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お尻拭き職人の話 #創作大賞2022

どうも。3児のパパです。

ウソじゃないです。3児のパパです。

長女さん(5歳半)と次女さん(3歳)、
3女さん(1歳)を絶賛子育て中です。


先日、noteから興味深いお知らせが届いていました。

おぉ!面白そう!

せっかくなので今まで散々映画化したいと言い続けてきた
僕の本気作品「お尻拭き職人」を投稿してみたいと思います。

■コンテストスケジュール
応募期間:2021年11月15日(月)11:00 〜2022年2月6日(日)23:59
発表:2022年4月末予定

11/15以降の投稿のみ審査対象ということなので、
後半の展開を大幅にリメイクしたうえで投稿します。
受賞する気満々なので、
映像化した場合のアピールポイントも
先にまとめておきますね。

・父親育児が題材
・これから子育て世代になる層にも育児の大変さだけでなく、
 楽しさを伝えられる。時代に合ってる。明るい未来感。
・「畳1枚分のスペース」と「赤ちゃん人形」があれば
 超低予算で映像化可能。
・映画用小道具(Tシャツ(贈答用)、マグカップ)は作成済み。

無題3


ということで既に受賞する気満々でアピールしましたが、
以降が本編となります。

審査、よろしくお願いいたします。

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序章


お尻は、お尻拭き職人の主戦場です。


きめ細やかな配慮が求められます。

2度拭き、3度拭きなど、
作品に納得がいくまで繰り返します。

ただ、同じ動きを何度でも。何度でも。
幾度となく繰り返したその先に、まっさらな尻が現れます。
ぴかぴかになったお尻を見て思うのです。


自分の信念に間違いがなかったと。


お尻拭き職人


まだ僕が職人を始める前、
駆け出しのお尻拭きだった頃の話です。


経験の浅いひよっこだった僕は、
その日、あまりの力の暴走を前に、
ただただ、立ち尽くすばかりでした。

型にはまらないその姿は正に無形。
どこにだって自分は行けるんだという
確固たる意思の表れともとれる流動っぷり。

長女さん(0歳)の大噴火を前に、
僕の思考は完全停止を余儀なくされました。

技術大国日本の威信をかけた
国産オムツの高い壁を軽々と越えて押し寄せる大波。
暴虐の香り。


ばかな、もう駄目だ・・・。


ぴよぴよしていた僕を尻目に、妻さんが颯爽と現れました。

当たり前のように、着替えを引っ張り出し、
丸洗いをし、床の除菌まで終わらせる。


その間、わずか4分。


うそだろう・・・。

これが・・・・職人・・・・。

お尻拭き・・・職人・・・・。


その日を境に僕の中で何かが変わりました。
来る日も来る日も、お尻と向き合う日々。


何だ今日は!横から漏れてやがる!

なんて事だ。さっき交換したばかりじゃないか。

そんなばかな、モリモリの状態から屁をこいただと!?


ありとあらゆる想定外。
多い日でも漏れ安心など、おとぎ話だと知りました。


ただそれでも、僕は拭く事を辞めませんでした。
あの日見た職人の後ろ姿が忘れられない。
あんな風に俺もなるんだ!

俺はなる!
憧れの・・・お尻拭き職人に!!!


二種類の職人


お尻拭き職人には大きく二種類の流派が存在します。

①うさぎスタイル
多少の拭き残しはご愛嬌。
目にも止まらぬ疾さで、拭き上げるスピードタイプ。
お尻拭きシート一枚を限界まで使い切る技巧派。

妻さんはこのタイプでした。

お尻拭きシートの使用量も少なく、
効率的、経済的な拭き上げを実現しています。

職人を始めた当初、
その疾風が如き拭き上げに、嫉妬さえ覚えました。
憧れのスタイルでした。

しかし、お尻拭きキャリアを積み重ねるうちに、
自分の中で一つの疑念が湧きました。

僕は本当にこのスタイルを極めたいのだろうか?

