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2023/8/23ふむふむ体験型ワークショップ/講演~京都市立久我の杜小学校~

みなさん、こんにちは。
"ちがい"をたのしむ「ふむふむ」ですヾ(≧▽≦)ノ

京都市立久我の杜小学校にて
げんのすけによる体験型ワークショップ(WS)および講演をさせていただきました!
京都市立久我の杜小学校HPはこちら


今回は、はじめて小学校にお伺いしました!
小学校の先生方は日頃からたくさんの人権研修を受けておられますが、”LGBTQIA+に特化した研修を受けるのは初めて”という先生も多かったようです。
校長先生をはじめ、どの先生方も「子どもたちに還元できるように」との想いを胸に、真剣にそして積極的に取り組んでくださいました。

今回も先生方と一緒に考え、そしてげんのすけが今お伝えできることを精一杯お話させていただきました!
小学生を対象に熱心な教育活動をしておられる先生方だからなのか、出てくる感想や意見も素直なものが多く、我々もとても勉強になりました^^


それでは、さっそく今回のラインナップです!

以下のようなジェンダー教育や人権教育などをご検討のみなさまに、本記事が参考になれば幸いです!
 ・教職員対象の研修会
 ・生徒対象の学習会・講演会
 ・保護者(PTA)対象の講演会



「”ちがい”を知ろう
~感じて、知るLGBTQIA+と差別~」

いきなりですが、質問です。
「差別」とは何でしょうか?
いざ説明しようとすると、難しいですよね。
「差別」が何かをおおよそ知っているであろう大人に説明するのも難しいです。
ましてや、「差別」という言葉を聞いたことがない人、例えば小学生にその概念をどう説明すればよいのでしょうか?

「差別」の定義は人によってさまざまです。
同じ事象に立ち会った人でも、「それは差別だ」という人もいれば、「いや、これは区別だ」という人もいます。
また、「特に気にならなかった」「言われるまで気づかなかった」という人もいます。
どれかひとつが正解で、それ以外は誤り、と簡単に言い切れるものでもありません。
どのような立場で「差別」と向き合うかによって答えは変わってくるとも言えます。

そして、「差別」に対してどのような態度をとるかは、自由です
ただし、ふむふむでは『一人ひとりがしっかりと考える』姿勢を持ってほしいと考えています。
根本的な解決や、それに向けたアクションを起こすことはなかなか難しいかもしれません。
しかし、『考える』ことはできます。
まずは身近なことから、少しの時間でも構いません。
一人ひとりが『しっかり考える』こと。
それができれば、次はその考えを誰かとシェアしたり、解決に向けた相談をしたり、実際にアクションを起こしたり…という『行動』につなげられるかもしれません。

今回ご参加いただいたのは小学校の先生方です。
先生方に、会の冒頭で「差別とは何でしょうか?」「先生方なら、生徒に差別をどのように伝えますか(伝えて来られましたか)?」という問いかけをしてみました。
答えはひとつではありません。
何度もいいますが、まずは『考える』ことがだいじです。
先生方に問いかけをしたうえで、実際に「差別」を受ける体験(体験型WS)をしていただきました!

”ちがい”を感じる体験型ワークショップ(WS)

冒頭での問いかけの後、体験型WS(ロールプレイ)を実施しました。

ふむふむが実施する体験型WSの目的は以下のとおりです。
・実際に差別をされる体験をする
 →差別を受けてどのような気持ちになったか
・差別されている現場に居合わせる体験をする
 →差別を間近で見てどのような気持ちになったか
  差別を間近で見てどのような判断ができたか/できなかったか
  差別を受けている人に対して何ができたか/できなかったか
※差別を生み出さないために「多様性を認める」とはどういうことかを考える

ロール(役割)は次のとおりです。
・先生方 … 絵画教室に通う生徒
げんのすけ … 絵画教室の先生
※個々の生徒には「A」または「B」という生まれながらの「特性」がある。

実施内容の概要は以下のとおりです。
・絵画教室に通う生徒(先生方)が自由に絵を描く
・絵画教室の先生である講師(げんのすけ)が描かれた絵を見て批評をする
 ※「A」または「B」であることを理由に不当な評価を受けることもある

先生方は、カラーペンや色鉛筆などの好きな色を使って楽しそうに絵を描いてくださいました!
久我の杜小学校の先生方はみなさん絵がとても上手でした。
図工の授業をはじめ、普段から絵を描くということに慣れていらっしゃるのかもしれません。
そして、なんのためらいもなく書き始める、そのスピードにも驚かされました。

ところが…
絵画教室の先生(げんのすけ)は、絵画教室に通う生徒(先生方)が一生懸命に描いた絵をひとまず褒めてはくれるけれど、なぜが「A」または「B」という本人にはどうすることもできない「特性」によってその評価を容赦なく下げてきます。
不当に低い評価をつけられてしまう人、その状況を目の当たりにしている人、…さきほどまでの朗らかな会場の空気は一変し、誰もが口をつぐんでしまいました…

