースは芸能人の方を含めて世間を騒がせているものもあるかと思いますが、こういう依存性が強いものを断ち切るために、【スキマサポートセンター】として支援していることはありますか?あれば、どういう内容を提供していらっしゃるのですか?
 
【笠谷先生】
これは家族向けというよりはご本人向けになってしまうかもしれないのですが、覚せい剤は10年止めていても、10年めに例えば注射器を見ただけでまたやりたくなってしまうくらい強い依存性があるんですね。
「脳からよだれが出る」という表現もあるくらいです。
そんなこともあるので、本当に注射器に近づかないためにはどうしたらよいかとか、また、仕事が終わった後等の充実感を得ている時に覚せい剤をしたくなるというケースもあって、ただし最初はそういうことに気づいてない人もいるので、週末にやりたくなる「引き金」に気づいてもらうためにカウンセリングをするケースもあります。
【ダルク】という、薬物依存症のフォローをしている団体のところで寮生活をしてみるという方法もありますね。
 
【げんのすけ】
なるほど。
やはり再犯を防ぐという面でも、本人の意識を変化させるというのが必要なのですね。
家族としてもやはりそこに対しての知識を付けて一緒に過ごしていくということが結構だいじなことなのですね?
 
【笠谷先生】
例えば家で一緒に生活していてこういう事件が起こると、より家族は「監視しよう」とか「管理しよう」という風になりがちなんですね。
例えば25歳の息子が覚醒剤とか大麻で捕まりましたという時に、本人が帰ってきて迎え入れた家族はそのあとどうなるかと言うと、本人がいない間に部屋も掃除して「またそういうのを持っていないだろうな…」とか、本人のSNSを見て管理しよう等とすると、本人は「鬱陶しいな」と思って結局またやりたくなってしまうということもあるんですね。
 
【げんのすけ】
うわ!なるほど!
 
【笠谷先生】
裁判では家族に対して、裁判官が「ちゃんと管理監督できますか?」と聞くのですが、実は本人を管理監視したからと言って、実はやろうと思えばできてしまうので、それこそ監視したところでどうにもならないという面もあるということを家族にお伝えする、ということもありますね。
 
【げんのすけ】
なるほど!そうですよね…。
前半にお話ししていた、夫が性犯罪や痴漢をして、離婚するのであればそれで一度区切りを付けられる部分はあると思うのですが、奥さんや夫が罪を犯しても別れないとか、お子さんが罪を犯した後に家を追い出すわけでなければ、また迎え入れて家族として生活するとなりますよね。でも、(罪を犯す)前と全く同じ生活はやはり送れないですよね。
その後もダメージが続くと思うので、ご家族自身もどこかで新しい生活様式みたいなのを作っていかないとダメな状況になる訳ですよね。
 
【笠谷先生】
逆に言えば、例えば罪を犯す前の結婚生活であまり本音を言えない状況であったりとか、隠れてこそこそするようなところがあったり、奥さんには気を遣い過ぎるのかもしくはプライドが高いのか分からないですが、ちゃんとお互いに本音が言えなかったりする家族関係を見直すと、もしかしたら再犯しなくなるかもしれないので、ちゃんとお互いに本音を言えるとか、ストレスがたまってもきちんと話ができるようになるとか、そういう「新しい家族」を作ってもらうようなイメージですね。
締め付け・締め付けとなれば、より犯罪に向かってしまうという難しいところがあるなと思いますね。
 
【げんのすけ】
加害者が刑務所から出てきた後や、その事件の裁判等が終わって家庭に戻ってきた時に、『加害者家族』の方がさっきおっしゃっていたように過剰に監視や躾をすることによってまたそれが家族間で深刻な問題に発展するケースもあるのですか?
本来『加害者家族』は加害者じゃないけれども、加害者に対して『加害者家族』が加害者になってしまうくらいのケースもあるということですか?
 