「うさぎ」には一つの重大な欠点が存在します。


拭き残しです。


圧倒的スピードパフォーマンスを前に
見落とされがちですが、
細部を確認した際、その弱点が露呈します。

しかし、この問題はある意味仕方がありません。

平日の日中、
妻さんは他にも家庭内の重要なタスクを複数抱えており、
必然的にこのような進化を辿らざるを得なかったのです。


僕に本当に求められているのは、
妻さんと同じ進化ではなく、別の進化ではないのか。


夫婦とは助け合い、お互いを支えるもの。

二人で力を合わせ、
理想のお尻を作り上げるものではないのか。


ようやく僕はそのことに気付いたのです。

夫婦が目指す形が違っても構わない。
僕が目指すスタイルはこれしかない。


②かめスタイル
スピードはいらない。ただ拭く。愚直に拭く。拭き続ける。
そこに尻があるのだから。一拭入魂。
ただそのお尻を、ピカピカに。


こうして新しいスタイルのもと、歩みを進めた僕でしたが、
ある日最大の試練に立ち向かうこととなりました。


ひとりでできるもん


前日辺りから、既にその予兆はありました。

便秘だったのです。

カチカチになったお腹を見ながら、
早く出て欲しいという親心と、
大噴火への恐怖心が同居している自分に
嫌気が差していました。

今は何よりも出すことが大切。
なぜ俺はこんな時に、漏れの心配をしているんだ。

しかし、その時は突然やって来ました。


ドドドドドドドドっっっっ!!!

?揺れた?

いや違う!黄色い悪魔だっ!しかも、桁違いだ!
一眼でわかるその異形!

ダメだ、決壊寸前だっ!
しかも今は・・・・

今は妻さんが買い物に出ているっ!


俺しかいないのか・・?

くそっ、なんてタイミングで出すんだ。
嘘だろ。いつもの比じゃない!
こんなやつに俺一人で戦わないといけないだなんて!


くそ、くそぅ、糞ぅ!

違う。そうじゃない!
この子には今、俺しかいないんだ。

俺が戦わないとっ!
俺がいるんだ。

俺が・・・いるんだ。

〜〜〜〜〜
(回想)
おぎゃあおぎゃあ!

あはは、元気に泣いてるよ!
本当だ、かわいいねえ。

本当にかわいい。
ふふっ、困った時はパパが助けてやるからな。
お前を悲しませたりするもんか。
パパはお前のことが大好きだからな。

〜〜〜

俺が・・・拭くんだ!


現場

何とか冷静さを取り戻し、地獄の蓋を開けた僕の目に、
それが姿を現しました。

バカなっ、もうこんな前面にまで被害が・・・。

お尻の穴は後ろ。
そんな僕の中の常識を嘲笑うかのように、
一面に広がる黄色世界。糞どもの宴!

畜生!パパがっ、パパが拭いてやるからな!

ヘソの下は、横向きに肉と肉の断層が走っているため、
ちゃんと上向きに、へそ下肉を引っ張り上げます。

気を抜くと見落としかねない死角の一つ。

すぐに対応したのに、なぜこんなところにまで。
湧き上がる疑問を、呑み込みます。

今は被害が大きくなった原因を探る時じゃない。
今、そこで生じている悲しみを食い止める方が先決!

うんこは会議室で出てるんじゃない、
オムツの中で出てるんだ!


なんで・・・なんで肌着にうんこが流れるんだ!

異変


命辛々、前面を拭きあげたところで異変に気付きました。

お尻拭きシートに青の線が現れたのです。

【お尻拭きシートの青の線】
終わりを告げる印。
残された枚数は僅か5枚。
悲劇を防ぐためのセーフティライン。
そろそろ無くなるから新しいの用意してね♩のサイン。

あと、5枚・・・だと・・・。

馬鹿な、まだ前面が少し終わっただけ。
お尻側がまるまる残ってる。
太ももの肉溜まりも、完全に手付かずだ。
こんな状態であと5枚だなんて、絶対に無理だ。


スペアのシートはドアの向こうの、収納の中。

今、両脚を掴んだこの手を放す訳にはいかない!



まさか、ここまでなのか。
俺の力ではこの子を救うことが出来ないのか。


本当に、終わりなのか・・・・。

ぐっ・・・。

ごめん、パパが不甲斐ないばっかりに。
君を掴んだこの手を、放す時が来るなんて・・・。

・・

・・・



・・・違う。

諦めるな。

俺はこの数ヶ月で何を学んだんだ。

ここでお尻を向けてしまったら、
俺はこの先このお尻に、一生顔向け出来ない!


