見出し画像

スカイリムプレイ日記~狩人ちゃん第二章~#19

こちらの続きです


『終わりなき季節』②解決編


 ハイ・フロスガーにやってきました。すでに情報が届いていたのか、講和会議の準備は整っているようです。

「やったな。暴力を旨とする者達が、平和に捧げた礎石で作られたこの広間に集まったのだ」

褒められたー^^

 それでも、グレイビアートとして政に関わることへの懸念は払しょくできていない様子です。
「すみません。でもパルグルーフ首長の助けを得るにはこの方法しか…」
「ああ。分かっている。だから私もこうやって…我らの伝統を破ることにしたのだ。だが後悔は無意味だ。ここにいるのだからな」
 グレイビアートとしても、相当の覚悟を決めてくれているようです。
「会議のテーブルに着け。このスカイリムの戦士たちに知恵と呼べるものがあるのかどうか見てみよう」
「はい!…ん?」

 ふと背後を見ると、なんとブレイズの二人、デルフィンさんとエズバーンさんが立っていました。
「アーンゲールだったかしら?私達がなぜここにいるか分かっているでしょう。入れてくれない?」

うっかり存在を忘れてた!!

 アーンゲールさんは冷たく言い放ちます。
「貴方はこの場へ招かれてはおらぬ。ここでは歓迎されぬぞ」
 当然デルフィンさんは負けません。
「私達にはあなた方と同じだけこの議会に参加する権利があるわ。実のところあなた方よりも。ドラゴンボーンを導いたのは私達ですもの」
 う、うーん、まあ、そうとも言えるような…?
「ほう?ブレイズの思い上がりは正しく無限大だな」
「あなたに任せていたなら、ドラゴンボーンはこの山にこもって何もせず夢でも見ていたでしょうよ」
 あわわ、完全に口喧嘩状態です。ここからデルフィンさんが引くことはなさそうですし、かといってグレイビアートも完全に分厚い壁を作っているのが伝わってきます。会議の前にこんなところでいざこざが起こるだなんて…
 
 エズバーンさんがデルフィンさんを窘めました。
「ここで昔の恨みを蒸し返している場合ではないだろう」
 そしてグレイビアートの方へと歩み寄ります。
「目前にある問題は緊急を要する。アルドゥインは阻止せねばならない。もしこの会議の成功を望むなら、我々がこの場に必要なはずだ」

 アーンゲールさんはエズバーンさんから何かを感じとったのか、
「よかろう。入られよ」
 そう言って会議が開かれる広間へと我々を導きました。

と、とりあえず良かった…

 アーンゲールさんがこんなにあっさりブレイズを受け入れるとは意外でした。単純に時間がなかったせいなのかもしれませんが、熱心な研究者であるエズバーンさんから、何か自分達と通じる知性や信念を感じ取ったのかもしれません。

 さて、講和会議の会場に入ると、思っていた以上に人がたくさん集まっていました。

がやがや

 なんとその中にはサルモール大使館で会ったエレンウェンさんの姿もありました。エレンウェンさんはこちらを意味ありげに見据えてきました。
「またお会いしましたね。今回はあなたの正体をしっていますがね」

ひい~

 帝国軍側にはテュリウス将軍、リッケ特使、ソリチュードのエリシフ首長、ホワイトランのパルグルーフ首長、そしてサルモールのエレンウェンが着き、ストームクローク側にはウルフリックとガルマルが着いています。ブレイズの二人はアーンゲールさんの横に座りました。
 しかしいざ会議を始めようとしたところで、ウルフリックが席を立ったまま抗議を始めました。
「彼女を交渉に連れてくるなど…我らを侮辱するのか?」

おおん?

 どうやらエレンウェンがこの場にいることをどうしても承伏できないというのです。
 エレンウェンは「自分には権利があり、白金協定の条件に反するものでないことを見届ける必要がある」と毅然と言い返し、テュリウスもまた「彼女は帝国代表団の一員であり、指図は受けない」と突っぱねますが、ウルフリックは頑なに座ろうとしません。それどころか彼女が去らねば自分が去るとまで言い張っています。
 これでは埒が明かないと、ついにアーンゲールさんから私へと判断をゆだねられてしまいました。

え!私!?