【笠谷先生】
奥さんが性犯罪をした夫にブチギレてしまって、「あんたもう何してんの?」みたいな感じで、事件を起こしてから関係性がきついと感じるようになったとか、全部夫の行動履歴を確認したり、直接暴力をふるうことはなくても、全て締め付けられているみたいな感じになるパターンもあるんですね。
それを加害というと言いすぎかもしれないですけれど、かなり圧力はかかっていることもあるので、支援者としても逆にひやひやするんですよね。
そうなると余計に再犯のリスクが高くなるので、お手伝いしている中で「いや、それやり続けられるとやばいな」ということもあります。
気持ちは分かるんですけどね…。感情的なことはすごくわかるし、「いや、まずいな…」と思いながら関わっていることもあります。
 
【げんのすけ】
やはりそういう部分でもそのサポートの期間は長い時間を要すると思うんですよね。
事件が起きた時にまず相談の連絡が来て、ニュースで騒がれるなり裁判が終わるなり、刑務所で刑期を全うするまでの間だけのサポートではなくて、おっしゃっていたように罪を犯してしまった方が帰ってきた後、さらにそこからのケアというのも必要になるとすると、ものすごく長期的な支援が必要になることもあるということですね。
 
【笠谷先生】
それこそ団体が立ち上がってからずっと関わっているケースもありますね。
5~6年関わっているような方もおられるので、逆に今関わり始めた方で、裁判の結果が例えば懲役となれば、「刑務所を出てくる頃にまたお待ちしております」ということで待ったり、待っている間も奥さんや家族も一緒に支援したりするという、ものすごいロングスパンで支援が必要なこともあります。
とにかく来てくれさえすればお手伝いできるのですが、「もう(支援は)いいです」となってしまったら、こちらからはそれ以上もうどうしようもないですよね。
来てくれる家族にはそういう風にフォローができるかなと考えています。
 
【げんのすけ】
もう聞けば聞くほどディープな、深いお話ですね。
加害者になってしまった家族に対しての気持ちもそうだし、逆に自分が家族なのに罪を犯す前兆に気づけなかったと思ってしまうケースもそうだと思いますが、ご自身で「理想の家族像」とか「家族とはこうあるべきだ」みたいな考えに縛られ過ぎている方がそういった傾向になる可能性があるのかなとふと思ったのですが、実際はどうですか?
 
【笠谷先生】
例えばさきほどの虐待で言うと、殴ったらだめだし、親から自分が殴られて育ってきて、嫌な思いをして「自分の子どもには絶対殴ったらだめ」と思う、それ自体はいいとは思うのですが、その反面教師の思いが強過ぎて、「殴ったらだめ…」「でも、どうしようも腹が立つ気持ちをどうしたらいいんだ?」というときに、子どもに対してではなくても何らかの形でストレス発散をできるところがあるかどうかがだいじだと思います。
結局また両親から受けたような傷を同じように負わせるということにつながりかねないというところがあります。
『加害者家族』の中でも全員が全員じゃなくても、「父たる人はこういうキャラクターでないといけない」と威張っていたり、例えばプライドが高かったり、家族の中ではこうしなければならないというイメージを持っているということはありますね。
価値観が強すぎれば強すぎるほど、全てが犯罪につながる訳ではないですが、例えばそれによって鬱になる人もいるかもしれないし、犯罪に走りがちになってしまうなという感想はあります。
 
【げんのすけ】
家族内で、または個人単位の価値観とは別に、社会から押し付けられるというか、国とか文化によって理想像がそれぞれあると思うのですが、あまり理想像に傾倒し過ぎると逆にそれが引き金になりやすいというケースもあるということですね?
 
【笠谷先生】
そうですね。
うまく言葉では説明できないですが、特に盗撮や痴漢においても、なんとなく「男らしさ」みたいなものに固執している人は多い気がします。
やっていることは全然男らしくないですし、男として最低なことをしているのですが…。
余談ですが、性犯罪は刑務所でも「ピンク」と言われて、他の傷害事件とか薬物とかよりもちょっと馬鹿にされるんです。
 
【げんのすけ】
へー!ちょっと卑怯だみたいな感じですか?
 
【笠谷先生】
そうでうすね。
(性犯罪をする人は)我慢しがちなが多いですかね。
例えば、「男たるもの弱音を吐いたらだめ」とか、コミュニケーションを取るときに自分の本音を見せないとか…。
性犯罪の盗撮とか痴漢によく共通して見られる性格だなと思いますね。
これはあくまで一つの例ですけれど、性犯罪というものに限って見てみると、そんなキャラクターみたいなものも見えてきます。
 
【げんのすけ】
事件が起きてニュースになった時に、ご近所の人とか同僚の人からお話を聞くと「学生の頃は真面目でしたよ」とか、「勤務態度も良好でした」みたいなのもあるあるですよね。
そこだけを切り抜いているというケースもあるとは思うんですが、往々にして多いなと感じるのは、やはり周りが思っているのと実際に個人が抱いている、内に秘めてるものはやはり同じとは限らないし、そういう意味では、個人的には普段何らかのフラストレーションを抱えているときに、例えば家族だからといって絶対いつでもそのフラストレーションを吐露できるわけではないと僕は思っていて、家族だからこそ自分の不安とか葛藤みたいなものを逆に言えないというケースもあると思っています。
でもそれが例えばカウンセリングがもう少し身近になって、そういうフラストレーションを発散できたり自分の内にある何か偏ってしまっている考えをリセットできたりするようなきっかけがもう少し気軽にもてるような環境になれば、もう少し犯罪抑止力にも繋がらないでもないのかなとは思うのですが…。
 
