世間を騒がすゴールデンウィーク、私も例に漏れず時間をもらうとなんだか自由と可能性を手にしたような万能感に包まれるなかで金曜の夜には笑っていたはず。なのに、なぜ、何も成せぬまま明日からまた労働に向かうほかないのだろう。n度目の後悔。タイムリープものの5話目あたりに描かれる失敗続きの主人公と肩を並べられるほどだろう。
　やったことといえば朝からお酒を飲んだりドラマやアニメを見たりよく寝たり久々に髪を切ってもらったり。一応、片付けもしなくはなかったのだ、机の上の30センチ四方の空間だけ。でもそんな贅沢な時間の使い方だって平日にはできないのだから、いいじゃないか。いつか見た映画でプーさんも「『何にもしない』をするのさ」ってクリストファーロビンに教えてくれたじゃないか。
　ちゃんとごろごろした、と胸を張りたいのに、なんだか金曜の夜に描いていた理想とは大きく違う気がしてくる。いや別に理想なんて最初からなかったのだ。先週は仕事もハードだったしゆっくりできたらいいなと、溜まっていた片付けも少しは進めばいいなと、美味しいものでも少し食べられればいいなと、そういう類の願いしかなかったはずなのに。予定はないのに予定外はある、と江國香織もどこかのエッセイで言っていたけれどまさにそんな感じ。誰も恨めない詐欺にあったような、騙されたような裏切られたような気分。
　いやまだ今なら何とかできなくもない。過ぎ去ったゴールデンウィークはまだ半分だけだ。また金曜日からは連休がやってくる。6話目あたりのタイムリープも前の行動を顧みながら立て直していく展開がメジャーだろう。
　俺たちの連休は、まだまだこれからだ！