 うぅん、正直なところ、サルモール大使館で見つけた極秘資料から、ウルフリックとエレンウェンの関係について私自身かなり怪しんでいるところがあるので、ウルフリックの希望を叶えていいものか考えものではありますが…ここはさっさと交渉を始めるためにもエレンウェンには退場してもらいましょう。こちらとしては休戦以外ありませんから、変に口を出されても困りますしね。
「いいでしょう、ウルフリック。小さな勝利を喜んでいなさい」
 エレンウェンは席を立ち、去って行きました。

ごめんね

 そうしてウルフリックが椅子に座り、やっと会議を始められると思った矢先、ウルフリックが勢いよく話し始めました。
「会議に出るのを承知したのは、ドラゴンの脅威への対処、そのためだけだ。他に話すことはない。ただし、スカイリムの自由な民を支配する、という不当な要求を帝国が取り下げる覚悟がついに決まった、という事なら話は別だ。帝国との対話など、度量の広さを見せるための茶番にも思える」
 テュリウス将軍は侮蔑を込めた目でウルフリックを睨みつけます。
「終わったか?ただ演説をするためにここに来たのか?それとも本題にはるか?」

 いやあ、和気あいあいといかないことは覚悟していましたが、このままだと空気の重さに押しつぶされそうです。吟遊詩人でも雇っておけばよかったかもしれません。

 中央に座るアーンゲールさんが仕切り直します。
「このような会議に前例はない。我らはドラゴンボーンの願いによってここに募った。皆にはハイ・フロスガーの精神を尊重して頂き、スカイリムに永久なる平和をもたらす道程を進め始めるため、尽力して頂きたい」

そやそや、頼むで

 …しかし、今更ですが休戦協定って具体的に何を話し合うんでしょう?「とりあえずドラゴン問題が落ち着くまでは戦争を休もう」ではいけないのでしょうか?

「よし、気合を入れて取り掛かるぞ」
 口火を切ったのはまたもウルフリックでした。
「マルカルスの支配権を所望する。それが休戦に同意する対価だ」

 えっ!?マルカルス!?

 突然突き付けられた条件に驚いていると、それを聞いたソリチュードのエリシフ首長が噛みつきました。
「ウルフリック、それがここに来た目的なのね?この場を利用してグレイビアードを貶め、自分の地位を高めるつもり!?将軍、こんな要求、飲むわけにいかないわ!」
 帝国軍に着くエリシフ首長にとって、ウルフリックは夫の仇でもあります。彼の思い通りにさせるわけにはいかないという思いが強いのでしょう。
「エリシフ!そいつは私に任せろと言ったはずだ」
 テュリウス将軍は憤るエリシフ首長を諌めます。
「ウルフリック、冗談はよせ。戦いで手に入らなかったものを会議でせしめるつもりだな?」
 対話が激化しそうなところでアーンゲールさんがとりなしました。
「ウルフリック首長も、代価なしに何かを得ようと思ってはいまい」
 確かに!ううむ、これが和平交渉というものなのか…これが決裂したら、ドラゴン作戦は決行できません。ハラハラしながら成り行きを見守ります。
 テュリウス将軍は、憤りを隠さないエリシフ首長から睨まれながら言いました。
「まずはっきりさせておこう。この会議は私が言い出したものではない。個人的には時間の無駄だと思っている。だが少なくとも誠意を持って交渉することは約束する」
 そして私の方に顔を向け、続けました。
「我々はみなお前の要望でここにいるのだ。マルカルスがどれぐらいの価値があるのか、意見を聞きたい」

え!?!!?
 

