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1つぶのおこめ 〜さんすうのむかしばなし〜



きっかけ

久し振りの投稿。お元気ですか?私は元気です。
漸く仕事に復帰できて、娘も保育園に通うことができるようになった今、私生活が少し規則的になってきたからこれからは時間を作ってぼちぼち投稿していこうと思います。
これまでなんやかんやで毎日本を読んでいた気がするけど、インプットばかりで誰とも共有しなかった故にただただ読み流してしまった気持ち。。
印象に残った本を一冊と言われてもぱっと思い浮かばない。咀嚼できずに飲み下した気分。🤨
近況はさておき、見出しの本題に入ります。
この絵本との出会いは、「明日も生きていこうと思える絵本101」という本の紹介によるものでした。
我が子が絵本に関心を持ってくれるように、今のうちに楽しい絵本を引き出しに入れておこうと思ったことがきっかけ。
自分の趣味で選ぶとデザインとか雰囲気が似てしまうのですよね、どうしても。

あらすじ

舞台はむかしむかしのインドのある地方の王国。
国を治めるのは、思い込みの激しい王様。
そこでは稲作をする村人たちがいたけれど、王様の年貢としてほとんどを召し上げられてしまっていた。
王様の言い分としては、飢饉に備えて集めておかなくてはならない。有事の際に皆に分け与えるため、というもの。
でも、その約束を破った王様に対して村娘のラーニが知恵を使って懲らしめるというストーリー。

なんだろう、一言で言うのなら、「インド版わらしべ長者。」
お米一粒がどんどん膨れ上がっていくお話なんです。
一見取るに足らないと思えるようなものが大きくなっていくお話。
あ。お米一粒には7人の神様がいるといいますし、食べ物だし日本人の主食なのでとても貴重ではあるのですけれどシンプルに喩えるならインド版わらしべ長者が妥当だという所感です。
ただ、インド版というだけあって数字が関連します。
わらしべ長者は物々交換という、曖昧な価値基準で成り上がっていくことに対して、この絵本は倍数的にお米が増えていくという規則性があります。
最初の一粒が2粒、その次が4、8…と膨れ上がり、n日後にはびっくりする値になっているという。
きちんと計算していないけれど、億単位の数字が出てくるから、対象年齢は掛け算を会得する小学校低学年くらいかなぁ。

感想

インド細密画という伝統的な表現で描かれているので、きめ細かく鮮やかな色彩が目を惹きます。外国の絵本だーって感じ(陳腐)
お米を運んでくる動物たちがリアルで、色彩も豊かで美しい。
詳しくは全然知らないのですけれど、16世紀〜19世紀頃に栄えた技法のよう。そのせいなのか、いまいち人物の表情が分からない。
あと、一応飢饉が何年も続いた村人なのに、みんな華やかで表情にもゆとりがある(笑)この辺は、インド細密画という技法が貴族みたいなお金持ちの間で流行っていたものだからでしょうね。
さて、話が逸れましたがあらすじで上述したラーニの計らいにより、王の米蔵から毎日、前日にもらったお米×2倍のお米を30日間貰うという約束を王と取り付けます。
最初は1粒、2粒、4粒…と小さなものなのですが徐々に数が大きく膨れ上がっていき、米を運ぶ動物の大きさも数も増えて、絵本の迫力も増していく。ダイナミックになっていく挿絵が見ていてとても面白かったです。
余談ですが、このn日目のお米の数をどんな数式で導くのか興味を持ったので調べたところ等比数列の和の公式を使うらしいです。
斜め読みしましたが、全然分からなかった😅

思い込み

原文でどのように書かれているかは分からないけれど、「思い込み」、という日本語が2回、文章に出てきます。王様に対して。
「思い込む」という言葉には頑なに信じて疑わない信念の強さだとか、単純に思うよりも深いところで得る感覚である一方で、融通が効かないだとか頑固といったネガティブな印象もある言葉ですよね。
自分勝手な王様に対して使われていたので、おそらくネガティブな意味合いを含んでいると思うのですが…この、思い込みって厄介だなと私は思うのです。
それは強さであり、弱さであり、成功の秘訣であり、失敗の原因となる。
思い込みが自らの意思を強固にして、正しいと信じた道へ突き進むエネルギーになり得る一方で、時に、どうしようもない暗い道に進んでしまって後戻りができなくなる状況を招く事態にもなりかねないと。
幸い、この王様は思い込みがある性格でも聞く耳が機能していたことと、良心的な民に恵まれていたから島流しとか王権剥奪なんかにならず最終的にハッピーエンドに辿り着けたように思います。
人の個性が当人にとって吉と出るか凶と出るかは、その人次第というところもありますが環境や運にもよるんだろうな…という取り止めのない話を連ねたところで、締めとします。。

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