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《前編》【すべての人に美の喜びを☆知られざる介護美容の世界!】”ちがい”を知ろう!ふむふむウェビナー #02

みなさん、こんにちは。「ふむふむ」です。

今回は2022年10月15日(土)20:00~21:30に開催された『【すべての人に美の喜びを☆知られざる介護美容の世界!】”ちがい”を知ろう!ふむふむウェビナー #02』のアーカイブ(文字起こし)の《前編》を掲載します!

インタビュアーは【げんのすけ】、ゲストは【中野さん】です。


友人の死、意識の芽生え

【げんのすけ】
本日は「ふむふむウェビナー」2回めです!
早速ですが、私の自己紹介をさせていただこうと思います。
チーム「ふむふむ」は、さまざまな人と人との“ちがい”や、文化の“ちがい”、価値観やその他いろいろな“ちがい”を知り、その“ちがい”を楽しむことで一人でも多くの方が自分らしく、安心して楽に生きられるような社会づくりができたらな…という想いで立ち上げました。
私はチームふむふむの【げんのすけ】と申します。

ふむふむウェビナーは、ゲスト自身の様々な経験や、あまり見たり聞いたりすることがないようなお仕事の話を聞いていこうというコンセプトで実施しております。

今回は、今はまだあまり多くの方が耳にする機会がないのではないかな?という職業「ケアビューティスト」として活動されてらっしゃる中野仁美さんに来ていただいております。
本日は中野仁美さんのお話を伺いながら、「介護美容ってなに?」というところを掘り下げていこうと思っております。

さらに!中野仁美さんはモデルであり、ダンサーでもあるのですが、モデルとして活動している人がなぜ介護美容の世界に行くことになったのか、経緯も気になるところなので、その辺りも含めていろいろお話をお伺いしていきます。
では早速ゲストの中野仁美さんです!

【中野さん】
こんばんは!
【げんのすけ】
こんばんは!本日はお忙しい中ありがとうございます。
(中野さんのzoom画面背景をさして)可愛らしいバックですね。
【中野さん】
そうなんです!オリジナルのロゴを先日作っていただきました!

