未命名1575124696

中国小売最前線2019年11月号~Alibabaが「新小売」に続き「新サービス」戦略を発表~

こんにちは。中国インターネット研究所です。

・中国で消費者向けにビジネスを展開されている
・そのような事業会社を支援する日系企業で勤務していて中国の最新情報を仕入れたい
・日本で中国の情報を仕入れたいと思っている事業開発や起業家の方

を主に対象にし、以下の内容を毎月発信しています。

発信内容

A:中国小売最前線(この記事の内容)
AlibabaとTencentを中心に動く、中国小売業界の最新情報を毎月1~2回発信

B:中国スタートアップ最前線
Alibaba&Ant Finacial、Tencent、IDG&SequiaCapitalの投資先を一行で紹介し(3ヶ月分を各社まとめて配信)、いくつか気になるスタートアップをピックアップ。中国スタートアップの最新企業を知りたい方におすすめ。
C:中国最前線トレンド
中国現地のレポートやホットなトピックを毎月1つ厳選してお届け。

中国最前線トレンドの過去トピック

・コンビニ:イノベーションのジレンマによりコンビニチェーンが進出できない地域(2-3級都市)でAlibabaが勝つのでは?
・ミニソー:単純な個別事例紹介ではなく、中国特有の新たな業界(洗練された商品を扱う総合新小売業態)として紹介
・生鮮食品Hema:単純なスーパー業態としての面白さではなく、会員化率100%の経営を行うデジタル経営の事例として紹介・団地向け共同購入
:日本ではただの安売りとして拼多多が捉えられていが、共同購入のさらに進んでモデルの可能性(コープのオンライン版)として紹介
・小売向けクラウドサービス:TencentやAlibabaが単純に小売業に進出しているわけではなく、小売業向けへのSaaSを出していることを紹介

筆者紹介

大学時代に上海に2年間在住し中国スタートアップに特化したメディアを立ち上げ、中国市場のリサーチャーとしてVCで働く。
卒業後はメルカリにてアプリのPdMとして1.5年間、中国での新規事業開発のために半年、メルペイに出向し創業時のマーケティングの戦略立案などに約1年従事。
2019年1月より小売・メーカーのデジタル化を支援する上海の企業にてエンタープライズ向け営業をしながら、部門の統括。

メディア記事
中国で「決済革命」の次は「OMO」だ 
・NewsPicks中国特集~【メルペイ家田】僕が、中国ビジネスを学んできた理由
・月刊MD特別寄稿~中国「新小売」のいまとその次に来るもの


--------------------------------------------------------------------------------------


2019年11月の中国小売の動きを紹介しています。1つの記事に平均数百文字前後のコメントをしています。4~6のニュースを紹介しています。

※最初の1つのニュースは無料で読めます。

luckin coffeeの決算が好調。

デリバリーに特化したコーヒーチェーンとして注目を集めたが、微妙にビジネスモデルを変えながら、トップラインを伸ばし、コスト構造を変えることに成功しそうだ。

まずデリバリーはローンチ当初は全体の約60%を占めていたが、12%にまで減らし、ピックアップの比率を大幅に上昇させた。ピックアップであれば消費者が店舗に取りに来るので、デリバリーのコスト負担がない。(中国デリバリー業界全体の競争が激しくコスト負担は基本的に企業側が持ち出すような形になっている。)

未命名1575117913

マーケティングコスト(赤枠)が安定し、原価もスケールメリットが効き始めたのか、下がり続けている。

未命名1575117688

1人あたりの獲得コストは2018年に240万人で54元だったのが、790万人獲得する今になって、むしろ1人あたりの獲得コストは55元と安くなっている。

未命名1575118449

コーヒー以外の商品も継続的に投入し今やコーヒー以外の商品は全体の44%を占める。

未命名1575118811

トップラインを非常に良い感じに伸ばしている。店舗の数(209%)より、消費者の購入回数が伸び(397%)、さらにそれより購入商品数が伸び(470%)、結果的に全体で557%の前年比伸びを達成している。

未命名1575117262

未命名1575118751

あまりに早い店舗拡大で注目を集めたものの、味があまり美味しくない、あまりに急拡大して大丈夫なのか?、リクープできるのか?など疑問があったが、それらの懸念を全て払拭しようとしている。2019年8月の決算発表会では株価が下がったが、今回の11月13日の決算発表を受けて、株価が急騰し、期待が膨らむ。

デリバリー×コーヒー市場を取るの戦略ではなく、ピックアップの拠点を作り、コーヒーを始めとする飲料と、軽食を主戦場と当初から一定想定していたのかもしれない。

コーヒー、飲料、軽食は日本と違い、中国のコンビニが苦手とするところだ。サプライチェーンを日本のように作れていなかったり、法律の規制で日本のように高品質なものを提供できていない。

未命名1575118991

画像や数値の参照は全て決算資料から。

ここから先は

2,119字 / 2画像

¥ 600

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?