 わ、私ぃ~!?
 どうやら私にマルカルスを差し出す代わりに何を要求すべきか聞いているようです…そんな、知りませんよ!しかし全員の注目を浴びて駄々をこねるわけにもいきません。それにドラゴンボーンとしてこの場を用意した責任もあります。
 頭を必死にフル回転させ、現在ストームクロークが抑えている街を思い浮かべました。
「え、えーと…あ、リフテンとか、どうですか!?」
 今現在、政治がうまく回っていないリフテン。首長のライラさんは彼女なりに努力しているようですが、部下に恵まれず空回りしている状況です。あそこを帝国軍が抑えれば、もしかしたら多少は治安もよくなるかもしれません。
「ふむ。リフトがあればシロディールと連絡を取りやすくなる。そしてウルフリックの南を脅かす…」
 テュリウス将軍もまんざらではなさそうです。ほっとしたのもつかの間、ウルフリックが特に難色を示さなかったことが気に障ったのか、突然こちらに怒り出しました。
「ドラゴンボーンよ、失望した。名声を信じて招待を受けたのに、ウルフリックの味方をしているようだな」
 ええ!?なんでそうなる!?
 もしかしたらウルフリックにとってもリフテンはお荷物だったのでしょうか…?
「これは交渉でもなんでもないことがわかった。ウルフリック、お前の事などお見通しだ。マルカルスを渡したら、また別の要求をするつもりだろう。お前は帝国に勝てないぞ。もう分かっているだろう。そのくせ身勝手な自分の野望のために数千の命を犠牲にする気か?すぐに死刑執行人の斧の元へ送り返してやろう。今度は救ってくれるドラゴンはいない」
 めっちゃ怒ってる…。
「毎度の事ながら、帝国の美辞麗句には何の価値もない!」
 ウルフリックはテーブルを叩きそうな勢いで言い返しました。
 これは…もう和平交渉どころではない雰囲気です。下手をしたら剣が抜かれそうなほど、場の空気は張りつめています。
 戦争を止めてドラゴンの脅威を取り除くのが目的で、こんなはずではなかったのに、どうしたらいいのでしょうか…

「やめろ!」
 それまで黙っていたエズバーンさんが叫びました。
「昔のくだらない意見の違いに捉われ、この危険にさえ気づかないのか?」

おお

「ここに座って文句ばかりか!この地の運命がかかっているという時に!」
 まさにその通りです。領地がどうのこうの、言い争っている場合ではありません。こうしている間にもアルドゥインはどこかで力を蓄えているのです。
 エズバーンさんはついに立ち上がり、歩き回りながら訴え続けます。
「アルドゥインが復活した!世界を喰らう者が帰還した!今もなお、お前の倒れた仲間の魂をむさぼり食っている!奴は、お前の無意味な戦争で亡くなった兵士を貪り、もっと力を増しているんだぞ!」

せやせや!

「この危機に直面しているときに、せめてほんの一瞬でも憎しみを忘れる事ができないのか?」

 アルドゥインの脅威。世界の危機。預言を知っていたエズバーンさんにとっては、頭がおかしいと揶揄されながらずっと昔から訴えてきていたことなのです。魂をこめた訴えに、テュリウス将軍が答えました。

「世界の終わりの事は知らんが、ドラゴンの問題は我々の手に負えなくなった」

おっ

「この休戦協定によってここにいるドラゴンボーンがその脅威を終わらせる事ができるなら、我々双方にとって利益となる。それを覚えておけよ、ウルフリック」
 場が落ち着き、流れが変わりました。エズバーンさんのおかげです。皆さん、目の前に迫る本当の問題を思い出してくれたようです。
「こんな条件ではマルカルスを渡せない。それぐらいは分かっているはずだ」
 あ、とはいえ交渉は続くんですね…そしてリフテンの価値はそんなに低いのか、と思い知らされました。
 テュリウス将軍はカーワステンでの虐殺に対しての賠償を要求しました。カーワステンでそんなことが起こっていたんですか…まったく知りませんでした。しかしガルマルさんは虐殺について強く否定します。ストームクローク側は認めていないようですね。

「ドラゴンボーンよ、どう思う?」
 再び判断をゆだねられました。さっきあんなに不信感持たれていたのに…

またあ?

