見出し画像

ちはやふる愛読者が映画版を観て改めて原作がとても好きだと感じた話

こんにちは。さびです。

先日、映画「ちはやふる 下の句」を観ました。

もちろん映画は面白かったんだけど、やっぱり尺の関係か原作のシーンを切り貼りしている感がどうしても否めなかったように感じた。

というわけで、原作に対する愛を再認識したので、原作ならではのいいところを書いてみる。

なお、結構原作の内容も映画の内容もネタバレもしているので、原作未読の方や映画観視聴の方でネタバレしてほしくない方は読まないでください。

あと、原作と比較して映画版のちょっと残念だったと感じる点とかも書くので、映画版がめちゃくちゃ好き、批判するやつはまじくそ、みたいに思っている人も読まないでください。


では早速、原作の素晴らしいと感じる点を書いていく。


メインキャラ以外にもスポットライトが当たっているところ

ちはやふるといえば、千早、太一、新が主要人物で、映画はやっぱりその3人にスポットライトが当たっていた。


でも、原作ではその3人以外のキャラにもめちゃくちゃスポットライトが当たっている。


例えば、富士崎高校の桜沢先生。

一般的に、ライバル高校の顧問に先生にスポットライトが当たることって、そうそうないように思う。

仮にスポットライトが当たったとしても、ライバル高校の生徒にスポットライトが当たっていて、その生徒に働きかけた人、という立ち位置で出てくることがほとんど(だと勝手に思っている)。


でも、ちはやふるでは高校生以外の大人もそれぞれ人生があって、自分たちが主役だと感じているような描写がでてくる。

つまり、人それぞれに自分自身の人生、ストーリーがあって、華々しくなくても全然問題ないんだよ~~~っていうようなメッセージが感じられる。


そういうのって、高校生じゃない大人がちはやふるを読んで感情移入できるし、自分自身の人生に誇りを持てる小さなきっかけにもなるんじゃないかなと思う。


継続することでいつかは報われるところ

青春物で、運動部でも文化部でも、勝負に関わる漫画って、1年目で入部してきた主人公が活躍して大会を勝ち進むことって珍しくないと思う。

もちろん、こういう展開はちはやふるでもある。


でも、主要人物が所属しているチームだけがいつでも勝つわけじゃない。

例えば、千早たちが3年生の全国大会。

千早たちは前年全国優勝したチームとして、今年も優勝することを目標にしていた。

でも、結果としてヒョロくん率いる北央が全国制覇することになる。


これは、単純に北央高校が強いから、っていう展開ではない。


ヒョロくんは、千早たちの小学校からの幼馴染で、かるた暦は千早より長いけど、高校入学とかの時にはもう実力では千早に劣ってたり、高校の後輩とかにもヒョロくんより強い子が何人かいる、そういう状態だった。

でも、ヒョロくんは後輩が強いからってめげずに、「こうしたらよりいいよー」っていうアドバイスをしたり、「チーム」の繋がりとかそういうのを育むことにすごく注力して、まさしく貢献していた。


そういうヒョロくんの積み重ねが、結果的に全国制覇をもたらした、っていう展開が本当に激アツだと思う。


めちゃくちゃ強い新がチームを作った藤岡東でもなく、強豪校だけど2年の時から真剣にかるたに向き合いだした理音がいる富士崎でもないっていうのがほんとによい。


そういうメッセージが個人的にすごくよい~~~と思うので、映画版で3年目の決勝戦が瑞沢と藤岡東になっていたのがちょっと、漫画が大事にしている価値観が表せていないような気がして残念だった。


太一の悩みや葛藤に共感できるところ

ちはやふるで1番不憫なキャラといえば、間違いなく太一。

めちゃくちゃ卑怯だけど、そういう自分とさよならしなくて、恥ずかしくない人になるために青春全部かるたにかけてきた。

まず、もうその姿勢が本当にやばい、泣ける。


ちはやふるって千早も新も、かるた馬鹿でいまいち現実味がないというか、ぶっ飛んでるなって思うんだけど、太一は悩みとか表現されている分本当に等身大の人間っていう感じで、もちろん成績とかいろいろすごく優秀な人物なんだけど、それでもなんだか身近に感じる、そういう魅力的なキャラだ。


そんな太一が、千早に振られてかるたから離れる。それも、半年以上。

その間も、太一の描写があるので、すごく悩んでいるんだな~~~とかいろいろ伝わってくるものがある。

それが、映画版では数か月ほどであっさり戻ってくる。しかも3年目の全国大会の決勝戦、藤岡東戦の新の対戦相手として。


でえええええ、そりゃないぜ~~~


原作でも、太一が全国大会に顔を見せるんだけど、飛び入りで試合に参加せず、ただ見ているだけだったし、後から千早に「遅いよー、もう終わりなんだよー(3年目の最後の全国大会なので、みんなで大会に出られることは一生できない)」って言われる。

そういう、ちょっと厳しい表現もちはやふるの魅力だと思うからこそ、映画版の展開にちょっと、でええええってなってしまった。


太一の悩み、数か月であっさり戻ってこれるようなもんじゃないんだぜ。

しかも、団体戦でそもそも新の高校と当たるのって、もちろん勝ち進めば当たるけど100%じゃないし、対戦したとしても新と当たるなんて5分の1ですよ。

映画版の展開は、正直ご都合主義的展開にしか感じられなかった。


以上、映画のちょっと残念だったポイントと、改めて原作ってすごいんだなと思ったところでした。

原作を読んだら、作者の末永先生が大事にしていることとか漫画全体を通してのメッセージとか伝わってきて胸に響くので、みなさんぜひちはやふる読んでください!!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?