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パタゴニア

今年の春から、アウトドアメーカーのパタゴニアとプロセールス契約というものを締結させていただき、アパレルを中心に素晴らしい性能の製品を快適に使わせていただいている。

私はあまり買い物に幸せを感じるタイプではないのか、クライミングや登山で使うバックパック、特にウェアなどは一度買ってしまうとなかなか買い換えない。破れたら縫って直して10年以上使っている。その中でも生地自体の防水性が消滅してしまったもの、保温性能の極端に落ちてしまったミッドレイヤー、底が透けてしまうほどダメージを受けたクライミングに使う小型のバックパックなど、フィールドで深刻なエラーを引き起こしそうなものを、これを機会に全てパタゴニア製品に揃え直した。

雨で濡れる岩壁

パタゴニア製品の優れているところはやはりその精神性だと思う。流行りの色や、デザインに特化してマーケティングに注力したとしても、というより外側を意識すればするほど、不足する部分が必ずある。それは思いの弱さだ。

例えば料理。最初から料理の上手な人はいない。食べる人に対する思いやりの量が多ければ多いほど料理の腕は上がっていく。私は料理をするのが好きだ。その日、私が作る料理を食べる人の状態を想像しながら作る。今日は仕事の時間が長いからきっと腹を減らしているな。それなら肉だ。ガツガツ食いたいだろうから豆と和えてメキシカン風にしてみよう。そして食事の時間、美味そうに食べている顔を見て満足する。そして次にはもっと美味いものを食わせたいと思う。

パタゴニアの製品もこれに似ている。無駄な負荷を自然に与えない。壊れないものを作る。壊れたら直して使えるようにリペアサービスを充実させる。その思いが、強靭な縫製、クライミングの動きを妨げないガゼットクロッチ、ワイドクラックに突っ込んでもビクともしない強くてしなやかな生地を生み出している。

今から15年前にアメリカのセカンドハンドショップで10ドルほどで買ったパタゴニアのフリースは今も使っている。15年前の時点で中古だったので、もしかしたら20年ほど前の代物という可能性もある。さすがに防寒性は落ちてしまったが、春秋の少し肌寒いときには重宝する。それから今は亡き先輩の片身としてもらったパタゴニアのシャツも現役だ。

よくよく考えてみると、世代を超えて使える服というのを目にしたことはあまりない。純粋にすごいメーカーだと思う。良い出逢いに感謝を込めて、ありがとう。パタゴニア。

やさしい藪漕ぎ


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