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今朝平遺跡 縄文のビーナス 39:峠から始まる

愛知県豊田市足助町(あすけちょう)の縄文遺跡、今朝平遺跡(けさだいらいせき)のすぐ南側を足助川が流れています。今朝平遺跡からは土偶22点、動物型土製品(イノシシ)1点、臼型耳飾9点、玉類3点、石錘(せきすい)8点が出土しています。このうち石錘とは投網に付ける錘(おもり)なので、今朝平遺跡に居住した縄文人が足助川、もしくは足助川の今朝平遺跡南から下流15kmで合流している乙川(おとがわ)で投網を使用して漁をしていたと思われます。そこで、今朝平遺跡の目の前を流れている足助川を水源から乙川への合流点までたどってみることにしました。

愛知県豊田市 足助川
豊田市 足助川 大多賀峠/水源/今朝平遺跡/足助川&乙川合流点

足助川には今朝平遺跡下流110m以内に位置する今朝平交差点から、豊田市大多賀峠の北西80mあたりの雨になれば水路になる水源まで愛知県道33号線が沿い、多賀峠を超えて東の北設楽郡(きたしたらぐん:愛知県)設楽町まで延びている。
そこで、愛車で足助町から多賀峠を超えたあたりまで向かい、水源を探しながら33号線を乙川との合流点のある足助町に向かって戻り始めました。
当初多賀峠から水源のあると思われる西側を見ようとしたのですが、33号線沿いには原生林があって足を踏み入れる余地などできない状況でした。
それで、33号線を原生林に沿って北に下って90mあまりたどり、33号線が西に向かってカーブすると。33号線の左手が谷に変わった。
ただ、谷に変わったのは認識できるのだが、33号線沿いは茂っている灌木に遮られ、谷の下方は見ることができなかった。
そこから10mほど谷の様子を見ながら33号線を下っていくと、灌木の切れ目があったので、そこから谷底を見下ろすと、なんと、足助川の水源と思われるコンクリートのU字溝の起点があった。

愛知県豊田市 足助川水源

つまり、この部分の33号線は足助川の右岸に位置することになる。
上記写真を見ると、すぐ足元にU字溝があるように見えるが、この写真は33号線上から谷底をズームアップ撮影したもので、33号線の直下は垂直に近い崖になっていて、U字溝まで降りていく通路は存在しない。
33号線上から谷底まで20〜30mくらいありそうだ。
水源の3方は切り立った崖になっているので、水源に近付くには下流側からたどっていくしか方法はないと思われる。
U字溝ブロックは33号線上からクレーンで谷底に下ろしたのだと思われる。
水源のU字溝の始まり部分には不法投棄された古タイヤが転がっており、この古タイヤが水路を塞ぐ場所にあることから、ここが足助川の起点であることが確認できた。
ここは豊田市大多賀町だ。
雨がふれば、3方からU字溝に雨が流れ込み水流が始まるのだろう。
U字溝の水底が死角で見えないので、現状で水があるかどうかは確認できない。
U字溝や周囲にある大つぶな石は丸ごと苔で覆われており、谷底は乾燥しない状況になっていることがわかる。
ただ、苔が生していることから、この谷底には日光が当たる時間帯が存在することがわかる。
一方で、U字溝の両側の地面にはほとんど苔は見えず、水はけのよい地面であることがわかる。
なので、大雨か長期の雨でなければ、U字溝に雨が流れ込むことは無さそうだ。
33号線の路肩に愛車を駐め、徒歩で33号線を少し下流までたどったが、U字溝はまっすぐ延びており、巨木が谷底から幹を伸ばしている。

足助川 U字溝

愛車に戻って、愛車で33号線を下ると、谷底の地面は全面が雑草で覆われ、灌木も増え、U字溝には灌木が覆いかぶさっているようで、直接目視できなくないのだが、谷底に暗いラインが通っているのが確認できる。

足助川 U字溝

さらに33号線を下ると、谷は浅くなってきた。

足助川 U字溝

谷が浅くなったことで、日当たりがよくなったため、ススキの繁殖が見られるようになってきた。

さらに33号線を下ると、U字溝に巨石が転がり落ちてきている場所があった。

足助川 U字溝

U字溝の左岸側(上記写真向こう側)の方が土手の傾斜がきついようだ。
谷にはかなり日が当たっており、さらに浅くなってきていることが分かる。

さらに33号線を下ると、U字溝は姿を消したようで、浅くて広い水路のような溝が見えるのだが、水は見えない。

足助川

水路の右岸側(上記写真こちら側)には、上流の痩せた樹木に変わって、良く育った樹木が増え始めた。

水源脇から33号線を430mあまり下ると、初めて33号線から足助川に下る脇道が現れた。
その脇道に入って下って行くとすぐ、右手に「関係者以外は入場禁止!」という厳しい口調の立て札のある駐車場があった。
愛車が駐められないので、通路をさらに進むと、家族づれ相手の遊興施設らしき建物群があった。
もしかすると、入ってきたのは私道かもしれないので、愛車を止めずに通路を進むと、足助川の上に出た。

足助川 水面

ただ、足助川の上は橋が架かっているわけではなく、足助川は短い暗渠を抜けているようだった。
ここから見下ろす足助川は水量が多く、見てきた水路とは大きく異なっており、足助川より水量の豊富な水路が左岸側から合流している可能性が考えられた。
ただ、その方向にはここの施設の建物があり、入っていくのは回避し、逆方向の左岸の下流に向かうことにした。

下流に向かうとすぐ、足助川に向かう水路があり、水量は多くないものの、水も見える。

足助川 支流

この水路も通路下の暗渠を通って足助川に流れ込んでいるようだ。
どうも足助川の左岸の方に湧き水が複数あるようで、それらの湧き水が足助川の主な水源になっているようだ。

足助川の左岸は右岸と逆に登りになっており、通路は足助川川床から離れていく。
川床から20mくらいの上方から撮影したのが下記写真だ。

足助川/藤

川幅は広い部分は10m近くに広がっている。
よく、清流の河川沿いに渦巻きながら幹を伸ばす藤が現れた。

さらに左岸を進むと、足助川の川床は30mくらい下に遠ざかり、足助川は左岸(下記写真手前)の土手に水路が寄り、水面幅が3mから5mと変化しながら下方に向かっていた。

足助川 水路

日当たりの良い右岸の河川敷(上記写真向こう岸)は雑草に完全に覆われ、一方で土手になっている左岸は日当たりが悪いことから雑草は少なく、水流を被りにくいことから、藤を中心に痩せた灌木が幹を伸ばしていた。
左岸の登り路は路面の荒れた山道になり、このままだと山に入って行ってしまうので、撮影以外では愛車を止めることなく、右岸の33号線に戻った。

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水源のある大多賀峠は標高1,120.6mの寧比曾岳(ねびそだけ)の北斜面に位置しています。このことから考えると、足助川に水を提供しているのは雨水よりも寧比曾岳の伏流水である可能性があります。川に下る私道があったことから、水源に近い場所で足助川の水面を観ることができたし、左岸に寧比曾岳の伏流水による湧き水がある可能性を知ることができました。

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