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気がつけばお酒を飲むのを止めていた話:その1

「私はお酒をのまないと明るくしゃべれないの!」
まんきつさんの著書『アル中わんだーらんど(文庫版)』の表紙で絶叫する女性。

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「そうなの!私もそう!そうだったの!」
反射的に心の中で返してしまった。思わずがっつり手を握り合って握手したい衝動に強く駆られた、9月25日真昼の書店の文庫棚平積み前。

でも……なんということでしょう!その時は買わずに帰ってしまったのです!

後日改めて買いにいったら、完売してました。

結局、別の本屋さんで見つけました。

結構悩んでる人多いんですかね。アルコール依存症。

まんきつさんの本の中で語られるアルコール依存症は、朝晩関係なく飲み続ける連続飲酒による幻聴・幻覚が現れる状態になり、医師による治療を受け、自助グループの断酒会に参加して、お酒を飲むことを止めることを選んだ……というなかなかハードな話。

私の場合は、まんきつさんの本の中で語られるような連続飲酒や幻聴・幻覚まではいかなかったけど、お酒がない人生なんて考えられなかったです。

学生時代に飲みの先達である先輩に美味しい日本酒を教えていただいてから、どっぷりお酒の美味しさと楽しさの虜になりました。

仕事から帰ったら晩酌が日常でした。今振り返れば、友人はお酒つながりばっかりでした。友人たちと会う約束は必ずお酒ありきでした。

ただ、年齢が三十を超えた頃から、身体が変わりました。お酒が回るのが急に早くなったのです。二十代の頃は飲んだ翌朝も普通に起きられたのに。

友人たちと楽しく明るく飲んで、勢いで自分の許容量を超えてしまい、気がつけば、酩酊状態で電車に乗って、寝倒して終着駅で起こされて……泣きながらふらふら歩いて帰って……

朝目が覚めたら玄関に転がるブーツが傷だらけになってたとか、目が覚めたらマンガ喫茶にいたとかいうこともありました。

よくある『某国道に白いワンピースを着た女性の幽霊が出る』っていう話、その何百人のうちの一人は……もしかしたら私かもしれません。

そういえば、酔って側溝に落ちて怪我をして、病院で検査を(MRIだったかCTスキャンだったか)受けたこともありました。打ちどころがあと5cmずれていたら、この世にはいなかったかもしれないと脳外科医の先生に言われた時は、「もう本当にお酒止めよう」と決意しました。この事故でせっかく手に入れた劇団☆新感線のチケットを無駄にしてしまったこと、今でも悔やんでおります。

あの時は本当にお酒飲むの止めました。

でも3カ月ぐらいでお酒飲むのを止めることを止めてしまったの。

お酒好きだったから、誘われるとついつい……そしてまた疲れて止めて……また……の繰り返しでした。

でも、今は本当にお酒飲むの止めてます。
というか、お酒を飲むということへの執着が抜けちゃった感じ。

飲んでも飲まなくても別にどっちでもいいけど、今は飲まないことを選んでます……って感じです。

私としては、酔いに振り回されない静かな日常が訪れて、なかなか心地よい状況なのですが、周囲からは「付き合いが悪くなった」と割と不評です。(笑)

お酒飲んだ時の私にしか会ったことがない人は、私のことを明るい人だと思っているらしい……誤解です。

この間久しぶりに顔を合わせた会社の先輩にもこう言われました。
「そんな静か……っていうか、暗く思い詰めた顔するくらいなら、仕事が終わった後ぐらいお酒飲んじゃえば?
前みたいにさ! 自分の時間ぐらいええやん!」

励ましは大変有難いのですが……先輩。
私、これがデフォルトなんです。

軽妙に返しを求められる期待にお応えできないんです。
どちらかといえば、ひとりで静かに過ごすのが好き。
賑やかな喧噪はどちらかと言えば苦手なんだな……

ついこの間もこんなことが。

「職場紹介の為、全員ひとりずつ笑顔の写真を撮ります!」って重そうな一眼レフカメラを持った職場の同僚が回って来たんです。

私は満面の笑み撮影直後、百メートル短距離走をfinishしたように机に倒れ込んでしまいました。

周囲の皆様は「そんなに?!」って吃驚してました。

そんな私が、明るくしゃべり倒すなんて夢のようですね。

酒飲んだ時の明るい私は、まさに『ドーピング状態』だった訳です。

そんな私が、お酒を止めて明るい私を演じるのを止めたのは、本当に小さなきっかけ……半分忘れかけていたような小さなことからでした。

『迷子で通算3回目くらいのお参り』だったかな……

3回目?でたぶん合ってると思うんだけど……

次に続きます……



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