運命の山羊座

電話をすれば、意志が揺らぐ。
声を聞くと、心が動く。

昨日の深夜、パートナーに話を聞いてもらい自分の心が決まったのに。
別の人に話を聞いてもらうとそしてまた気持ちが揺らいでしまう。どこにいるかより誰といるかの方が大事なはずなのに。いや、どこにいるかも誰といるかも同じくらい大事なのだろう。

人には、育った環境によるそれぞれの季節感があると思う。
東北の盆地で生まれ育った私にとっては、桜は4月中旬に咲くものだし運動会は秋にやる。
東京では桜が満開の中卒業式をするようだし、四国では3月下旬にはアウターなしでピクニックができるらしい。
私がいま住んでいる北国では、桜は5月の連休に満開を迎えるし、お盆が終われば秋になる。

彼は今、パートナーと子供と共に私の生まれ育った土地で暮らしている。言葉の端々に香る故郷の言葉や、懐かしい季節感の話をされる度に、強く心惹かれ帰りたいと思うのだ。

もちろん私は自分のパートナーが好きで大切で、近くにいたいと思う。だが一方で、彼と電話をする度に帰りたいと思うのだ。
どちらも嘘じゃない。

彼と一緒になりたいとか一線を越えたいとか、そんなことは露程も思わない。
ただ、安定剤として必要としている。自分のパートナーを傷付けたくはないし、相手の家庭を壊したいとも思わない。むしろ、その可能性があるのなら直ちに連絡を止める。

いつも思う、違和感の中に大切なことが隠れている。投げやりになって全て放り出すのではなく、問題に向き合ってもうこれなら後悔してもいいと思えるくらいの判断を下せ。

きっと私が彼を利用しているように、彼も私を利用している。そうだといい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?