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ポートフォリオレビュー/アワード 2023 浅田政志&GOTO AKI&中藤毅彦&野村恵子 トークショー

降ってしまったので電車とバスで六本木へ。
自転車移動と違い、待ち時間の多さに苛々する。

横幅の広い会場は、壇上の左右の後背にスクリーン。
どこからでも見やすいようになっている。

ポートフォリオレビュー/アワード 2023 の趣旨については、こちらが詳しい。

リンクがキレてしまった場合に備えて要約を転記しておくと

受賞者4名が推薦写真家からの個別アドバイスを受け、レベルアップさせた作品を展示。
会期中、受賞者・推薦写真家がレビューについて語る、トークイベントを実施。

トークショーは、レビュアー(講評者)の略歴と写真との関わり方の来し方について、それぞれがそれぞれの言葉で語り、その後レビューの感想戦、受賞者の作品や人となり、個別アドバイスの内容についてなど、談論風発、時に行ったり来たりしながら進行。

写真集は誰かの手に渡って残って行くもの。
写真展はその場だけ、今だけのもの。
音楽の「ライブ」と「音源」の違い。

プリントして客観視し、無意識の領域まで踏み込む。

プリント模型を作って組んでみる、展示模型を作って並べてみる。
壊して組み直すと見つかるものも有る。

レビューであって審査ではない。
現時点での作品の質ではなく、伸びしろを見極める為の企画。

ステートメントは説明文でも感想文でもなく、考えを伝えるためのもの。
タイトルは作品鑑賞の邪魔になったり、誤解を与えるものであってはならない。

等々、応募してレビューして貰った人々に与えられた助言のお裾分けのような、矜持とノウハウの伝承。

体験して、考えて、展示する写真を練り上げる。
アナログな作業がどこかに入らないと体温が乗らない、etc...
GOTO AKIの語る内容に頷くところが多かった。

写真を撮る人は文章が苦手な人が多いが、言語化する訓練をしていた方が、レビューに臨むにも、出版社に持ち込み営業をするにもメリットが大きい。
レビュアーの4人も、得手不得手はありつつ、自分の言葉で考えを述べていた。
「写真と言葉」の関りについて、纏まった量の考えを聞けたことが、この日一番の収穫。

最後に質問コーナー。
帰り際に漏れ聞いた立ち話から、応募したが選に漏れたと思われる人たちのようであったが、トークショーの中で語られていた内容を、振り出しに戻す形で尋ねるもので、聞いていて閉口。
今までの時間、何を聞いていたのだという呆れと共に、そうした負のエネルギーを浴び続ける事もレビュアーに課せられた責務なのかと思うと慄然。
苦笑に始まり、笑うに笑えなくなる。

作品の質だけでなく、助言や示唆とそれに対する反応の積み重ねで高みを目指して貰う趣旨からすると、言語によるコミュニケーションが取れるか取れないかは選考に於いて重きを置かれる要素ではある。
それをトークショーの中で語られた内容から読み取れない事が、選に漏れた理由の一つであったように私には思われた。

受賞者の写真展については別項にて詳述するが、いずれも写真そのものの質、写真展としての質、どちらも及第点以上の出来。
自分の写真を突き詰めていく経験は今後の写真人生に活かされると思うし、それを同輩後輩にも伝えて行って欲しい。

撮る機械からプリント迄、多岐にわたって写真に関わる企業として、写真文化の継承と発展に一定の労力と資金を投じていて、それが形になっている。
鈴木達朗を起用した動画広告の件以来、フジフイルムの企業としての写真と言う物への向き合い方に疑念が生じたままだったのだけれど、今回のトークショーで氷解した。

ポートフォリオレビュー/アワードは今年も開催される。
長く続けて欲しい催しである。

(2024.03.24 記)

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