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パワハラ上司を科学する(津野香奈美)

読みました

私の職場がパワハラ職場ってわけではありません。むしろそういうのに非常に敏感な職場です。周りはみんな気づかいのある方です。私には部下はいません。
ですが、パワハラがあるのは「職場」には限りませんので。

おっ、ここはメモっとこう、と思う場所にフセンをつけていたら、本がフセンだらけになってしまいました。

気になったところです(一部だけ)

(議員への投票行動について)人はリーダーを選ぶ時、(略)「自信がありそうな人」を選ぶ傾向にあるためです。(略)自信を持って語ってくれる人に、投票するのではないかと思います。
(略)多少の非倫理性に目をつぶっても、その人の「実行力」に期待するのです。国や組織が混とん状態になった時は、邪悪な性格特性を持つ人が活躍する機会が増える可能性があると言えます。

国会議員の不祥事、ひどいパワハラがたびたびニュースになりますが、原因はこれですね。となると、投票する側も、何を見て判断すればいいのか、ちょっと困ってしまいます。

中国を統一した秦の始皇帝(略)は専制的であったことが知られていますが、万里の長城を完成させたり、また中国史史上初めて通貨や度量衡(計量の基準)を導入したりと、後世に残る功績を遺しています。(略)故スティーブ・ジョブスも、専制型のリーダーシップを発揮しており、部下を追い詰めるようなパワハラ的行為を行っていたことが指摘されています。
つまり、専制型上司は部下にとっては辛くても、会社にとっては“歓迎される”リーダーシップでもあるのです。パワハラ上司が部下を追い詰めてくれているおかげで、会社全体の売上等の数値目標や新商品開発、短期の納品等の業績が達成されていることがあるからです。

ん〜、なんだか考えさせられますね。業績を上げたければ……ある程度の強烈さがなければ商品のアピールにもならないし。


上司が怒鳴る→部下が謝る→対策が立てられていないのでもう一度同じミスをする→上司が「前にも言っただろ!」「同じこと何度も言わせんなよ!」と怒鳴る→部下が謝る→もう一度〜という、悪循環に突入してしまう危険性があります。

スポーツ指導の現場でこれはよくある光景だと思います。

相手への期待の中で、特に「〜すべき」「〜なはず」「当たり前」「普通」「常識」という言葉は要注意です。(略)当たり前や常識は、人によって違います。

最近すごくこれを強く感じていたので、我が意を得たりの心境です。

上司の感情は部下に伝染しやすいからこそ、高いポジティブなエネルギーを発揮することが必要です。

スポーツの現場でも、威圧的にならずともこういうテンションで指導者が接していれば、教わる側は伸びていくのかもしれません。

上記は、気になったところの「ごく一部」です。他にも、考えさせられる箇所はたくさんありました。さらには、

違う感想①これはヤバい数字

出生数が減っているということは、つまり、これから労働者の数が激減するということです。実際、十五歳以上の労働力人口は、二〇一七年から二〇四〇年までの間に一〇〇〇万人以上減ると予測されています。人手不足に陥った多くの会社がつぶれ、産業が衰退していき、国としても荒廃していくという未来が現実になるのも、そう遠くなさそうです。
 言い換えれば、外国人労働者にとって魅力的な職場でない限り、日本はもはや国としての繁栄を維持できないと言えます。

だからこそ、パワハラのある状況を消して外国人を呼べる環境づくりを、と著者は訴えています。
それにしても日本の出生数はとんでもなく危機的状況だ、という事に驚きました。

違う感想②参考文献

巻末にものすごい数の参考文献が列挙されています。ただ、たぶんその8割ほどは英文です。
要するに日本ではまだこうした事案に関する書物が少ないという事を証明しているように思います。まだまだ遅れている、という事なのでしょうか。



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