介護美容 イロトリドリ


【げんのすけ】
ご自身のロゴということですか?
【中野さん】
そうです。今後活動するにあたり、ロゴを作ろうと思いまして。
【げんのすけ】
素晴らしいですね。
では、『イロトリドリ』という名前で活動されていらっしゃるということですか?
【中野さん】
そうです。
【げんのすけ】
では、早速ですが、自己紹介をお願いします。
【中野さん】
初めまして、中野仁美と言います。
現在はダンスとケアビューティスト、介護美容のお仕事をさせてもらっていて、関西を中心に幅広く活動をしております。
【げんのすけ】
まずダンスについてですが、ジャンルとか、活動場所を教えてもらえますか?
【中野さん】
もともとストリートダンサーなので、ストリートダンススタジオとか、クラブのイベントとかですね。
振付師もしているので、お芝居の舞台とか、ミュージカルに出させてもらったり、振り付けをさせてもらったりもしています。
【げんのすけ】
あれ?じゃあ、芝居もするんですか?
【中野さん】
芝居もたまにします。
【げんのすけ】
いや、すごい経歴…
ダンスはいろいろなジャンルをしているってことですよね?
【中野さん】
そうですね。結構いろんなジャンルをします。舞台だったらジャズもするし。結構幅広いですね。
【げんのすけ】
ダンスもいろんなジャンルをして、かつスタジオで教えてもいるし、振付師でもあり、自分がダンサーとしても出演するし、舞台に出る時に芝居が必要な場合があれば役者としても出るし、…あれ?確か、モデルもしていますよね?
【中野さん】
はい。モデルもしてます。
【げんのすけ】
ですよね。ちょっと…肩書が多くて、名刺がパンパンになる(笑)
【中野さん】
肩書…そうですね(笑)
名刺を作る時に、削りに削って凝縮しましたね。
【げんのすけ】
肩書削るって凄いな(笑)
仮に、今後ホームページを作るとしたら、経歴がいっぱいになりますね。
今はメインはストリートダンスというお話でしたが、ストリートダンスって一人でやるというよりかは、チームを組んでやる印象が強いのですが、中野さんもチームでされているんですか?
【中野さん】
ダンスチームはあります。
marc-eco(マークエコ)というチャリティーを目的としたチームで、専門学校の同期で集まったチームがあります。
今はみんな全国に散らばって活躍をしていて、チームで何かをするというのはなかなかできないので、基本的にソロで動いています。
【げんのすけ】
一人でやるか、もしくはチームで動くとしたらmarc-ecoというチームでダンスをやってらっしゃるということですね。
ちなみにmarc-ecoはどういうダンスチームなんですか?
【中野さん】
チャリティーを目的として、基本はダンス公演を主催しています。
その時々でチャリティーの目的や場所も変わってきますが、例えば癌患者さんへの支援のチャリティーや、地震…東日本大震災の時もさせてもらったのですが、そういう支援金集めとしてのチャリティーもありますし、あとは支援学校でワークショップをするという感じですね。
【げんのすけ】
ベースはチャリティーダンスチームということなんですね。
【中野さん】
そうですね。チャリティーをする目的とか、テーマはその時々で変わりますが。
【げんのすけ】
東日本大震災は10年近く前の話になりますが、その前からチームはあったんですか?
【中野さん】
そうですね。結成したのが2010年なので、12年くらい前ですね。
【げんのすけ】
2010年頃から、一度も解散することもなく10年以上はずっと活動を続けていらっしゃるということなんですね。
【中野さん】
そうですね。
【げんのすけ】
ところで、チャリティーをー目的としたダンスチームを作ろうと思ったきっかけは何ですか?
複数で踊るダンスチームはたくさん結成されると思うのですが、特にチャリティーを目的としたダンスチームというイメージはあまりなかったので、何がきっかけでそういうチームを作ろうと思ったのか、元々ダンスチームがあってチャリティー活動も始めたのか、どちらですか?
【中野さん】
きっかけはダンスの専門学校の同期の仲間の一人が若くして癌で亡くなっちゃって、それを機に命に関していろいろ考えることがあって、それがきっかけで、自分たちがやってきたダンスで役に立つことはないのか?と後のリーダーになる子が考えていたみたいなんですね。
当時、ヴィヨンセやリアーナとか、アメリカの女性歌手が集結して歌っているチャリティーソングがあって、それをリーダーが聴いて感銘を受け、「私もこんなことがしたい!」と思ってみんなに声をかけてでき上がったチームなんです。
【げんのすけ】
へえー!