 仕方がありません。虐殺が本当に行われたのかは私にもわかりませんが、またストームクローク側につくと今度こそ決裂しそうです。
「そ、そうですねえ…ウルフリックさんはカーワステンの補償をした方がいいんじゃないですかね…」
 これにはテュリウス将軍も頷き、「その通りだ」と満足気です。ウルフリックも強く抗議せず、どうやら話はまとまったようです。

 アーンゲールさんが口を開きました。
「テュリウス将軍…ウルフリック首長…マルカルスはウルフリックの軍へと譲渡される。イグマンド首長は退き、ソーンヴァー・シルバーブラッドをマルカルスの首長とする」
 え!?シルバーブラッドが首長に!?これには驚きです。しかし思い起こせば、彼はストームクローク側であることをよそ者の私にも隠していませんでした。町の有力者ですし、ストームクロークにとって適任なのでしょう。マルカルスに駐在していたサルモールは撤退することになるわけですね。あそこでオンドルマールという名の嫌なエルフにタロス狩りを依頼されていましたが、この時点で話は立ち消えになったと考えていいでしょう。

「ストームクロークはリフトより撤退し、帝国軍に無制限の立ち入りを許可する。ライラ・ロー・ギバー首長は退き、メイビン・ブラック・ブライアをリフテンの首長とする」
 メイビン!?あのメイビンが首長ですか…彼女も街の有力者ですが高飛車で高慢であまり好きではないのですよね…利益優先の人ですし、市民のために働いてくれるのかどうか…部下の使い方は上手そうですけれども。

「ストームクロークはカーワステンでの虐殺に対して補償を行う。両者ともこれに同意するか?」
 アーンゲールさんの問いかけに、ウルフリックは頷きました。
「スカイリムの取り決めに従って行動する。ただし、帝国が堅持する限りにおいて。…どうしたエリシフ、その条件でいいのか?はっきりと申してみよ。貴様のテュリウス将軍が命令を待っているぞ?」

煽んなぁ~~~!

 ウルフリック…せっかく話が終わりそうなところで、なぜそんな不必要な挑発をするのでしょう?さすがにこちらも苛つきます。カーワステンのことを吞まされたことが悔しいのでしょうか。最後までジタバタと…お行儀の悪い人です。帝国に反乱を起こすくらいですから、それくらいの精神がないとやっていられないのかもしれませんが――
「その人殺しに言う事は何もないわ」
 さすがのエリシフ首長もこの挑発に真正面から乗る事はしません。

よしよし…

「この条件を帝国は受け入れよう。ドラゴンの脅威が去るまで、一時的に休戦するためだ。ウルフリック、その後お前は…報いを受ける事になるだろう。覚悟しておけ」
 
 ふう。とりあえず、なんとか休戦協定は締結されました。目的は達成です。
 ウルフリックとガルマルは足早に帰って行きました。彼らは休戦中にも戦争の準備を怠ることはないでしょう。これで内戦が終わったわけではないのです。

 パルグルーフ首長によれば、ドラゴン捕獲作戦の準備はすでに整っているとのこと。しかしアーンゲールさんは一つ疑問を呈しました。
 そう、どうやってドラゴンをドラゴンズリーチまで誘いこむか、です。

たしかに…

 エズバーンさんが声を上げました。
「その問題は予期していた。お前がこの会合を調整している間、私はスカイ・ヘヴン聖堂の図書館で忙しくしていたのだから」
 エズバーンさんによれば、ドラゴンの名前は必ず3つの”言葉の力”…つまりシャウトなのだといいます。つまり名前をそのままシャウトで呼べば、彼らの耳に届き、その場にやってくる、と。
「なぜドラゴンは名前を呼ばれると来るんですか?」
「それは強いられたものではない。ドラゴンは生来が高慢で、挑戦を拒むのを嫌うたちだからだ」
 挑発に乗っちゃうヤンキー気質ということですか…
「特にアルドゥインに勝利したお前の”声”は、このドラゴンの興味を引きそうだ」
 なるほど。それはありそうですね。

 エズバーンさんはアルドゥインが育てた一匹のドラゴンの名前を教えてくれました。
「オドゥ、アー、ヴィーング、”翼のある冬のハンター”という意味だ」

かっけ

 名前をシャウトとして覚えました。ドラゴンズリーチでこれをシャウトすれば、ドラゴンがやってくる…準備は完了です。

 こうして講和会議はなんとか終了したのでした。

次へ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?