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#13|DIYで砂壁を板張りにしたい! 【空き家再生】

こんにちは、365 WORKSのフジイです。

福岡・田川の空き家を賃貸物件にリノベーションするシリーズ。
以前の記事にて完成した全貌を大まかに紹介しました。

セルフビルドで制作したリノベーションの工程を、
今回からは作業内容別になるべく詳しく紹介していきます。

▼まとめの記事はこちら

今回は「DIYで砂壁を板張りに」つくり変えた詳細をまとめます。

この記事では、デザインから素材の選別、制作過程まで
順序立てて詳細に説明します。

砂壁を板貼りするに理由

解体直後

数年空き家として放置されていた、築34年のこの物件。

一度もリフォーム、リノベーションされることなく、
畳敷きだった和室で居間として使われてきました。

この部屋は物に溢れた部屋で畳は劣化してしまっていたので、
まず「畳から板間」にすることは初めから決めていました。

▼その詳細はコチラ

その床にすることを決めてから、
真壁作り壁(日本家屋の工法)の柱と砂壁が
どうしても気になってました。

現代の家は柱が壁の中に入っているので、
見えることはありません。
これぞ“日本家屋”という感じですよね!

気になる柱部分!

そこで和室感を少し柔和させるために、
一面のみ板張りにすることで少しでも洋風感をプラスすることに!

