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優先順位最下位の娘

その日は父と2人で車で買い物に行っていた。
よく店の仕入れについて行っていた。
そして帰りの車の中で
「おねぇさんと結婚しようと思ってるんだ」
と父。
【遂に来たか!】
別に、おねぇさんが嫌いなわけじゃない。
むしろ好きだよ。
でも…でも…
今思えば、両親の離婚に対しての気持ちが落ち着いていなかったのだろう。
その為の心のケアもされていない。
周りの大人達はそれぞれが自分達の生きる道、生活を優先させて来た。
私の存在は二の次だったのだ。
そんな中での再婚の話をどうやって喜べと…?
でも自分の気持ちをうまく言えない。
ただ、ただ
「いやだ!いやだ!」
と怒ったり泣いたりするだけ…
そんな私に父は
「パパは女の人が傍にいないとダメなんだよ…」
と。
【そんなの知るかよ!だったらママと別れなきゃ良かっただろ!】
父に女が必要なのと同じ様に私にも両親が必要だった。
それが無理なら、せめて両親のどちらかだけの愛情が必要だった。
そして、それさえも無理ならば、せめて、せめて周りの大人1人でもいいから私の事を一番に考えてくれる人が必要だったのだ。
しかし小学生の私にはそんな自覚など無かった。
そして、私の抵抗は又も虚しく無視された。
泣き叫ぶ私を納得させるよりも、おねぇさんの親を納得させる事が優先された。
盛大な結婚式…
無力な娘はその式場へと連れて行かれたのである…。

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