同じ専門学校に通っていた友だち同士でチームをすでに組んでいた訳ではないんですね。
その友だちが癌で亡くなったから今marc-ecoのリーダーの方が、「ダンスで何かしよう!」って立ち上がったことがきっかけなんですね。
【中野さん】
そうですね。
【げんのすけ】
ちなみに、その感銘を受けた曲で振りを付けて踊ったんですか?
【中野さん】
そうですね。他の作品もたくさん作りましたが、「メインはそれ!」みたいな感じで、その曲に振りをつけて踊りましたね。
【げんのすけ】
みんなダンスはしているけれど、ジャンルもバラバラなんじゃないですか?
【中野さん】
バラバラです。ジャズ、ヒップホップ…あと、ストリートダンスの中にもいろいろなジャンルがあって、ハウスとか…もう本当にいろいろな人が集まってできているチームですね。
【げんのすけ】
みんなジャンルが違うのに、同じ曲で踊るんですよね?
【中野さん】
そうですね。
【げんのすけ】
すご!え?それは可能なんですか?
【中野さん】
それこそ、ダンスの専門学校を出た私たちだからこそできたのかもしれないですね。
ジャズも一応踊れるし、ジャズの子もヒップホップも踊れるし…みたいな感じなので。
【げんのすけ】
そうか!
【中野さん】
ジャンルレスな振り付けにはなっていると思います。
【げんのすけ】
じゃあ、斬新なチームなんですね。
他にそういうチームを見聞きしたことってありましたか?
【中野さん】
うーん…その当時はあんまりなかったかな。
【げんのすけ】
パイオニアじゃないですか!
【中野さん】
パイオニアですね(笑)
【げんのすけ】
チームが2012年ごろに結成して、そこから何年後に公演をしたんですか?
【中野さん】
結成してから1年間かけて(ダンスを)作って、次の年に公演しました。
【げんのすけ】
1年でもう公演するところまで作り上げたということですよね?
【中野さん】
そうですね。でも、舞台の場合、1年かけるって結構すごいことなんですよ。どれだけ長くても、半年もかけたら「すごいね」みたいな世界なので。
【げんのすけ】
1年かけていろいろ練って、資金もかかるし、宣伝したり、舞台借りたり…それも自分たちの日頃の活動やツテを駆使しながら…
【中野さん】
駆使しながらです。
【げんのすけ】
先程おっしゃったように、ファーストステップとしては、ご友人が癌で亡くなられたから癌に対してのチャリティーを目的として活動されたということなんですが、1回で終わらずに「続けよう」となったということですよね?
【中野さん】
そうですね。
【げんのすけ】
毎回、「今度はこれをテーマにしよう」とか、「これについてのチャリティーをしよう」みたいな感じでやってきてるんですか?
【中野さん】
そうですね。
最初に公演した時もそうですが、出演がきっかけで繋がりができて、「こういう社会福祉のイベントがあるからそこで踊ってほしい」みたいになることもありました。
それで終わりとかではなくて、まだまだいろいろしていこうという感じでしたね。
【げんのすけ】
おっしゃっていたように、どんどん繋がりができて、最初に自分たちが想像していたところとは全然違うような角度のチャリティーにも関わるようになっていったということですね?
【中野さん】
そうですね。
【げんのすけ】
こんなに長く続くとは思ってなかったですか?
【中野さん】
どうなんですかね…(笑)
正直、未来のことはあまり考えてなかったですね。そのときどきに、「やれることをやろう」みたいな。
【げんのすけ】
ちなみに、ダンスの作風はどういう感じですか?
チャリティーって、例えば「世界平和!」みたいな強いメッセージを発信しているイメージもあるんですが…。
【中野さん】
それは全然ないですね。
最初の曲は『ジャスト・スタンド・アップ』という曲ですが、それも歌詞は別にそこまでチャリティー性が強い感じでもないですし、多少チャリティー寄りかなというくらいで。
ただ、一つの作品として観ていただけるし、他の作品も普通のダンスのショーケースです。だから、普通に楽しくダンスを観に来てもらって、かつそのチケット代が寄付されるという感覚です。
【げんのすけ】
「感情に訴えかける」メッセージを伝えるというよりかは、あくまでメンバーのそれぞれが今までこ会得してきた自分たちの得意なダンスを楽しく踊るという延長線上で、実はチャリティーになってるという結構カジュアルな感じなんですね?
【中野さん】
そうですね。
【げんのすけ】
メッセージ性が強いと、見る人も「ちゃんと見ないと駄目なのかな?」って思いますが、楽しんで気楽に見られるような仕組みになっているということですね?
【中野さん】
そうですね。ダンスの舞台をちょっと見に行こうかな!みたいな感じです。


