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「きっと」(第11回)

「きっと」

日常生活でよく聞く言葉ですね。



「きっとあなたなら上手くいくよ」
「きっと出来るさ」
「きっと叶う」…


僕は「きっと」という言葉を使うのに少し抵抗があるんですよね。
もちろん僕も日常生活の中で自然と発してしまうわけですが。




2014年の夏からゴールキーパーのコーチとして育成に関わるようになりました。
その頃はまだ高校1年生だったので、選手と指導者の二刀流でした。


その頃から意識するようになったのが

「きっと」という言葉を使わない

ということ。




この言葉は何となく選手のことを突き放してしまっているように感じていました。



辞書で調べてみましょう。

”きっと”
①確実にそうなるだろうと予測しているさま。
②自身の事柄に関しては決意を、相手に対しては強い要望を表す。必ず。
③厳しいさま。状態に緩みがないさま。
(三省堂 大辞林 第三版)


こんな意味がありました。



さて皆さん、この意味の通りに「きっと」という言葉を使っていますか??

「〇〇ちゃんは可愛いからきっとモテるよぉ〜」
「こんなにカッコいいんだからきっと可愛い彼女いるんだろうなぁ〜」

このめちゃくちゃ嫌味っぽい文章をよく聞きませんか?



日常的に使われている「きっと」という言葉は、正しい意味のような”確実さ”を有していないと思います。


そして、”皮肉”も込められている。



言葉とは難しいもんで、相手がその言葉をどのようなニュアンスで捉えているかによって伝わり方が変化します。


事実、僕は「きっと」という言葉を
”まぁまぁ出来るんちゃう?知らんけど。”
くらいの感覚で捉えていました。


「きっと」という言葉にこんな確実さがあったんですね。初耳学認定です。




もし、選手が同じような捉え方をしていたら。

「俺たちはここまでやってきたんだ。〇〇ならきっと出来る!」


何となくこのコーチは自分に期待していないのではないかと思えてきます。
そして、何となくこのコーチは自信がないのかと思えてきます。



だから僕は指導の際、こう言います。

「〇〇なら絶対できる。」


ほぼ同義ですよね。


でもどこか、「絶対」という言葉の方が熱量や想いが伝わってくる。
そう自分が感じていたから「絶対」という言葉を意識的に使うようになりました。





ところがどっこい。最近はこんな風に考えるようになりました。

「『絶対』って言葉、重いのかなぁ…」

と。


選手の中には期待され過ぎると萎縮してしまう選手もいます。

そんな選手に対して

「〇〇なら絶対にできる!」

と言ってしまうと変なプレッシャーを与えてしまいます。



なので、僕はこんなパターンも用意しました。

「今までやってきたことを信じて。自分のペースでやり切ってこい。」


こんな風に声をかけることも何度かありましたね。
今になって思いついたことではないみたいです。



話が逸れてしまいました。

戻しますね。



「きっと」



日常生活でよく聞く言葉です。

それを正しい意味として使っていても、ニュアンスによっては意図しない方向で捉えられる言葉ではないでしょうか。

”きっと”それは、「きっと」以外の言葉にも当てはまるのかもしれません。


言葉って怖いですね。



11.

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