まだ、何か・・・何か出来ることがあるはずだ!!!


もしもお尻が拭けるなら


妻さんならこんな時どうする?
僕に拭くことの喜びを教えてくれた妻さんなら、どうする?

そうだ・・・。うさぎ・・・。

うさぎスタイルは疾さだけではない。
うさぎの真髄は、シート一枚一枚を、使い切る事にある!
エコノミック主婦魂!

いつの頃からか僕は、自分のかめスタイルに溺れ、
尻を綺麗にすることだけを追求していた。
お尻を輝かせるためなら、
シートはいくらでも犠牲にしていいと考えていた。

しかし、妻さんは他の家事との両立や、家計にまで気を配り
お尻を拭いていた。

覚悟の違い。
僕は妻さんの足元にも及んでいなかった。


ビバ、妻さん。ハラショー、妻さん。


今、気付けてよかった。
諦めていたら、きっと後悔していた。

待ってろよ。
もう二度とパパは諦めない!
パパが笑顔を取り戻してやる!

お尻を司る神々よ、
どうか今一度、俺にうさぎスタイルを。

この残された5枚に全てを捧ぐ。
この5枚で全て、全て拭き切る!


~残り5枚~

何とか脚の付け根、ぷにぷにお肉の拭き上げに成功!
太もものお肉層もあと少しっ!


~残り4枚~

ついにお尻に、いや、背中に到達!
何という破壊力・・・。

だが、諦めない。絶対に。諦めない!


~残り3枚~

もう一息だ!残りは尻周りとお股のみ!
奮い立て、俺の右腕!

あと少し!あともう一拭きだ!!!


父親として


ズシンっっっ!!!

うそだろう・・・。

第・・・2波・・・。。。

狂乱の宴に終わりなどなかったのか。。。
新たなドリップ。断末魔の香り。ニッコリ笑顔。

すっきりした・・・笑顔っっっ!!!



そんな・・・やっとここまで辿り着いたのに。

今度こそ、本当に終わりなのか・・・。

そもそも最初から無理だったんだ。
妻さんの不在時の噴火なんて。
俺には最初から無理だったんだ。。。


もう、全てを投げだしてしまいたい。

もう、この熱量でこれ書くの正直しんどい・・・。


お尻拭き職人は・・・。
もう・・・終わりにしよう・・・・。




・・・・。



・・・・。




俺は・・・・



父親だ・・・・・。




お尻拭き職人の前に・・・・

俺は・・・・この子の父親なんだ・・・・。




父親は・・・諦めない・・・・!!!





どうして人間の目は、前についていると思う!?
お尻を拭くためだ!

どうして人間には手があると思う!?
お尻を拭くためだ!

どうして父親がいるんだと思う!?
お尻を・・・拭くためだ!!!

父親一人では子供を産むことは出来ない!
おっぱいも出せない!

でも・・・!



お尻を拭くことは出来る!




お父さん、お母さん、俺を産んでくれてありがとう。
やっと今、自分が生まれてきた意味が分かったよ。

俺は、このお尻を拭くために産まれてきたんだ!!!
たとえこの腕が千切れてもっ!!!
俺はこのお尻を、拭き尽くす!!!!!!


ぱぁぁぁぁ・・・・・・。


ばかな・・・。右腕が・・・輝いている・・・・。



「ただそのお尻を、ピカピカに。」



かめ・・・スタイル・・・・。

最後まで俺に付き合ってくれるというのか。



ありがとう。
最後はお前とも一緒に戦いたかった。
本当に、ありがとう!

俺たちは・・・最高だ・・・!!!




たとえこの身が滅びても


~残り2枚~


もう絶対に諦めない。
かめスタイル。うさぎスタイル。俺に力を貸してほしい。

振り絞れ!漏れ出せ!これが最後の戦いだ!!!
いけぇぇぇぇええええええ!!!!!