【笠谷先生】
そうですね。
例えばめちゃくちゃ厳しい家で育った息子が、お父さんに対して学校の成績が悪かったなんて怖くて言えないとか、また否定されると思ってしまうと、なかなか言えないですよね。
そうなると、例えば友だちに言うことができたらいいですよね。「ちょっとゲームしすぎたわww」みたいな感じで言えたらいいのですが…。
友だちはいない、お母さんも全然話聞いてくれずお父さんの言うことばっかり聞いてしまうということもあるかもしれませんし、お父さんからしたら「お前の育て方が悪いんだ」とお母さんが怒られてしまう、その姿を見たくないということになれば、家族って意外と利害関係が出てきて素直に言えないこともあると思うんですよね。
友だちに言えたらいいし、友だちにもやっぱりプライドがあって言えないとなった時に、カウンセリングであれば基本的には利害関係はないですし、カウンセリング料が必要なところだったら、お金だけ払えばちゃんと話は聞いてくれるし。
利害関係のない第三者に話ができるというのも悪くないんじゃないかと思うんですよね。
それがもしかしたら犯罪の抑止につながるかもしれないし、本人のしんどさをフォローできるかもしれないなとは思いますね。
 
【げんのすけ】
そうですね。
例えば『加害者家族支援』でいうと、加害者を身内に持ってしまった後で【スキマサポートセンター】に問い合わせがくると思うので、何か問題が起きた後にカウンセリングに行ける環境はもちろん十二分に必要だと思うし、これからもっとサービスを提供できる団体や場所が増えていけばいいなとは思いますが、おっしゃっていたように事が起こる前の段階で気軽に、後腐れがない関係の人だからこそ話せるカウンセリングというものもあるよ、という認識が上がるとより良いのかなと改めて今感じました。
 
いろいろお話をいただき、ありがとうございます。
実は事前にインタビューをさせていただいているので、流れで挟めてないようなお話もあるのですが(笑)
もし今見ていらっしゃる方で何かご質問等がありましたらチャット機能ないしふむふむの公式ラインの方でも結構ですので、書き込みをしていただければと思います。
 
書き込みをしている間の雑談にはなりますが、笠谷先生はこのようなお話をされる機会はあるのですか?
 
【笠谷先生】
私はあんまり講演会のような場で話すことはなくて、どちらかというと、代表の佐藤がそういう役割でして、少年院や刑務所関係の人にお話しをしたり…、あとは宗教関係とか行政機関とかも多いですね。新聞のインタビューも受けているので、時々記事になったりもしていますね。
 
【げんのすけ】
主にこういう『加害者家族支援』とか犯罪とかに関連のある場所や、関連したお仕事に就かれてらっしゃる方に対してお話しする機会の方が多いですか?
 
【笠谷先生】
そうですね。
一般市民の人に向けてっていう今回のような機会は珍しいですね。
なかなかマニアックな世界でもあるので、知らない方が普通かなと思いつつ、でも何かプラスになってもらえたらなという思いもあります。
 
【げんのすけ】
ありがとうございます。
コアな仕事や、コアな文化・経験を持たれてらっしゃる方、要するに希少性の高い経験を持たれている方のお話は意外と希少性が高いにも関わらず、ないしは希少性が高いからなのかあまり表に出にくいじゃないですか。
でも意外と希少性が高いからこそ、それ以外の人が見聞きすることですごくいい影響やいい刺激になることがたくさんあるんじゃないかなと個人的には思っています。
今回ご縁があって笠谷先生をご紹介していただいて、「実は『加害者家族支援』というのをしていましてね…」みたいなお話を聞いた瞬間にもうこれは是非多くの方に知っていただきたいなと完全に僕個人の興味ではあるんですけれども、思いました。
普段は忘れてしまいがちだなというところがあるけれども、犯罪が起きたニュースを見たときにどうしてもやはり被害者の方に意識がいってしまいがちではないのかなと思っていましたし、僕個人としては特に加害者や『加害者家族』を叩くとかもちろんそんな意識はないですが、逆に『加害者家族』を叩いている人を見たら、法が裁くことであって、そのために法律があるので、例えば刑務所に5年入るとなったときに「いや、5年じゃ短い」とか、そんなことで加害者本人や『加害者家族』に当たるっていうのはちょっとちがうのかなと。法に対して怒るべきであって、現行の法律ではそれが妥当と判断されたわけなので。
それを個人の感情とか個人の怒りでも罰しようとするのはちょっと危険だなという思いはあります。
かといって『加害者家族』に対してそれ以上の思いを馳せることがあるのかと言われてみれば、僕はそういうところではまだまだ至らなかったなと思うことが、今回笠谷先生のお話を聞いてすごく考えさせられたというか、やはりもう一歩進んで『加害者家族』のバックグラウンドやその先を見ることが、最後におっしゃっていたように社会的に良くするためにもすごく重要だということを感じたので勉強になりました。
 
