だ〜れだ?

私はパートの帰りに、西瓜を提げて実家に寄った。

「ただいま〜」

「お帰り!まぁ、立派ね。あらら、冷えてるじゃないの!すぐ切るわね。半分は持って帰ってヒロシさんと食べなさいよ」

「うん」

「さあ、食べよ食べよ!」

「ねえ、ママ」

「美味しい!なに?」

「ママ、覚えてるかなぁ…小さい頃さ、ママが後ろから目隠しをしてさ『だ〜〜れだ?』ってするの。あれ、大好きだったのよ」

「もちろん、でも…どうして?」

「ママの指先からね、いつもあまーいフルーツの匂いがしたんだもの」

「えッどんな?」

「イチゴだったり、さくらんぼだったり、桃だったり、メロンだったり」

「あら、いやだ。知ってたの?」

「何を?」

「ごめんね、あの頃1人でこっそりフルーツを食べてたのよ」

私は力が抜けて、持っていたスプーンを落としそうになった。