過程

ラフの役割について

初めてイラストレーションの依頼が来たのがとてもラッキーなことに装画だった。
装丁塾を修了した直後だったのと、とにかく初めて尽くしの経験だったのでとても鮮明に覚えている。

ラフであってラフでない

装丁塾で教わったのは「装画に対してのイラストレーションとは何か」であり、仕事のやり方を習った訳ではなかったので仕事としての手順が分からなかった。
打ち合わせ時にラフの描き方を教えてもらい、自宅に帰り早速ラフに取り掛かり、線画を元に色鉛筆で塗るという形で提出したが、うまく伝わらず線画のみでよいということになった。
線画で構図は伝わるが色味がないので全体図が浮かばない。
ラフというけれどラフに描く事ではないんだ
というのを恥ずかしながらその時に知った。

どのように伝えるか

線画のみでGOサインをもらい、色味はある程度イメージを伝えていたのでそれに沿って色を塗り本番を終えた。
原画納品だったので直接納品に行き、手渡した時にラフが線画だったから本番がどのようになるか少し不安だったけど思っていたとおりだったのでホッとした。
と言ってもらえてやっと緊張から解放され、貰ったペットボトルのお茶を一気に飲み干した。
あれ以来、ラフできちんと伝えるようにと心掛けている。
「ラフであってラフでない」
いつも肝に命じていること。

ラフは誰のためなのか?

前回画材について書いたけど、僕は筆を使わずスポンジで色を塗っている。
試行錯誤の末、ラフはデジタル、本番は絵の具で塗るというやり方に落ち着いた。
鉛筆で描いた線画を元にPhotoshopでテクスチャを貼る。それを今年からほぼiPadでラフを描くようにした。
iPadならば電車の中でも、カフェでもラフを存分に進められる。
それまでは自宅でしか色はつかられなかったから今は作業効率がとてもよくなった。
余談だけど、去年だったか
「ラフはそんなにキッチリ描きこまなくてもいいよ、だって大変でしょ?」と言ってもらえたので
「そうなんですよ、パーツごとにテクスチャを切り貼りするので時間がかかっちゃうんですよね。なのでそう言ってもらえて助かります」
で、少しざっくりなラフにしてみたが、自分の中でそれが本番用に結びつけられなくて結局いつも通りのラフで提案したことがある。
相手に伝えるためでもあるけど、ラフって自分で確認するためのものでもあるんだって5年経ってやっと理解した。

上の画像は左からiPadで線画・着彩、絵の具で描いたものとなっている。
デジタルの方が線に正確さが出るし、色も綺麗。
色の変更もすぐ出来るし背景の切り抜きも不要だ。
アナログは独特の温かみや奥行きが感じられる。
どちらも長所と短所があると思うので
これからも上手に付き合っていけたらなと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?