ではここで届いたご質問を紹介します。
「このようなお話を聞く機会が初めてで興味があり参加をしました。
私は罪を犯してしまった背景としてひとつは家庭環境があるのではないかと思っております。
『加害者家族』を支援していく中で、実は虐待があったり、両親の仲が全然良くなかったりといったような家庭はありましたか?
答えられる範囲で構いませんのでよろしくお願いします。」
これはいかがですか?
 
【笠谷先生】
『加害者家族』を叩くことには何の意味もないなと思いつつ、でも『加害者家族』のあり方というは再犯をふせぐという意味では一つの要因ではあるかなと思うので、そこは変えていけたらなと思っています。
例えば両親が不仲だったから子どもが外の人と繋がった場合ですと、つながり先が普通の友だちであればいいんですけれども、やんちゃな友だちでそれこそ非行と呼ばれるような悪いことをする人と繋がってしまったらやはり悪いことをする可能性も高くなりますよね。
「それを選んだのは本人だろ」という厳しい意見があるかもしれないですけれども、そんなことまで考えずに至ってしまうということも少年や子どもならば可能性としてはあるので、家族の要因というのも一つはあるかなと思っています。
変えられるのであれば、そこは変えていくという支援もしています。
他にも、高校を中退になったり仕事がクビになってしまったりしたら、違う進路や違う仕事を一緒に考えて、もう一度社会につなげていくのはだいじなことかなと思います。
 
【げんのすけ】
【スキマサポートセンター】では例えば再就職とか、法的な案内をする等、生活に必要なサポートもされてらっしゃるのですか?
 
【笠谷先生】
そうですね。
例えば私も以前、引きこもりの就労支援をしていたので、その就労支援のノウハウで履歴書の書き方や具体的なことをお伝えしたり、ハリーワークに行って仕事を3つぐらいピックアップしてからまた相談してよみたいな感じで一緒に考えたりとかもします。
これはまた重たい話になりますが、加害者家族がそこに住んでいられなくなった時に、違う地域で過ごすときに仕事がないとなれば、場合によっては先に生活保護の受給手続きをする必要が出てくる場合もあるわけですよね。
そのときに手続きをどうしたらいいのかということで、どこそこの福祉課に行ってケースワーカーさんから例えば「車を持っているのか」「貯金はあるのか」とかいろいろなことを聞かれるからこういったやり取りをしてくださいね、ということをお伝えするなど、まるっとやっている感じです。
 
【げんのすけ】
そう思うと、現在のところ日本に2か所しか団体がなくて、それだけのことを全部スタートから最後までやってもらえるところというのは貴重ですね。
以前お伺いした時にすごく印象的だったのが、今回のお話の中でも暴力や詐欺、性犯罪というところが主に出てきたのですが、例えば車に乗っていて自分が交通事故を起こしてしまった、誰かをひいてしまった、とかでそもそもだめですけれど、それでも怪我で済めばいいですが、ただ半永久的に残るような傷害を負わせてしまうような怪我をさせてしまったとか、亡くなってしまったとなることもあり得ると思うんですね。
自分に殺意はなくても急に車を運転しているときに自分が殺人をしてしまう立場になる機会は誰にでもあるわけであって、もっと言えば『加害者家族』になる可能性なんかはもっと高いと思うんですね。
笠谷先生がお話しされていたように、「ネットで叩くというのもあるけれど、誰でも家族になる可能性はそういう意味でもあると思うんですよね」というお話をされていた時にはすごくはっとさせられました。
 