居間をデザインする

イメージしたラフスケッチ

今回、全部壊して全部作り変える『フルリノベーション』ではなく、
必要なところだけを作り変える『部分リノベーション』でした。

すでに経年変化をした築古物件に対して、
真新しいピカピカした綺麗な建材を使うと
「そこだけ新しくしました!」みたいなバランスの悪いリノベーションに。

大切なのは、築古の日本家屋のいい部分を残した上で、
そこに合うスパイスとなるデザインを施してあげること。


そのためには現代の建材だけど、

・時代感が合っていること
・あえて古さを感じる造りであること
・ラフでマットなこと

これを演出することが築古の日本家屋リノベーションにはベストだと考えました。

そこで参考にしたのは、
写真のような1950年代のミッドセンチュリーなスタイル。

https://pin.it/2RXTZT2

そしてこの物件で日本家屋的で残す部分は、

・綺麗な無垢材の柱
・格子枠の扉
・目透かし天井

ここを生かすために、
スパイスとして、『ラワン材の板張り』を選択。

「床・壁にラワン材を使ったミッドセンチュリーな空間」をイメージし、
さらにラフスケッチ

それがコチラ▼


このイメージで古い真壁造りの壁に
『ラワン材の板張り』を作っていきます。

ラワン材板張りの手順

① 下地を整える

まずは下地調整。
板張りにするためには、貼る面がフラットである必要があります。

しかし真壁造りのため、
元々の柱が砂壁よりも9mmほど前に出ている状態です。
当たり前ですが、それでは板張りにした時にフラットにはなりません。

そこで下地として、
同じ厚みの合板を先に貼り付けてフラットにします。

ここでは9mmの構造用合板を継ぎ目と
455mmピッチになるように配置しました。

ボンドとビスで取り付けていきます。


② 材料を加工する

今回は合板と合板を
『突きつけ(ホゾなど使わず突き合せて貼ること)』で貼るので、
隣り合う部分を面取りします。

目地が入るような見た目になりますが、
するとしないとで綺麗さが格段に変わります。

理由は材料が木だから。
木は湿気や温度でどうしても形が変化します。

面取りをせず、突きつけで貼ると
角と角がピッチリ揃うことになるので
少しでもズレると浮いているように見えます。

それが面取りをしていると、角と角が離れ目地が入り、
微妙なズレでは目立たなくなります。

これが面取りをする理由で、突きつけで貼るときの注意点です。
手間はかかりますが、必要な工程です。

③ ラワン合板を貼る

仕上げの材料を貼っていきます。

使用した材料は、
『ラワン合板 5mm』

ボンドを塗り、
ピンタッカーで打ち付けていきます。

▼ 貼り終わった状態がコチラ

⑥ 塗装をする

下塗り

続いて木部の塗装工程。
ベースの塗装は、「WATCO/ナチュラル」でオイル塗装。
ワントーン濃くなり、濡れ色が特徴的な色味になります。

◯塗装方法
⒈ 木材の表面をヤスリで削って整える
⒉ 表面の木屑を拭く
⒊ コテばけでオイルの塗る
⒋ 乾いたら布で余分あオイルを拭き取る

上塗り

壁は家具が当たったり、手を触れたりするので
保護をする目的でクリア塗装を施します。

使用したの、『和信ペイント| 水性ウレタンニス 半艶クリヤー』

◯塗装方法
⒈ コテ刷毛で木目に沿って塗る
⒉ 乾かす
⒊ 毛羽立ちを#400程度のヤスリで表面を整える
⒋ 2度塗り〜3度塗りをする

⑦ 完成

完成です。

濡れ感が特徴的な色味になりました。
新しく張り替えた床や既存の天井にも色味がマッチし、
違和感ない部分リノベになったと思います。

ブラケットライトも取り付けます。
BOLTS HARDWARE STOREのPORCELAIN SOCKET E17のソケットにエジソンランプ。

既存の柱と塗り直した砂壁のコントラストがいい感じ。


まとめ

今回は築古の日本家屋のいい部分を残した上で、
そこに合うスパイスとなるデザインを施すことを目的に
一面のみ壁面の“板張り”を行いました。

築古物件は古さと不便さが目にいきがちですが、
実はその経年変化にはヴィンテージ感や時代を経た魅力があります。

そこを最大限活かすリノベーションをすれば、
新築とは一味も二味も違う家としての魅力が復活します。

その可能性を信じて今回の空き家再生の計画をスタートさせた所も。

具体的なデザインの観点の話をすると、
砂壁は古臭くて、『和』感が強すぎてちょっとなぁって感じることもあると思います。

しかし一面を板張りにすることで、
アクセントとなりそこへ視線が集まります。

すると目立っていた砂壁へ少し目が行きにくくなります。

あとは馴染む色にしてあげれば、
空間としてはヴィンテージ感ある空間へ生まれ変わります。
今回は白い壁にして、木のブラウン色とのコントラストがいい感じになりました。

「クロスを張り替える」「新しいキッチンを入れる」など何も考えず、
ただ新しくするだけではチグハグになってしまい
いい空間とは言えません。

その物件が持つ魅力に合わせた
手の加え方を模索、挑戦する。

このような最小限の手間とコストで、
最大限の魅力を発揮するリノベーションが、
築古物件や投資物件には必要だと思います。

このような考え方で一軒でも
「空き家に手を加えてみよう」
「いい空間を作ろう」
と、挑戦する方が増えればいいなと思います。

ぜひ参考にしてみて下さい。

日本の社会問題でもある“空き家問題”。
リノベーションの観点で“空き家問題”を解決することを目的に
空き家再生を行っています。

福岡・田川の空き家を賃貸物件にリノベーションするシリーズでは、
築古物件のDIYノウハウをメインに発信していきます。

お読みいただきありがとうございました。 
よろしければ、フォローもお願いいたします。


フジイ トモキ / 365 WORKS・代表
(@365_works )

「家をつくる、日々をつくる」を コンセプトに
住宅リノベーションを デザイン・セルフビルドを行う
「365 WORKS」代表。

1990年岡山生まれ。
大阪モード学園インテリア学科卒業後、設計事務所、東京で工務店、ライフスタイルショップを経て独立。

現在は広島を拠点に住宅リノベーションのデザイン・設計・セルフビルドをしています。
福岡県田川市にて空き家をリノベし戸建賃貸物件を運営中。
proshirout(プロシロウト)というグループで「立ち飲みイベント」や「ラジオ」をDIYで企画制作をしています。

主なお仕事
・住宅のリノベーション
・家具の製作
・DIYの相談、手助け

▶︎Blog:Magazine 365
▶︎Instagram : @365_works
▶︎Twitter : @fujii365
▶︎Facebook : Tomoki Fujii
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▶︎note : Magzine 365


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