介護美容の世界へ

【げんのすけ】
チャリティーに関して、大きなきっかけがあって、いろいろな特技を持ったメンバーがーつの方向に向かってチャレンジを続けるという、この十数年間を過ごされてきたということですね。
そういう前提があるから、介護美容は早い段階でやろうと思って活動や勉強をされたんですか?
【中野さん】
そうですね。
介護美容はこれまでにはないジャンルだったのですが、最初にフォーカスしたのは若い女の子だったのですが、病気で外に出れないとか、入院生活してるという年頃の人も、そうでない人と同じように、お洒落したい・化粧したいと絶対に思うだろうし。
ある時そういう本を見て、「あ、そっか…」「確かにそうだよね」という気づきがあって、やりたいなという想いを個人的に温めていました。
【げんのすけ】
頭の中ではやりたいなという計画や考えがあったんですね。
【中野さん】
そうですね。
【げんのすけ】
昔は介護美容という言葉や概念そのものがあまりなかったのだろうかなとは思うんですが、実際に介護美容という具体なワードや仕事があるというのを知ったのは何がきっかけなんですか?
【中野さん】
コロナ禍で自粛していたとき、ダンスのお仕事も全部ストップして、家にこもってSNSを見ていたら、介護美容の専門学校の情報に偶然出会ったんですよ。
私が温めていた、介護美容に対する想いのはじまりは7~8年前とかですが、まだ介護美容という言葉もないし、「こんなことしてみたい」とヘアメイクの知り合いに聞いたのですが、「めっちゃ難しいよ」って言われて、なかなか踏み出せないでいましたね。
トライした人もいないし、当時は前例がなく、ジャンルも確立されていなかったのですが、ネットでたまたま見た情報に介護美容の専門学校が載っていて、「これこれ!」ってなりました(笑)
【げんのすけ】
コロナで自分の活動がぴたっと止まったことがきっかけで、逆にずっとできずにいたことを始めるきっかけが回ってきたっていうことですね?
【中野さん】
そうですね。
もう本当に、すごい偶然で。
【げんのすけ】
「うわー!(専門学校に)行く、行く!」ってなりましたか?
【中野さん】
「これやん!」ってなりました。
【げんのすけ】
見つけてから手続きするまでは早かったですか?
【中野さん】
めっちゃ早かったです。
何でもそうですが、「これする!」って思ったらすぐ行動に移すタイプなので(笑)
【げんのすけ】
「介護」は聞いたことあるし、「美容」も聞いたことがあるんですが、2つが合わさって「介護美容」となったら、なんとなくイメージがつく方もいらっしゃるとは思うんですが…実際に介護美容とはどういうものですか?
【中野さん】
高齢者の方、または高齢者でなくても介助が必要な方、障がいをお持ちの方とかで、気軽に美容をできない、または少しハードルが高い方を対象として、介護しながらというわけでもないのですが、その知識をもって先ほど言ったような方にもできるような美容体験を施術することですかね。
例えばネイルやエステ、メイクをご希望に沿って施術させていただきます。
綺麗にすることだけではなくて、実はその後が本来の目的で、例えば綺麗にしたからテンションが上がったりとか、普段は足腰も悪いし外に出るのも億劫という方が(綺麗になったことで)「少し家から出てみようかな」という気持ちを持ってもらったりとか、美容体験したことによって認知症の進行を少し遅らせる効果が期待できたりとか…。
国で定まっている介護レベルの数値を落とす(数値が高いほど要介護レベルが上がる)サポートをしたり、というお仕事ですね。
【げんのすけ】
なるほどー。
今軽く聞いただけでも、美容と介護美容はだいぶ大きな違いがあることがわかりました。
確かにお友だちがおっしゃっていた「難しいで」という意味が今聞いただけでもめちゃめちゃ理解できました。
ちなみに、介護美容師=「ケアビューティスト」なんですか?
【中野さん】
そうですね。
「ケアビューティスト」と称されていますね。
国家資格はないので、ぶっちゃけてしまうと、介護の資格を持っていて美容もそれなりにかじってますという人であれば、「今からケアビューティストって名乗っちゃおう!」はできますね。
【げんのすけ】
専門学校を出てなくてもケアビューティストと言える?
【中野さん】
言おうと思えば、言えますね。
「師」ではないので。
【げんのすけ】
中野さんは専門学校にお金を払って時間をかけて勉強をされて、その専門学校に認定された資格があるんですよね?
【中野さん】
そうですね。修了証みたいなのがあります。
ネイリストも国家資格ではないので一緒ですね。
【げんのすけ】
エステティシャンもそうですね。
美容師は国家資格ですが、メイクも別に資格がいらないというか、取ろうと思えば資格はあるけど、なくてもできる…
【中野さん】
どのような施術をするかによって、厳密に言うと「これは美容師の免許がないからできない」ということはあるんですが。
【げんのすけ】
では、多少なりとも知識があれば「介護美容提供できますよ」「ケアビューティストですよ」と言おうと思えば誰でも言えるという状況の中で、ケアビューティストになるために学校で学ぶ必要というのはどういうところにあると思われますか?
【中野さん】
専門学校に行っていた時、生徒さんの中には美容部員の方や理容師の方もいたのですが、介護の知識がゼロのまま、今からそういうサービス始めるというのはやっぱり難しくて、前提として知っておかないといけない介護の基礎知識があるので、そこを学べる点は大きいと思います。