【笠谷先生】
例えば仕事が忙しすぎて、頑張って睡眠薬を飲んで治療を受けて朝出勤の時に車を運転していて、睡眠薬の影響で少し眠たくなって人をはねてしまって…となると、もうそれだけで加害者本人ですからね。
もちろん、子どもや配偶者がいればそれはもう『加害者家族』ですし。
違法薬物をやっていて車運転して無免許でひきましたとかだったら話は変わってしまいますが。
本当にこういう感じで『加害者家族』というカテゴリの中に入る可能性はゼロではないですよね。
その後、警察の取り調べ、裁判となった時にどうするか・・・という世界だと思います。
 
【げんのすけ】
そうですよね。
その話を聞いて、自分が被害者になる可能性ももちろんあるのですが、自分が加害者になったり自分の身内が加害者になってしまう可能性も十二分にありますよね。
自転車の飲酒運転とかはたぶんまだまだ多いと思いますし、本当にちょっとしたことで意外と当事者になり得る可能性が日常的にあると思うので、その意識を忘れずに生活しているだけでもちがうことは多いと思いますね。
例えば、人に対して投げかける言葉とかニュースを見たときに思うこととか、自分が拾える情報の角度も変わってくるのかなと思います。
 
今日は本当に興味深いお話をたくさんしていただき、ありがとうございました。
皆さんもご参加いただき、ありがとうございます。
 


『加害者家族』とそれ以外の家族の”ちがい”は?

【げんのすけ】
それでは本日最後の締めの質問をさせていただきたいと思いますが、笠谷先生にとって『加害者家族』とそれ以外の家族の間に”ちがい”はあると思いますか?もしくはないですか?

仮に”ちがい”があるとしたら、どういう”ちがい”があると思われますか?

 

【笠谷先生】
…難しいですね。
僕は基本的に”ちがい”はないかなと思っています。

先ほど言ったように、交通事故の『加害者家族』なんていつなるか分からないということもあるので、”ちがい”というほど大きく捉えることはできないかなと思っています。

細かいところでは育て方であったりとか、本人の交友関係であったりとか、いろいろな犯罪につながる要因等あるとは思うのですが、そんなに遠い世界の話ではなくて、『加害者家族』とそれ以外の家族にそれほど僕は大きく”ちがい”はないと個人的には思っています。

 【げんのすけ】
ありがとうございます。

本当にすごくディープなお話だったので聞けば聞くほど自分の知らない世界で、自分は見聞きしたことがないし「関係ない」というような感覚にも一瞬陥りがちなんですが、たびたび出てきた「遠い世界の話ではない」というところが「本当にそうだな」と、いつどうなるか分からないし、もしかしたら明日【スキマサポートセンター】に僕も含めて電話する可能性もあって、自分でなくてもお隣の人がとか、ちょっと遠くの親戚がとかを含めると、可能性は十二分にあるなと思うので、やはり知ることってだいじだなと改めて思いました。

 

【笠谷先生】
僕も初めは知らなくて、知ってからわかった部分は本当に多いし、佐藤という代表から誘われてやり始めてたくさんいろいろなことを聞いてイメージできるようになったので。

今日も本当にご縁なので、ちょっと知っていただいて頭の片隅にでも入れていただければありがたいかなと思います。

 

【げんのすけ】
今後、ニュースを見る目も変わりそうな気がしますね。

このように、今後もいろいろなゲストの方をお呼びする予定です。

職業編でいきますと、直近では【和彫り】の彫師さん、入れ墨を彫る方をゲストにお招きしようと考えております。

昨今もまた刺青の問題も方々で取り上げられたりしておりますけれども、【和彫り】だけを専門にされてらっしゃる彫師の方をお呼びして、「刺青ってどうやるの?」とか、「刺青って怖いんじゃないか?」とか、そういった背景についても含めて、いろいろなことをお伺いする機会も予定しております。

今後の予定についての情報等は、公式ラインより常にお知らせしておりますので、よろしければそちらもチェックしてください。

 ということで、本日は日曜日の午後の貴重なお時間を割いてご参加いただきましてありがとうございました。

また今後もこういった活動をさせていただければと思いますので、今後とも宜しくお願い致します。

笠谷先生も本当にありがとうございました。

みなさんお疲れさまでした。ありがとうございました。


そしてこの記事をお読みくださったみなさまもありがとうございました。

また次回のウェビナーでお会いしましょう^^♪


ウェビナーを見てみたい!と思ってくださったそこのアナタ!
ご案内はLINE公式アカウントで配信しております^ ^
「ふむふむ」が気になった方、ご質問・ご相談・依頼はコチラ
↓↓↓ふむふむHP https://www.26fumu.com/
LINE公式アカウント https://lin.ee/CljV9U1

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?