day.58 私が生まれた日

23:15
富士山八合目の山小屋を出発。

私の中で1番長く険しい本八合目への道。
その道中で腕時計の音が0時のお知らせをする。

誕生日を迎えた。
一緒に参加していたメンバーからおめでとうの言葉を受け取る。

凄いことだ。
誕生日をあの富士山で迎えるなんて、本当に経験出来ない事だ。

けれど、すぐに自分が誕生日って事を忘れるくらい険しい道が続く。
岩場を全身を使って登り、寒さと戦う。
高山病を恐れ、水分補給・食事・深呼吸を細かく行なう。

登ってる間少し色々な事を考えた、
1番はあの日の事。
あの日さえなければ、今の私は違う未来を見ていたのかもしれない。
もっと楽しく過ごせてたのかもしれない。
もっと笑えてたかもしれない。
もっと、もっと色んな事が出来てたのかもしれない、

全てあの日のせいにしてた、したかった。

ずっと考えてたその想いが、登っていくうちに薄れていき。
少しずつ楽しく過ごせてる、これからはもっと楽しく過ごせる。
前以上に小さい幸せでたくさん笑えてる。
ゆっくり進んでってる分、ある時間でたくさん勉強しよう

前向きに考えれるようになってきた。

前までは無理やり、明るく振る舞いながら考えてたけれど。
今では自然に前向きな想いがポンポン出てくる。

頂上に着く前に、東の空がどんどん明るくなっていく。

気付けば、雲の上にいた。
今まで真っ暗で気付かなかったけれど、雲より高い所にいる。

まだ、夜中の4:10
こんなにも世界は早く動き始めてるんだ。

この景色を見た時、本当は泣きそうになった。

下を向き、耐える。
訳が分からないけれど、本当に嬉しかった。
明けない夜なんてない。
ベタだけど、本当にそうだ。
それを目の前で実感出来ている。

4:50
頂上へ到着した。

約10時間。
本当に長かった。

辛かったけれど、無事みんなで到着出来た。
本当に嬉しかった。
私、語彙力が無く上手いこと言えないけれど。
達成感が凄い。

御来光をみんなで見る。
ちょっと1人離れて崖の近くまで寄る。
周りがどんどん明るくなる。

ポッと雲から太陽が顔を出す。
そこからはあっという間に出てきた。

元気にこの景色を見れた。

誰もが見れる景色じゃない。
頑張って上に登り、ここまで上がってこないと見れない景色。

この瞬間を誕生日に迎えられた奇跡。

前日まで大雨で、本当に見れるか不安で仕方なかったけれど。
途中星空も見え、こうして朝日まで見れている。

神様、本当にありがとう。

ここまで、連れてきてくれたお父さん。
そして、みどりさんとエイトさん。

この2ヶ月、近くで支えてくれた家族。

たくさん優しさをくれた職場の皆さん。

笑顔をくれた友達。

皆のパワーがあって、ここまで頑張れました。
本当にありがとうございます。

本当に言葉に上手く表せきれない。
涙が止まらない。

ここまで色々ありすぎた。

苦しかった、たくさん泣いた。

それを今日でサヨナラしよう。

そう考え、嫌なものを流すように涙を流した。
明日から、きっといつも通りの私になってるだろう。

気持ちとの戦いはまだ続くだろうが、今日で一旦終わりにしよう。

下山し、東京に戻り。
少し時間を置き、終電近くで帰宅。
家に着いたのは1:30頃、

何も考えずに、その日はすぐ寝た。

幸せな気持ちになった。

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