体験型WS(ロールプレイ)終了後、参加者(先生方)どうしで感想をシェアしていただきました。
その一部を紹介します。(簡潔な文に変更しております)
・気分を害するというよりは、「自分が間違えているのではないか?」と不安になった。
・一種の洗脳状態(?)になりやすいと感じた。
・相手の顔色を窺ってしまい、全体に対して発言しにくかった。
・日常生活を振り返って、無意識に発言している内容にも気を付けないといけないなと感じた。

簡単なロールプレイでしたが、実際に「差別」体験をすることで何かを感じ、そして考えるきっかけになってくれたのではないかと思います。


事例検討
~学校生活における悩みや不安と対応~

ここからは、当事者が学校生活において抱えるであろう悩みや不安にはどのようなものがあるのか、また学校としてどのような対応が可能かをグループに分かれて具体的に検討してもらいました。

ただし、今回はげんのすけの当事者性から「生徒がトランスジェンダーである」場合を想定したディスカッションとさせていただきました。

たくさんのご意見が出ましたが、主な課題として
・トイレ、更衣について
・宿泊を伴う学校行事について
・持ち物や遊びについて
が話題になりました。

学校の対応については、当事者個人の事情や学校の状況にもよりますので、決まった答えがあるわけではありません。
だからこそ難しい。
生徒に還元できるように一生懸命議論を重ねてくださった結果、以下のようなご意見が挙がりました。
・子どもがどこまで気づいているかがだいじだと感じたと同時に、気づいてあげることの難しさがあるとも思った。
・学校としてできることとできないことやリスクをきちんと説明したうえで、本人や保護者に選んでもらうことがだいじだと思った。

また、「子どもが親よりも先に先生にカミングアウトをしてきたとき、どのように対応すればよいのか?」という疑問も挙がり、先生方と一緒に考える貴重な機会にもなりました。

その後、事前に当事者の方々にご協力いただいたアンケート結果を用いて当事者のリアルな想いをご紹介しました。

アンケート結果の内容は、当事者の方が学校生活においてどのような場面で何を感じ、何に困り感を持ち、どうして欲しいと思っているのかをまとめたものです。

当事者のリアルな想いのうち、今回は特に「LGBTの授業をしてほしい」という「声」にも注目をしました。
小学校のうちから「正しい知識」を持っていれば、もしかしたら救われる部分があるかもしれません。
知識がなく、自分が何者であるか分からないという不安な時期を過ごしたことがあるというげんのすけ自身の経験も踏まえながら、教育の現場にできることをシェアさせていただきました。


”ちがい”を知る講演
~カミングアウトについて考える~

学校生活における当事者の悩みや不安とその対応について先生方に考えてもらいましたが、これらは当事者が「カミングアウト」していることを前提としています。
つまり、学校側が「この生徒は当事者である」と認識したうえで話を聞いたり、可能な対応を考えたりすることができるというものです。

しかし、当事者の方々にとってカミングアウトはとてもハードルが高いものです。

そこで、カミングアウトすることが当事者にとってどれほどハードルが高いことであるか、事例を挙げながら説明した後に次のような提案をしました。

”「カミングアウトすれば安心できる学校生活」ではなく、
「カミングアウトしなくても安心できる学校生活」を送れるように、各学校でできる対策をぜひ行っていただきたい”

学校によってできること、できないことがあるとは思いますが、まずは「何ができるか」を考えて欲しい、と提案して講演の結びとさせていただきました。

久我の杜小学校では既にさまざまな取り組みをされています。
今回の研修会では、大きくうなずきながら、一生懸命メモを取りながら聞いてくださった先生もいれば、「難しい」と素直に声に出しつつも真剣に考えておられる先生もいらっしゃいました。
先生方のとても熱心な姿勢を拝見して、これからもっともっと生徒が過ごしやすい環境が整っていくだろうと感じました。

そして、ふむふむすべての方が安心して生活できる社会をめざして今後も活動を続けていきたいと思います。




いかがでしたか?
今回は初めて小学校にお伺いしました。
先生方の熱心で積極的な姿勢もあり、とても学び多き充実した研修内容となりました!
そして、小学校のうちに授業などを通じて「正しい知識」をお伝えするということのたいせつさを改めて感じました。
もちろん、どの校種においても生徒の発達段階に応じて「正しい知識」をお伝えすることはたいせつだと思います。
ただし、当事者の方も含めてすべての方が安心して生活できる社会(=不安に感じる期間が少しでも短くなる社会)をつくるうえで、小学校の役割の大きさを改めて感じました。
全教科の指導に、遊びに、毎日子どもたちと真摯に向き合う小学校の先生も本当に大変なお仕事だと思います。
そんな小学校の先生方にふむふむが何かお力になれることがあれば、ぜひお力になりたいと考えております。
いつでもお気軽にご相談ください!


また、困ったことや周りには言えない悩みがあったり、自分なりに考えたことを伝えたくなったりしたら、いつでもご連絡ください。
ふむふむはみなさまからの連絡を待っています^^

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