例えば最初は皮膚の構造から学びはじめて、認知症の勉強をしたりとか。やはり、最初にちゃんと知識を入れておいて、それを前提として「だからこういう施術をしないといけない」という風に根拠をもって系統立てて学べるのがメリットですかね。
普通のお店とはお客様への対応が全くちがうところもあるので、独学では難しいし、そういうところは専門的に学ばないとかなりハードルは高いと思いますね。
【げんのすけ】
お話しを聞いていると、責任を伴うところが大きいような気がしますね。
介護的な人体のつくりとか、そういう知識があった上で、かつネイルとかエステ・メイクの知識も一緒に勉強するんですね。
(専門学校を卒業するのに)何年かかるんですか?
【中野さん】
いろいろなコースがあるのですが、私は1年でした。
週に1回、朝から夕方までみっちり授業でした。
【げんのすけ】
週1回、朝から晩まで1年で資格が取れるんですね?
【中野さん】
そうですね。
ただ、最低限のことを学ぶので、さらに自分でいろいろと勉強はしないとダメですね。
学生の頃の学ぶスピードは速いけれど、社会人になっての週1回、朝から夕方までみっちりとなると、1日で教わる量がすごいこともあって、その後どれだけ自分で復習して勉強するかが大事になってきますね。
【げんのすけ】
なるほど。
とはいえ、半年のコースもあるし、一緒に通われていた方の中には、もともと美容の知識を持っていて介護の知識だけが必要という方もいらっしゃるってことですよね?
【中野さん】
そうですね。全然違う業界の方もいますし、逆に介護の知識はあるけれど、美容は全くないという人も…いろいろな人がいましたね。
【げんのすけ】
生徒さんは女性ばかりだったんですか?
【中野さん】
一緒に受けていた生徒さんはそうでしたね。
【げんのすけ】
年齢層は幅広い?
【中野さん】
ばらばらでしたね。
私のクラスでは、一番若くて20代半ばから、上は40~50代ぐらいでした。本当に幅広かったです。
【げんのすけ】
全く美容と介護のどちらにも精通してないという、異業種から勉強しに来る人もいたんですよね?
【中野さん】
例えば自動車販売、車屋さんとか…
【げんのすけ】
え?
【中野さん】
もちろん、勉強しに来るのには背景があって来られてると思います。
【げんのすけ】
本当に全然関係なさそうな業種からも、勉強したいと思って来る方がいらっしゃるってことですよね。
例えば50代の方とかだったら、施設にしに行くというよりも、自分の親や身近な人で介護が必要な人のために勉強しようと思って来られる方もいらっしゃるんですか?
【中野さん】
きっかけはそういうのも多いですかね。まず身内に…という理由が。
【げんのすけ】
年齢も幅広いとおっしゃっていたように、例えばもともとフリーターをしていて、ケアビューティストをするために時間を割くことができるという人もいれば、主婦をされているとか、中野さんのように社会人として仕事をしながら時間を作って勉強をする人もいるんですね。
どれだけケアビューティストに対して勉強の時間を割けるかは個人差が出るところかと思うんですが、勉強は座学が多いんですか?
【中野さん】
半々ですかね。
座学もするし、実技ももちろん(します)。
【げんのすけ】
全員がエステとネイルとメイクは全部覚えるんですか?それとも、「私はネイルだけでいいです」という場合もあるのですか?
【中野さん】
ベーシックなところは全員勉強します。そこから学び続ける人は、1年かけてトータル的に深く学んでいきます。
半年(コース)の人は、基礎教養を習った上で、「私はネイルが勉強したいわ」とか「私はエステの勉強をします」という風に選択する感じです。
【げんのすけ】
中野さんはエステやネイルだけではなく、全般を習得されたんですね。
【中野さん】
はい。
【げんのすけ】
卒業試験みたいなのはあるんですか?
【中野さん】
卒業試験はないですね。その代わり、集大成ではないけれど、今まで頑張ってきたことを発揮して、お一人の方を何週間かに渡って担当させてもらうということはあります。
【げんのすけ】
最終実技みたいな感じで、施設の方に実際に提供するということですか?
【中野さん】
そうですね。
習っている間もそのジャンルごとに、コロナ真っ只中でしたけれど、ありがたいことに施設に行かせてもらって単発ではありますが、施術(実習)をさせていただきました。ただ、最後は何週間かに渡ってお一人の中をプロデュースするというか、施術をさせていただくことを集大成としてさせてもらったということですね。
【げんのすけ】
最初におっしゃっていたように、例えば病気とかいろいろな理由で介護や支援が必要な方がいらっしゃると思うんですが、身体障がいをお持ちの方もいらっしゃれば知的障がいを持たれてる方とか、精神的な障がいを抱えてらっしゃる方とかいろいろな方がいらっしゃいますよね?対象者は今言ったような方も含めて、幅広く当てはまるんですか?
【中野さん】
そうですね。全般ですね。
度合いによっては施術が出来ないということもありますけど、基本的に対象者は高齢者の方とか障がいをお持ちの方で、知的障がいや身体障がいとが、そこには全然隔たりはないですね。
【げんのすけ】
対象になる方の区分というだけでも、必要な介護の知識とかノウハウはとても幅広いですよね。専門学校から実習に行くときは、全種類の施設に行かれるんですか?例えば高齢者施設だけという感じですか?
【中野さん】
主に高齢者施設でしたね。障がい者施設や、障がい者の方がお仕事をする施設で実習をさせてもらうこともありました。
【げんのすけ】
そういう実技を経て、資格というか認定証みたいなのをもらって、独り立ちしていくということですよね?
【中野さん】
そうですね。