③かめぴょんスタイル
かめとうさぎが融合したお尻拭き職人の最終到達点。
Hey-oshiriによると、このスタイルを極めし職人は
「この世の理を拭く」とされ、後世まで語り継がれるという。
また、未熟な者が使えばその身を滅ぼす、ともされている。
「ヤマタノオシリ」を拭き鎮めた伝説のスタイル。


しゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃ。


圧倒的スピード。変幻自在のパフォーマンス。
それでいてきめ細やかな拭き。
見る間に汚れが落ちていく!


しゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃ。

バキッ!

くそっ、もう右腕が。
このスタイルは禁断の力。
今の俺には明らかにキャパオーバー。

そんな事はわかってた事だ!


右腕が壊れても左腕が!左腕が壊れてもまだ脚が!
なんとか最後まで!最後まで拭きぬく!!


しゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃ。

でも、、、。
最後まで拭き切れたとしても・・・。
俺は・・・・。俺の体は・・・・。

この先、この子を抱っこすることは
出来ないかもしれない・・・。


・・・構わない・・・。


今このお尻を拭けるなら。


今、目の前のお尻を拭けるなら、
俺の未来なんぞくれてやる!!

うぉぉぉおおおおーーー!!!


未来へ


~残り1枚~


ぶ  ぶ (ぱ   ぱ)   。

え・・・・?


ぶ  ぶ (ぱ   ぱ)   。


え・・・・?
そんな・・・、長女さん??

まだ話せるわけがないのに。
まさかっ、屁で・・・・?


これは、心の声・・・。
尻の・・・声・・・・。


ぶ  ぶ (ぱ   ぱ)   。
ぶ っ ぶ (だ  っ  こ)  。


・・・・。

ごめん。長女さん。
パパにはもう抱っこは無理かもしれないんだ。

ママに抱っこしてもらおうな。
ママがいるから大丈夫だ。
これからもずっとママが守ってくれる。


ぶ  ぶ (ぱ   ぱ)   。


・・・・。
大丈夫、きっと全部大丈夫だ。


ぶ  ぶ (ぱ   ぱ)   。


・・・・。


ぶ ~ ぶぶ (だいしゅき)  。


・・・・・。

・・・・・。


----しゅん(かめぴょんスタイル解除)----


・・・・。


・・・・。


あの日

この子が産まれたあの日、
絶対に悲しませないと誓った。


今まで拭いたお尻の数を覚えているかと聞かれたら、
迷わず覚えていると答える。

今まで飲んだおっぱいの回数も、
寝た時間も、夜泣きした回数も、
おしっこも、うんちも、
全部手帳に書き残している。

日々増える新しく出来たことも、
夫婦で悩んだ日のことも、
喜びも悲しみも全部。


そしてこの記録は、これからも。


俺は・・・。

この先もこの子を抱っこしたい。
この子の成長を見守りたい。
一緒に笑って、一緒に泣きたい。


失敗をしたときは、
尻をぬぐってやりたい。

この子が、自分で自分のケツが拭けるようになるまで。


もし迷った時には、
そっとお尻を押してあげたい。

この子が、前に進めるように。


このお尻が描く未来を一緒に見たい。


俺はまだ・・・力尽きるわけにはいかない。
この先も、お尻を拭き続けたい。


!!

そうだ。
一つだけ・・・


最後に一つだけ可能性がある。


この子と未来を一緒に歩む方法が1つだけある!


それにかけるしかない。
この子との未来を、何一つ捨てたくない!!


願いよ・・・・届いてくれ。
願いよ・・・・届けっ!!!!





がちゃっ。ただいま~。

妻さぁぁぁぁぁああぁぁあああああんん!!!!!


えっ?何この状況、こわ。
すごっ!うんこすごっ!!


・・・・。


今日僕は尻を拭く。

それは、明日も明後日も。

この一拭きが、未来に繋がる一拭きと信じて。


結論


以上です!

めっちゃ長いですが、ほぼ独り言ですね。
回想以外では一歩も動いてないですしね。
半径1メートルの茶番です。

かめぴょんは我々四天王の中でも最弱 とか
始祖のお尻拭き職人 とか
永遠にイメージが湧いてきますが、
今回はこんな感じです。

低予算で映像化できますよ!
どうですか。山田孝之さんで・・・・。

今日も頑張りましょう!

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