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ケネニサ・べケレという最強ランナー - ロンドンマラソン特集 -

明日に迫ったロンドンマラソン 。エリートランナーのみで行われる今大会は男女ともに世界記録保持者を筆頭として世界トップクラスのランナー達が激突します。

大まかな大会概要についてはこちらの記事をご覧ください。

今回は最新情報で、ケネニサ・べケレ選手が欠場との発表がありましたので、当日走らないのですがケネニサ・べケレというランナーについて少し書きたいなと思います。

べケレ選手が怪我で欠場

ケネニサ・べケレ選手が左ふくらはぎの怪我により明日のロンドンマラソンを欠場すると発表がありました。

べケレ選手はキプチョゲ選手のマラソン世界記録に2秒差の歴代2位の記録を昨年樹立し、今大会はキプチョゲ選手との直接対決が注目されていましたが、怪我が十分に回復していない状況であるとのことで今大会は欠場することとなりました。

非常に残念ではありますが、発表動画の中では来年に向けて怪我を直していきたいと語っていますので、できる限り万全の状態で、またべケレ選手の走りが見れることを願っています。

史上最強ランナー

べケレ選手はこれまで、オリンピック、世界アウトドア、世界インドア、世界クロスカントリーにおいて数々のタイトルを獲得してきた。2004年と2005年、当時20歳を過ぎたばかりの若さで5000mと10000mの世界記録を樹立し、5000mは今年チームメイトのジョシュア・チェプテゲイ選手に破られたものの、10000mは今も破られていない。

以下の動画はオリンピックレコードを更新した時のもの。まさに飛ぶように走る、キレのあるラストスパートがべケレ選手を特徴づける武器です。5000や10000mでラスト一周(400m)を53秒。これは学生で400mを専門とする選手並のスプリントです。

38歳の大ベテラン

現在べケレ選手は38歳であり実績、キャリア共に大ベテランです。日本では現在20代のランナーが目立ち、30代になると若い人には劣ってくると考える人が多いと思います。スポーツ選手としてもランナーとしても比較的高齢で引退も考える年齢だと言えますが、べケレ選手は10代の頃から現在まで、長い間世界のトップを走り続けている。

もちろんこれまで故障もあり、今回のように思うように走れない時期もあったと思いますが、身体のダメージと闘いながら世界最高のレベルを保ち続けているのは、継続的な努力や強い精神力、自己統制によるものであり、まさにプロなのだと思います。

スピードを出せる力強いフォーム

アフリカ系ランナーのランニングフォームは理想型とされています。骨盤が前傾し腰高のフォームで、フォアフットやミッドフット着地を行う。また腕振りも大きいのが特徴で、これらによって効率良くスピードを出すことができるので、長距離を速く走ることができるというようなものです。

もちろんそれに加えて、彼らの生活環境もその長距離パフォーマンスに大きく影響し、種の遺伝子レベルで最適化されているという背景も十分にあると思います。

ただアフリカ系選手の中でもランナーによってフォームは様々で、最近日本で話題となったフォアフット着地についても、アフリカ系選手であってもかかとから着地する選手はもちろんいます。

フォアフットは爪先着地と訳されるので、それをそのまま真似すると爪先立ちで走るようになってしまいますが、実際にアフリカ系の選手たちは爪先というよりは足の真ん中部分(ミッドフット)で着地しているように思います。ミッドフットで着地するとちょうど重心の真下あたりでタイミングよく着地できるのでスピードロスが少なくなるのだと思っています。

それでべケレ選手のランニングフォームを見て思ったことは、スピードを出すために非常に最適化された体の使い方をしているなということです。

べケレ選手が特に他の選手と違うのは、腕の振り方だと思います。

べケレ選手は若干低い位置で腕を振りますが、この腕振りが上手に体全体を動かしスピードに繋げているなという印象です。

長距離走は意外と腕振りが軽視されがちで、日本では小さく振るのが主流かと思いますが、速く走るためにはコンパクトかつ大きく振るというのが重要だと、べケレ選手やアフリカ系選手を見るとよく思います。

僕が見て感じた、感覚的な考察なのですが、皆さんはどう感じるでしょうか?色々観察してみてください。

もちろんべケレ選手の速さの源は、フォーム以外にも数々のランニングパラメータにおいて高い水準にあることだと思いますが、ランニングフォームにはそのヒントが色々隠されているはずですので、動画でじっくり観察したり、真似することで自分の走りにも生かしていくことができるでしょう。

夢の対決は実現するか?

主にトラック競技でその強さを見せつけていたべケレ選手ですが、2014年にマラソンに挑戦。そして昨年のベルリンマラソンで、2時間01分41秒の歴代2位の記録を打ち立てました。

この記録は世界記録保持者のエリウド・キプチョゲ選手に2秒差に迫るもので衝撃の記録でした。2時間01分台の記録をもつのはマラソン史上この二人だけであり、彼らの対戦は世界中のランニングファンが待ち望んでいることでしょう。

もちろん直接対決は熱いですが、そうでなくとも、人類最速ランナーのレースはとてもワクワクするものです。新たな世界記録更新はあるか?2時間切りはあるか?

また彼らを打ち破るチャレンジャーがこれからどんどん現れてくるでしょう。

今回のロンドンマラソンも誰が勝つかは分かりません。いずれにしても世界トップランナー達のレースが、僕たちをワクワクさせてくれることに変わりはありません。

ロンドン入り後の選手達の様子