介護美容と美容の”ちがい”

【げんのすけ】
明らかに普通のエステティシャンとか、ネイリストというお仕事と介護美容にはちがいがあるなと思いますね。
例えば介護施設または高齢者施設に行ってエステとかネイルとかヘアメイクしますとなった時、介護美容だと具体的にどのような点がちがってくるんでしょうか?
【中野さん】
まず、目的が違います。
ネイルならきれいに仕上げるとか、エステなら肌をもちもちにするとかなんですけど、高齢者の方にはその後、さっきも言ったようにネイルやエステをした後の効果、例えばお肌をただ綺麗にするだけではなく、血流を良くして症状を少しでも改善するきっかけにするとか。
例えば高齢者の方は皮膚がすごく弱いので、乾燥してボロボロになることが原因で辛い思いされている方もいるので、そういう方に施術させてもらったりとか。
あとはリンパドレナージュとか、代謝や血行を良くして老廃物を流すことをしたり、高齢者の方は水分を取らないし、トイレに行く回数がすごく減っちゃうので(リンパドレナージュをすると)喉がめっちゃ乾くので、そういう効果を狙ってするとか、そういう点がちがいですかね。
【げんのすけ】
年齢とともに肌が弱くなったりとか、骨も弱くなることがあるわけですよね。力加減に気を遣ったり、この薬品は使えないとかもありますか?
【中野さん】
骨というか、皮膚でもあるのですが、血管がとても弱いので、ちょっとコンと当たっただけでもアザができちゃうんですよね。だから「どうしたの、そのアザ?」と聞いても、誰も知らないという会話が日常茶飯事なぐらい、すぐアザができちゃうんですよね。皮膚剥離といって、すぐに皮膚がめくれちゃうとか。
あとは、フットネイルケアもあるのですが、すごく巻き爪になってたりとかね。
白癬菌、いわゆる水虫ですごく厚くなった爪をできる限り医療行為にならない範囲でケアをさせていただくことはあるのですが、爪自体が弱くなっていますし、足の皮膚も弱くなっていることもあるので注意が必要です。
また、糖尿病で血液をさらさらにするお薬を飲まれている方は、そもそも傷つけたら血が止まらないし、刃物を使うときはすごく注意したりとか、アルコールに気をつけるとか…いろいろ(気をつけるべきポイントはたくさん)ありますね。
【げんのすけ】
すごいな…。
僕個人的には今は家族に介護が必要な人がいる状態ではないので、なおさら高齢になって肌が剥離するとか、コツンと当たってすぐアザができるというイメージや知識がないので、そこから驚いています…。
使用する化粧品や道具も普通のものとは違うんですか?
【中野さん】
そうですね。
ただ、そこは各ケアビューティストに委ねられるのですが、ちょっとナチュラル(自然由来)なものを使うこともありますね。
ただ、施設に行ってメイクをさせてもらっても、メイクを落とせないこともあるんですよね。わざわざオイル使って顔洗って…ということが難しいし、施設でも毎日お風呂に入れるわけではなく、週に3回とかだと、石けんだけで落とせるメイクにするという工夫はしていますね。
【げんのすけ】
一人ひとりにあった道具探しもしないといけないということですね。
高齢の方もそうかもしれませんし、知的障がいを持たれている方で、例えばじっと座っていられないとか、人や物が近付いてくることを嫌がったりとか、勝手に物を取るとか、そういうこともあるんですか?
【中野さん】
ありますね。
知的障がいの方や高齢者の方で認知症の方とかもそうですけど、何されるかわからなくて不安で嫌だという方もいます。予約はしていただいたけれど、いざ施術のときになると「この人誰?(知らない/怖い)」となってしまい施術できないとか。
あとは、物を取って投げてしまうから「絶対机の上に物を置かないでください」って言われたこともありましたね。その時は、ポケットに全部仕込んで施術しました。
また、すぐに立ち上がって走ってどっか行っちゃうみたいな方もいらっしゃったので、どうにか意識をこっちに向けてもらう工夫をしながら施術したこともあります。
【げんのすけ】
いわゆる普通に美容を提供されるのとは、状況が本当に人それぞれあまりにも違うじゃないですか。
