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2045年6月4日 450, main st., waterbeeの一角にある大きくて頑丈な建物。分厚い扉を開けるとふかふかの絨毯が引いてある。少しお香のような香りが周囲に漂っている。ヨーロッパの骨董品と思われるものがきれいに並べてある。赤い光とオレンジの光が混ざって出迎えてくれている。静かに店主が何か小さな木箱を閉じる音がする。木箱が店主の背面のお巨大な棚にずらりと並んでる。「その青い木箱はなんですか?」尋ねてみる。「これは、嗜好品きゃ。悩みを再現して楽しむ嗜好品が入っているきゃ。」…店主はそういうと青い小さな木箱を開けてみせた。中に入っているのは、葉巻・ジッポー・金色の灰皿・小さな酒の瓶・小さい言葉がびっしりと書かれた小さな本・お香・何も書いていない質の良い紙・そして贅沢な装飾が行われた万年筆。箱の中を見ていると店主が続けて説明をしてくれた。「負の感情は、ある行動を引き起こすきゃ。そしてその行動は"悩み"に変わるきゃ。人々は、悩みを実は楽しんでいるきゃ。嗜好品と同じように。その青い箱の品を用いればその悩みをアナログ的に追体験できるきゃ」。"悩みは嗜好品"そう店主は告げると、新たな別の小さな木箱の整理を始めた。ちょうど雨(cold rain)が上がった頃だった。