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「能動性」はトレーナーが引き出すもの

こんにちは、2nd GYMです。

あまり一般的には浸透していない概念だと思いますが、施術やリハビリテーションの分野では「アクティブケア」という用語がキーワードの一つになっています。WHOが唯一日本で認めるTCC(東京カレッジオブカイロプラクティック)副校長の村上先生は仰います。

カイロプラクティックや整体に代表される受け身のケア(Passive Care)に対して、アクティブケアとは筋トレやウォーキング、ストレッチなど患者様自身が能動的、主体的に身体を動かすことを示します。
それによって健康の回復・維持・増進や身体機能の向上を図り、さらには「健康を阻害するリスクを事前に予防する」というような概念も含まれた用語です。つまり能動的かつ継続的に自ら身体を動かすことによってより良い健康状態を獲得しようという考え方とその実践です。

健康を目指して運動をはじめたのに、かえって体調が悪くなった経験がある人は、その後からどんどん運動から距離を置くようになってしまいます。

身体の機能が著しく低下している場合に過度な運動をしてしまうと、身体にとって大きな負担となります。自分自身の健康レベルによって運動量を調節しなければなりません。

まずは少しずつ、自分自身の体調や客観的な健康状態を冷静に捉えながら、見極めて徐々に運動をならしていくのがいいです。

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図 アクティブケアとパッシブケア頻度イメージ

能動性は、トレーナーが引き出すもの

86歳男性の会員様がいらっしゃいます。最近は会話をすると反応が早く、「頭がキレてるな」と感じました。本人にその理由を尋ねると「麻雀に精を出しているからかも」とのことでした。

たしかに、ご家族の方のトレーニング中に奥のお部屋で怒号にも似た大声をあげることがあったのですが、PC上での麻雀プレイ中に負けたのが原因でした。負けることが相当に悔しいのだそうです。

さらにそう突き動かす動機を聞くと、
「人に迷惑をかけたくないから」なのだそうです。
現場の経営や第一線からは退かれたものの、今も取締役として時々出られているようなので、ご自身のプライドもあるだと思います。

また、昨年末に予約していた旅行が、今回の緊急事態宣言に伴ってキャンセルとなってしまいました。それも同い年(86歳)3人だけで宮古島への1週間の予定でした。

コロナの感染拡大を契機にもう1年以上も旅行に行けない状態だったので、GOTOキャンペーンを使って揚々とご友人同士で計画を立てていたのが、今回「頭がキレてるな」と感じたこととして現れたのかなと思いました。

86歳というご年齢で、仲間うちだけで家族や介護も必要とせず、飛行機を使って旅行しようとするそのチャレンジ精神と旺盛な好奇心が、若さを取り戻した要因の一つだと感じました。

実のところこちらの会員様は6年前から見させてもらっています。トレーニングというよりはストレッチ施術が基本です。当時80歳なので、耳も聞こえづらくコミュニケーションもうまくとれないこともよくありましたが、今が一番スムーズに会話のキャッチボールができます。普段からお客様の好奇心に寄り添ってきた甲斐を感じました。

クライアント様の能動性を引き出すことはパッシブなケアを施すセラピストだけではなく、われわれトレーナーにとってこそ必要なことだと改めて実感しました。

トレーニングや健康を改善するという行為自体が、日常の生活レベルを越えた運動(辛くて当たり前のもの)なので、いかにお客様の心の炭に火を灯しモチベーションを高められるように寄り添えるかが大事だよなと感じた次第であります。

体を動かすには、その土台である心(メンタル)が安定していないとできません。運動に苦手意識や拒絶反応があったらなおさらです。その心に寄り添い、背中を押して差し上げることが、我々トレーナーにとっての本質かもしれません。

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