長時間同じ体勢で座れない方とか、初対面の人に対してストレスを強く感じられる方とか、物を取ってしまう方…、もちろんそうではない方もいらっしゃると思いますが、訪問のたびにどういう方がいらっしゃるのか、持っていく道具、道具の置き方も含めて細かくリサーチして提供されているのですか?
【中野さん】
毎回いろいろ考えていますね。
【げんのすけ】
ついつい癖で(道具を)置いてしまったり、さっきの人は置いてよかったから次も置いちゃうとかなってしまいそうな気がするんですが…
【中野さん】
その都度、臨機応変に考えながら対応していますね。
【げんのすけ】
医療行為はもちろんできないし、知識の部分でもまったく違うと思うので、そういう観点ではケアはできないけれど、症状が改善したり、気分が良くなったりするきっかけとして介護美容は大きい効果があるのかなという風には感じてらっしゃるということですね?
【中野さん】
そうですね。
直接治すわけではないけれど、“QOL”(「クオリティ・オブ・ライフ」の略)=生活の質をあげるのが目的なんですよ。
体の症状が改善されるのが一番いいのですが、ちょっと出かけたり、よく喋るようになったというきっかけで生活の質が上がるという方向に持っていくという感じですね。
【げんのすけ】
一般的にも、例えば髪の毛切ったらテンションが上がったりとか、日常生活の中でもいろいろな部分でQOLは上がると思います。
ただ、お話を聞いていると、介護美容はまたもう一段別の次元で美容を提供することによる効果が期待されて、大きな意味があるのかなという風に感じました。
【げんのすけ】
ただ、週1回・1年の期間で、テストもないし、1年ちゃんと通って資格というか証明書はもらえるけれども、そこから先は資格を持たれた方々のプロ意識というか、責任感や向上心に委ねられているっていうことですよね?
【中野さん】
そうですね。
あとは、それぞれの意識や努力にはなってしまいますね。
【げんのすけ】
まだまだ始まったばかりのサービスや業界・資格なのかなと思うので、良くも悪くもこれから広がっていく中でいつか資格制度に関して「国家資格にした方がいいのではないか?」とか課題が出てくる可能性もゼロではないのかなと。
【中野さん】
そうですね。今はいろいろ模索している段階だと思います。
医療行為すれすれというのも正直ありますし、グレーな部分も結構ある気がしますね。その辺りの明確な線引きがこれから必要になってくるのではないかなと思いますね。
【げんのすけ】
ただ、逆を言えばそれぐらい今まで「介護美容」という名前や、ケアビューティストという仕事として成立させようという動きが大きくなかったから、やっと今ここまで来たのかなという感じなんですね。
勝手なイメージなのですが、施設にいらっしゃる方に「美容を提供しよう」という概念を持っていらっしゃらない方も多いんじゃないのかなというのは正直思うところですね。
僕も最初に介護美容のお話を伺った時、これは表現するのがとても難しいですが、「必要なのかな?」みたいな、ある種の疑問を持つこともありました。もちろん必要だと思うし、提供することですごく良くなることは理解はできるのですが、「介護美容っていう仕事が必要なのかな?」っていう驚きというか、それぐらい自分の中であまりにも知らなかったことが多すぎたというか、だからこそ今回お話を伺えて、発見が凄くありました。
まだまだこれから開拓されていく業種かなと思うのですが、一人でも多くの方に興味を持っていただけて、何かやってみたいなと思う方が増えればどんどん良くなりそうな世界なのかなと思いますね。



さて!中野仁美さんとのウェビナー《前編》いかがでしたでしょうか?
チャリティーを目的としたダンス活動から、偶然の出逢いを経て介護美容の世界に飛び込んだ中野さん。
ケアビューティストのやりがいとは?今後の展望は?
そして、新しいことにどんどん挑戦していく力強さを兼ね備えた中野さんなりの”ちがい”を楽しむコツとは?

気になる続きは《後編》で!またお会いいたしましょう^^


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