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読書感想『塔の魔術師と騎士の献身』を読んだら幸せすぎた

noteでお世話になっている倉くらのさんの著作を拝読いたしました。

【あらすじ】
かつて勇者の一行として魔王討伐を果たした魔術師のエーティアは、その時の後遺症で魔力欠乏症に陥っていた。
そこへ世話人兼護衛役として派遣されてきたのは、国の第三王子であり騎士でもあるフレンという男だった。

男の説明ではその症状を治すには体を重ねることによる魔力供給が必要なのだという。
それを聞いたエーティアは怒り、最後の魔力を使って攻撃するがすでに魔力のほとんどを消失していたためフレンにダメージを与えることはできなかった。
悔しさと息苦しさから涙して「こんなみじめな姿で生きていたくない」と思うエーティアだったが、「あなたを助けたい」とフレンによってやさしく抱き寄せられる。

『塔の魔術師と騎士の献身』あらすじより引用


ファンタジーBL小説です。現在Kindle Unlimitedで読めます。
ファンタジーとBLが好きな方は絶対楽しめると思います。


率直な感想ですが、

幸せな気持ちになりました!!
ハッピーエンド好きにはたまらないです。


(以下、多少ネタバレを含む可能性があります)

主人公エーティアは自身の魔術に誇りを持っていて、高慢なキャラクター設定なので、作中のお砂糖(甘さ)加減が絶妙で。
エーティアがデレるところがより甘さが際立って、キャラ立ちの巧みさを感じました。

「普段からあまあまじゃない主人公がデレる」のが、わたし的にはかなりご褒美なので、「わー、あまあまきたー」と心の中でニヤニヤしながら甘いシーンを楽しんでいました。

魔術師としてかなりの実力を持っているので、決めるところは決めるかっこよさもあって、その塩梅がたまらないです。
それでも、魔力を失ってしまったせいで、魔力供給を受けなければ生きていけない、過去の自分よりも魔力が劣っている、誰かの力を借りないと切り抜けられないない儚さもすごくいい。

高慢で独りよがりで他人に興味がなかったエーティアがフレンの献身によって、心を開いていく様や今の自分を受け入れていく描き方がとても素敵で、胸に迫るものがありました。

特に最後の章で自分を犠牲にする行動に出るのがその象徴たるシーンです。

章を追うごとに、少しずつエーティアがフレンをはじめ、使い魔のエギル以外の人物に興味を持ち始めていく様子は地の文からも読み取れて、どんどん(一人称の)描写が鮮やかになっていく。そこは素敵だったし、くらのさんの技量を感じました。
特にエーティアからのフレンに対する感情の変化ですよね。
好きになっていく様子はドキドキしながら読んでいました。

フレンもフレンで騎士として控えめだったのが、最後に自分の気持ちをエーティアにぶつけるところはとても報われた気持ちになりました。最後、結ばれて良かったね!と。
フレンは寡黙というか感情をあまり表に出さないのに、エーティアに関することで態度を一変させる時の描写がかなりぐっと来ました。
(台詞に頼らずに人物を表現するって、すごい)


設定や構成についても少し触れさせてください。

体を重ねることで、魔力供給するまたは闇の魔力の浄化をおこなう。この設定!!
肉体関係を結ばなくちゃ行けない正当な理由がある。この設定が作品の中で一本筋が通っていて、これがドラマを生んでいるんですよね。素晴らしい設定だと思います。
作り手視点だと、好いた惚れた以外で肉体関係を結ばなくてはいけない正当な理由があるって、すごくオイシイって思うんですよね。

作品は全8章で構成されているのですが、話も繋がっていて、「そうだったのか」的な種明かしもあり、全体を通しても楽しめました。
舞台設定も作り込まれており、過去の出来事の「実はこうだった」の話が後半の章に出てきたりして、緻密ですごいなと感じました。


くらのさんは小説執筆を長く続けておられる方なので、語彙力といいますか、表現力のレベルはかなり高く、拝読して勉強させて頂きました。
特に官能シーンの優美さ!!美しすぎますね!!お花が咲き乱れていました。
(自分の文章表現の拙さよ……。精進しなくてはなぁ)


実は、くらのさんのこの作品を読んで、だいぶ励まされました。

私自身の長編小説を書き上げるきっかけになったんですね。
読んでいたら執筆意欲が湧いて、「あー、わたしも読んでいて幸せになるような作品が書きたい!!」と。それで最近、書き終えて投稿に至りました。

書いている最中に書き終わるか不安になって、何度も心が折れそうになり、投げ出したくなったのですが、『塔の魔術師と騎士の献身』を読み進めて、「あー、わたしも(略、以下同文)」となって、頑張って書いた記憶が。

筆がのり脱稿してから、とっておいた最後の8章を読みました。
そしたら、幸せすぎた!!


くらのさん、素敵な作品をありがとうございました。

拙い感想で申し訳ございませんが、率直に「読んだよ」と「良かったよ」をお伝えしたくて、記事を書きました。
ランキング入りおめでとうございます。
今後も応援しております。


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