マガジン_掌編小説

与太モンの兄貴  茅ヶ崎浩太郎

勘太から聞かされた突然の別れ話を、おみよは黙って受け容れるしかなかった。冬ざれの浅草の街は、年の瀬の人の流れで賑わいを見せていた。

「分かっておくれおみよ、お前に落ち度があっての話じゃねえ事は、お店(たな)のみんなも重々承知の上だ。だがなおみよ、お前の兄貴の吉松と来た日にゃ、始末がわるすぎらー。世間様がきゃつの事をなんてほざいてるか知ってるか?ごくつぶしの鏡だとよ、言い得て妙じゃねえか。お前も不憫な身の上だね。あんな極道の兄貴をもっちまったばっかりに一蓮托生だ。こう見えて俺だって、全てを弟の留の野郎にうっちゃって、おめえと所帯を持とうって一度は思案したわけよ、だがいけねえ、お袋が黙っちゃいねえ、堪忍しておくれ後生だから、すまねえおみよ」

「何言ってんだよ勘ちゃん、凶状持ちのろくでなしのあの外道が、血を分けたあたいの身内と分かった日にゃあ、世間様が黙っちゃいないよ、どっかの器量よしの御新造さんでも見つけて幸せになっておくれ。さ、あたいのことなんかほっちらかして、どっかへ消えておしまい」

 誠に恐縮ではございますが、続きは考えておりません。思いつくままに時代小説を気取って書いてみました。悪趣味   ですかね・・・・・・?


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